こんにちは、ランニングサポーターの久保です。
練習には負荷をかけて身体の機能を高めていくものがあります。なぜなら、「過負荷の原則」というものがあり、同じ練習を繰り返すと身体が慣れてしまい、運動効果が現れにくくなるからです。
負荷に対して身体が反応し成長するため、速く走るためや体力を向上させるためには、楽な練習ばかりでなく少しキツい練習も取り入れながら徐々に身体の機能を高めていきます。
「負荷をかける」と聞くと、「頑張り切らねばならない!」と思う方も多いかもしれません。
決めたメニューを必ずこなさなければならなかったり、設定したペースで必ず走り切らなければならなかったりすると、やれなかったことが負けだと感じることも理解できます。
しかし、練習は目的に応じてペースや量が異なります。例えば、身体にたくさんの酸素を取り込む能力を得たいのであれば、休みを多く取ってもいいのでとにかくスピードを上げて走ることが優先されます。
一方、スピード持久力(ある程度の負荷がかかってもペースを落とさずに走り続ける能力)を得たいのであれば、全力ではなく抑えたペースで長時間走り続けることが優先されます。
先日、クラブチームで次のような練習を行いました。
「100m × 10 + 200m × 2 + 400m × 2 + 100m × 10」というメニューです。
短い距離から徐々に長い距離へとシフトしていき、再び短い距離へと戻していくメニューです。
大半のランナーが100mを余裕を持って走っており、この後もまだまだ行けそうなくらいの勢いがあります。
しかしその後200m、400mと距離が伸びるにつれて息は大きく乱れ、フォームも硬く力一杯全力で走るランナーが多く見受けられました。
話を聞くと、前半から全力で突っ込んでしまい、後半で身体が動かずに失速したようです。
100mのインターバル走では余裕があったはずなのに、タイムも明らかに落ちています。なぜでしょう・・・。
それらを紐解く鍵が、このメニューの意図にあります。
それは、全ての距離で同じような動きと感覚で走ることです。
走り出しから全力気味で入ってしまうと後半がツラくてしょうがありません。
100mのインターバル走を思い出し、ある程度のスピードを保ちつつも限界に達しないように力をセーブし、100mの延長線上としてそのまま同じ動きで200mや400mを走り切るというイメージを持つことが重要です。
最後に再び100mのインターバル走を組み込んだのも理由があります。
普通なら距離が短くなるのでもっと追い込みたくなるのが心情です。
しかし、この100mはこれまで走った200mや400mの出だしで力みなくスピードを出すことを学ばせるための練習であり、完全に出し切る必要はありません。
これらはスピードが上がってもエネルギーの消費を抑えて走っていけるような技術効果を狙った練習だからです。
自分がどんな効果を得たいのかを明確にし、その目的に基づいた練習に取り組むことで、迷いなく取り組めるようになると思います。
読者の皆さんがこれからもより良い練習を通じて、走力を向上させていくことを心から願っています。