ランニングサポーター久保のランニングスクール

スピード練習ってマラソンに
必要なんでしょうか?即答、Yes! ~vol.3~

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久保健二さん

ランニングサポーター 久保健二さん

  • ランニングが大好きで毎日のように走る傍ら、クラブチームのコーチも務め、
    数多くの一般ランナーの指導をおこなっている
  • ラン歴21年
  • 実業団陸上部に11年間在籍

こんにちは、ランニング・サポーターの久保です。

人にはそれぞれの考えがあり、それぞれのやり方があると思います。
走ることのトレーニングには絶対はありませんし、これが正しいということもありません。
本人が良いと思えることだったら、それが自分にとっての正解です。

このコラムでは私が良いと思ったことについて述べてきました。
それは21年間一心不乱に走ることだけに身を捧げてきた競技生活の中から得た経験と、現役を退き市民ランナーを指導しながら、そして今でも自分の限界に挑み続ける体験、そしてこれまで学んできた理論を融合させ、私が良いと思ったことを伝えるものです。

私が遠回りしながら必死になって掴み取り、得てきた本質的な部分をみなさまには遠回りすることなく理解してもらえたらというのが願いでもあります。
共感できる部分はご自分をさらに飛躍させるためのプラスにしていただき、そうでない部分は、もがきながらも諦めずに危機を乗り越え、結果を残してきたいち個人の考えとしてお読みいただけたら幸いです。

最近、マラソンで頑張っていた方が100kmほどのウルトラマラソンを走って怪我をしたというお話を耳にしました。

おそらく極端にゆっくり走りすぎたが故のことだと思います。
ゆっくり走れば走るほどピッチ数が落ち、体の上下動が生まれます。
またゆっくり走るということはそこまで腕を振らなくても進みますし、ストライドも伸ばさなくてよくなります。膝も引き上げなくてよくなりますし、接地のことにもあまり気を遣いません。よく言う小さいフォームで走り続けることになります。
そんな感じでウルトラマラソンといった長い距離をひたすら走ったのですから、小さいフォームが染み付いてしまったのですね。

極端に遅いペースで長い時間を走り、小さいフォームが染み付いてしまったまま日々走りを続けてしまうと危険です。なぜなら、怪我をしてしまうからです。

現役を退き市民ランナーの指導をするようになってから、私自身の怪我が増えてきました。風邪も引きやすくなってきました。

2010年、2011年、2013年、2014年、毎年ふくらはぎのヒラメ筋や足首周りの故障をしっぱなしです。
年間を通して1日10kmほど平均的に走っています。
レース前は、目標とするマラソンペース以上はペースを上げたりすることはなかったのに、なぜか決まった時期にだけ怪我をするんです。

その理由は、ゆっくり走りすぎることにあります。そもそも、3分/kmを切るペースで練習していた人間です。軽いジョギングといったら5分/kmくらいで、6分/kmくらいのペースになると歩いているような速度に感じていました。それが、今多くの市民ランナーの指導にあたるようになってからは、8分/kmくらいで走ることは当たり前、6分/kmくらい、5分/kmくらいで走ることは常です。
そうなると、先ほども述べたように速度を落とすためにストライドを縮め、前に進まないようにふくらはぎで上へとジャンプするしかありません。
本来自分の持っている効率的な動きが遮断され、全く別次元の動きのまま走っていることになります。超LSDとでも言いましょうか。ときにはこのような地道な走りはとっても大事です。
しかし、この走りが染み付くぐらい長い時間走ってしまうことが危険だということを身を持って感じています。

このように小さいフォームを体に染み込ませたまま、いざマラソンの練習に少しずつ移行していったときのことです。
最初はペースを落とし、距離も少なくして体をつくっていくのですが、体が思うように動きません。
練習が終わってからも疲れが抜けにくいことが多々ありました。
本来なら、次の練習をするときは体力が上がっているので、もう少し速いペースでできるはずなんですが、体のいろいろなとこに痛みや疲れを感じて全く余裕がないありさま。
目標とするマラソンペースよりかなりペースを落としているのに、距離も10kmくらいしか走っていないのに!です。

そんなことを続けていると、なんの前触れもなくふくらはぎのヒラメ筋に激痛が走り、軽い肉離れを引き起こしてしまいました。前触れのない痛みなんて現役の頃には考えもしなかったことです。
なぜこのようなことが起こってしまったのでしょう。
それは小さい走りのまま、言い換えれば本来の動きではない状態のまま、ペースを上げて走り続けたことに尽きます!
腕振りは小さく、ストライドも狭いまま、ふくらはぎでジャンプしながら、必死にスピード(マラソンペースより結構速度を落としているにもかからわず)を上げようとした結果、負担がきてはならないところに負担がきてしまったのです。

この何年もこのようなことを繰り返していますから、原因はひとつ。
怪我をしないためにスピード的な動きを常に取り戻しておく必要があるということ。
もちろん、ペースを極端に落としたジョギングや距離走、ペース走は体の基礎を作る上ではとっても大事です。しかし、それだけでは小さい動きが体に染み付いてしまい、いざ自分の走りをしようと思ったときに体への負担は相当なものです。
私もそうですがこれを意図的に自分のフォームへと戻すのは難しい。

ですから、大きな動きを取り戻すためにスピード練習を入れてあげるんです!

私のいうスピード練習は、追い込むことだけではありません。400m、600m、1,000m、1,200m、2,000m、3,000m、4,000m、5,000mと様々なインターバル走もやってきましたが、ジョギングの後に100mや200mを数本行うだけでもいいと思っています。
スピードを出せば自ずとストライドが伸び、腕を大きく振って体を前へ運ぼうとしますからね。
小さい動きで終わらせないために動き作りのためのスピード練習。
怪我をしないためのスピード練習。
しかし、出し切っていけません、絞りきってはいけません。逆に怪我します。

長い距離は一度走り出すと動きの修正は難しいですが、短いスピード練習は1本1本動きの確認ができてフィードバックしやすいです。フィードバックはしやすいけれども短い距離だといい動きの継続がストップしてしまいますので、持続させるために距離走へと移行していきます。
動きの余裕度を感じ、リズム良く動きを確認しながら走っていると、エネルギーを抑えながら走れるようになるんですね。

マラソンにスピード練習がなぜ必要なのか。

いい動きを取り戻し、いい動きをつくるため。私は動きがもたらす影響がいかに大きいかを身を持って体験しているため、そう思うのです。

マラソンランナーの多くは遅筋という遅い動きに対応した筋肉を持っていますが、速い動きを取り入れることで、遅筋と速筋の中間に位置する中間筋へ変えることができるといことが分かってきたそうです。

中間筋とは、速筋(白色)と遅筋(赤色)の中間の性質を持つピンク色の筋線維です。
スピードとパワーを兼ね揃え、持久的な運動にも向いているというマラソンには願ってもない筋肉なのです。
このようにして、マラソンランナーは長い距離を少しでも速く走れるように体の筋繊維自体をトレーニングで変えながら、距離走の合間にスピード練習を取り入れているのです。

少しでも速く走ってみたい、自分に挑戦してみたい、またこの話に少しでも共感できたり、ちょっと試しにやってみようかなと思う方がいましたら、参考にしてみてください。

限界は自分が決めるもの。
挑戦する方を、私はこれからも精一杯応援したいと思っています!

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