齋藤薫のエクエルダイアリー

Vol.05時々は、新しい服を買いに行く
それはなぜ、生きる上で必要なの?

なぜ人は、お洒落をするの?

今年は春のうちから、「新しい服が欲しい」と久しぶりに思ったはず。 言うまでもなく、いよいよ本格的にマスクのないお洒落が再開されるから。逆に改めて振り返ると、この3年間は新しい服を買いたいというエネルギーそのものがひどく減退していた。巣ごもり生活のせいだけではない。マスクがお洒落を邪魔するせいでもない。やはり、人と会う回数が決定的に減ったから。

お洒落は自分自身のためのもの……それは確かなのだけれど、“人に会う”、“誰かに会う”ことが、お洒落の大きなモチベーションになっていることは言うまでもない。ただ人に会うから服を買うのか、新しい服を買ったから何だか人に会いたくなるのか、どちらが先かわからない、いやどちらも真実なのだろう。おそらくそれらが循環して、良いスパイラルを生んでいるから、人は生き生きしていられるのではないかと、今更のように気づいたのだ。

服の買い物だけがもたらすエネルギー?

そもそも“服の買い物”は、日用品の買い物とは全く違う、特別な幸福感をもたらすもの。しかもそれは癒し系の幸せではなく、むしろ人を高揚させ、大きな意欲をもたらす“生のエネルギー”。だから服の買い物をしたあとは、無性にワクワク心が弾み、元気になって足取りも軽くなるはずなのだ。

それは、何かを始めるための瞬発力となったり、物事に対するヤル気につながっていくと言われる。いや、そういう変化が起きること、きっと誰もが感じていたはずで、むしろ当たり前すぎて“一体なぜなのか?”など考えもしなかったはずだけれど、そこにはちゃんと“買い物によるエネルギー”という指令が働いていたこと、改めて知って欲しいのだ。

服を買ったから誰かに会いたくなるなんて、不謹慎と思うかもしれない。でも“服というもの”を科学すると、服は人を包む1つのラッピング。真新しいラッピングに包み直した自分には、昨日よりも価値あるものとしての自信が生まれ、だからこそ自ら人に会いたくなる、会うことができるという仕組みがあると言う。

特に、手持ちの服では本当の自分を表現しきれていないと思うから、人は新しい服を常に求め続けるとも言われるのだ。つまり、新しく買った服は、更新された最も自分らしい自分で相手に会って、自分と言うものを伝えられると言う喜びがあるということ。1番納得できる形で人に会えるのだから。

そういう力をくれる服は、人が社会で生きていくために絶対に必要なツールであると言える。ましてや、その服どこの? その服ステキと、褒められたり聞かれたりしたら、ただ嬉しいだけではない。エネルギーがさらに高まり、今度はもっと評価される自分でありたいという意欲がさらに湧いてくる。服はやはり、自分自身なのである。

美容も同じ、昨日より、以前よりキレイになれたら、それだけで人に会いたくなる。肌がキレイになっただけで、外出したくなる。自己満足ではない、それもまた人と関わっていく意欲を生むための大切な行為なのだ。

人を輝かせるのは人?

じゃあ今度はもっと素朴な疑問。人はなぜ人に会わなければいけないのか?

それはズバリ、輝くため。誰かに会うと、たとえ一瞬であっても、表情が輝くはず。誰とも合わなければ固まったままの表情が、一瞬一瞬輝きだす。それが何より大切なのだ。

もちろん一方で、人と会うこと自体がストレスを生むこともあるはず。でも長い人生、やっぱり喜びや輝きを与えてくれるのは、人なのだ。
そういう意味で良い循環を作るきっかけとなるのが、新しい服を買うことなら、
この始まりの時、あえて買い物に出かけよう。新しい自分を見つけるため。スカーフ1枚でもいい、あるいは新しい下着だけでもいい。新たな自信を得て、キラキラしながら人と会うため。

美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫

女性誌編集者を経て独立。美容ジャーナリスト、エッセイスト。女性誌において多数の連載エッセイをもつほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。近著『だから“躾のある人”は美しい』(集英社文庫)、『“一生美人”力 セカンドステージ 63の気づき』(朝日新聞出版)ほか、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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