その食事で一日が変わる。セカンドミール効果とは

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日々の健康的な体を支えてくれる食事。その日に食べたもので、体調が左右されることがあります。その理由のひとつとして考えられるのが、血糖値の影響です。健康な人であっても、食後の血糖値は上昇しますが、食事内容によってはより急激な乱高下を招きます。食後の眠気やイライラ、集中力の低下など体調の変化が気になるときは、血糖コントロールを意識してみましょう。血糖コントロールに役立つ「セカンドミール効果」について詳しくお伝えします。

日々の健康に、血糖コントロールを意識していますか?

健康な体を維持するには、規則正しい食生活を続けることが大切です。なかには、できるだけ間食を減らしたり、カロリー制限を行ったりしている人もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、食事の回数やカロリー数ばかりに着目していると、かえって健康のバランスを崩してしまう可能性があります。

例えば、糖質の摂り方もそのひとつです。糖質の摂りすぎは太りやすくなると考えて、摂取を控える人が増えていますが、不足しすぎるのも不調を招きます。

血糖の急上昇が招く体の変化

健康的な生活を送るためには、一定の範囲で血糖値を保つことが理想的です。

糖質を摂りすぎてしまうと、急激な血糖値上昇が起こり、エネルギー過剰の状態になってしまいます。すると、体はできるだけ早い段階で糖を処理しようと働きかけ、通常よりもはやい速度で血糖値を下げてしまうのです。

こうした食後の血糖値の乱高下は「グルコーススパイク」と呼ばれ、眠気や集中力の低下をはじめ、イライラが続いたり、落ち込みが強くなったりするほか、食後すぐにまた空腹を感じてしまうといった不調を招きます。さらには、血糖値を早く下げようとする働きによって、脂肪の蓄積スピードも速くなり、太りやすくなってしまうこともわかっています。

誰しも、糖質を含んだ食事を摂れば血糖値は上がります。だからといって、できるだけ血糖値を上げないようにと食事量を減らしてしまうのもNGです。空腹時間が長く続く場合も、体はエネルギー不足を感じて、同様の影響が起こる可能性があるからです。食べ過ぎだけでなく、空腹時間が長いことも体調の変化を招くことを覚えておきましょう。

糖質コントロールが元気の秘訣

糖質の摂りすぎも不足も、体の不調を招きます。

私たちの体は、できるだけ安定した活動ができるように、体内でエネルギーを調整しようと働きかけます。しかし、血糖値が急上昇するような食事をしてしまうと、血糖値を調整するための機能によって、血糖値の乱高下が始まってしまうことに。急激に上がった血糖値が急激に下がれば、空腹を感じて、また何かを食べたくなります。その時に、また糖質を摂りすぎてしまうと、再度、血糖値の乱高下が起きて……と、まるでジェットコースターのように不安定な状態が続いてしまうのです。

そこで、意識したいのが糖質コントロールによる血糖値の安定化です。何気なく摂った食事の内容によって、体調不良を招いてしまうのは残念なこと。次に摂る食事による血糖値上昇にも影響を与えることがあるため、できるだけ空腹時間を長引かせず、血糖値を安定させるような食事を選びましょう。ポイントとなるのが、3食の食事と上手に間食を組み合わることです。また、糖質による影響をできるだけ少なくした食事内容を選ぶことが大切です。

糖質を摂るタイミングや量によって、いかに血糖値を安定させるかが健康のカギです。上手な血糖コントロールには、一食一食への意識が大切です。健康的に体重維持を考えた食事を選びたいときはなおさら、ただ食事量を減らせばよいというわけではなく、血糖コントロールにつながる食習慣を取り入れてみましょう。

最初に取る食事は、次にとる食事による血糖上昇にも影響する!セカンドミール効果”とは

先にお伝えしたとおり、一度、血糖値の急上昇を招いてしまうと、一日を通して不安定な状態が続きやすくなります。場合によっては糖質量の多い食事になってしまうことがあるでしょう。では、血糖値不安定のスパイラルが起こりそうなときは、どのような対策を取ればよいのでしょうか。

まず、知っておきたいのが「セカンドミール効果」の考え方です。セカンドミール効果とは、ジェンキンス博士(トロント大学)が発表した概念で、最初にとった食事(ファーストミール)が、次の食事(セカンドミール)の後の血糖値にも影響を及ぼすというものです。

ファーストミールの食事内容が、血糖値の急上昇を招かなければ、セカンドミール後の血糖値上昇を抑えるとされています。つまり、一食ごとの食事内容を見直すことで、それまで不安定になっていた血糖値を安定させる変化が期待できます。

血糖値上昇を緩やかにする低GI食品

ファーストミールとして最適なのが、糖質の吸収を緩やかにする性質を持つ低GI食品です。GIとは、セカンドミール効果同様に、ジェンキンス博士が提唱したもので、糖質の吸収度合いを示します。GI値が高いほど、糖質の吸収が早くなり、血糖値の急上昇を招きやすい食品です。一方で、糖質の吸収が緩やかな低GI食品は、血糖値の上昇も穏やかになります。

低GI食品で日中のパフォーマンスをサポート

低GI値になる食品には、食物繊維などを多く含む豆類や精製されていない穀物、タンパク質を多く含む食材などが挙げられます。なかでも、注目したいのが大豆焼き菓子のセカンドミール効果です。

大豆は畑の肉と呼ばれるほど植物性タンパク質を多く含み、食物繊維も多いため、低GI食品とされています。ある試験において、1食目大豆焼き菓子を食べたグループと、米菓(せんべい)を食べたグループ、何も食べない(水のみ)グループのセカンドミール効果を比較しました。

その結果、1食目に大豆菓子を食べたグループは、米菓を食べたグループよりも、1食目後の血糖値の上昇程度が低くなりました。また、2食目において、各グループで同じものを食べたにもかかわらず、1食目に大豆菓子を食べたグループの方が2食目後の血糖値が低く抑えられています。

2食目にもっとも血糖値が上昇したのは、何も食べていないグループで、続いて米菓を食べたグループも血糖値が上昇していました。つまり、低GI食品を摂ることで、その後の血糖コントロールにもなり、同時に健康維持に役立つことがわかります。低GI食品を選ぶことで、日中のパフォーマンス安定にもつながるというわけです。

“つなぎ食”にも低GIを意識して

先の試験では、空腹時間が長いほど、次の食事では血糖値が急上昇しています。食事と食事の間隔が空いてしまいそうなときや、仕事の合間の栄養補給には、上手に小腹を満たしながら血糖コントロールもできる“つなぎ食を取り入れてみましょう。

そこでもやっぱり選びたいのが、低GI食品です。血糖コントロールに役立つだけでなく、腹持ちが良いこともメリットのひとつです。血糖値が緩やかに上昇すれば、エネルギー供給も安定しやすく、空腹を感じにくくなります。また、しっかり噛んで食べることで、満腹感も持続し、その後のドカ食いを避けられます。

忙しいときでも、片手で食べられる大豆焼き菓子なら、手軽なエネルギー補給源になるうえ、大豆に含まれる栄養素の摂取も期待できます。低GI食品で食事をつなぎ、空腹時間を減らしながら、血糖値安定を意識してみましょう。

低GI食品の活用で、セカンドミール効果を期待しよう

何気ない日々の食事や間食が、疲れを招いている原因になっているかもしれません。特にファーストミールの選択次第で、その後の元気が左右されている可能性があります。低GI食品を選びながら血糖コントロールを行い、健康的かつおいしい食生活を楽しみたいですね。

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