齋藤薫のエクエルダイアリー

Vol.06どこに行くにも、
心を込めて行く……
それが旅を幸せな時間にする大切なコツ

久しぶりに、旅の計画をしている頃かもしれない。旅と言えるほど遠くに行くのでなくてもいい。今が無理ならば、半年後でも1年後でもいい。ともかく今、なんらかの旅の計画を始めたい。3年近く、旅と名のつくものをしていない人がきっと多かったはず。だから旅する心を、旅に駆り立てられる気持ちを思い出して欲しいのだ。

「世界は1冊の本だ。旅をしない人々は本を1ページしか読んでいないのと一緒」
そんな格言がある。いやそれどころか「旅をしない者は人間の価値を知ることはできない」という古いことわざがあるくらい。
どちらにしても、旅は人生の中でも、最上位に挙げられるほど大切だという先人の教えが、山ほどあるということなのだ。

その中に、とりわけ大好きな言葉がある。「どこへ行くにも、心を込めて行きなさい」
これは中国の思想家、孔子の言葉だけれども、なんとも心に染みる提言。この言葉に出会ってから、旅に対する意識が大きく変わった。心を込めて行く……少なくともそれは、行ったことをわずかも後悔しない、そして一瞬一瞬を無駄にしない、本当にここに来て良かったと思うことが大切だと、そういう意味なのではないかと思うから。

ともかく旅行のたびに、この言葉を思い出すようにした。そこで気がついたことがある。旅の計画を立てている時ほど、幸せな瞬間は、そうそうないということ……
さあ次はどこへ行こうかと、目的地そのものを探している時、もうそこには幸せな自分の姿しか想像がつかないからこそ、旅の計画はそれだけで人を幸せにする。

もっと言うならば、旅は計画、準備、実際の旅の行程、そして思い出と、思い立ってから、終わってしまった後までずっとずっと幸福感が続くからこそ、掛け替えのない幸せ時間となり得るのだ。 それも、「未来・・→現在→過去・・」という時の流れを逆走しつつ、まんべんなく心に刻みつけるのが旅、「過去→現在→未来」という日常の時間経過とは、そこが全く違う、全く逆だからこその非日常。旅が、いかに特別な時間であるかを思い知る。

従って、旅の計画と旅の準備には、あえてたっぷりの時間を費やすのが、幸せ上手。それこそ1年前から始めてもいい。準備と言っても、何と何を持っていくかという具体的な準備だけじゃない。旅に出かけていく国や地域のことを詳細に調べたり、観光地や美術館のありきたりではない見所をしっかりと調べたり、おいしいレストランも一つ一つ吟味しておいたら、時間はあっという間に埋まってしまう。

だから、年に2回の海外旅行だけで、実際、旅をしていない時も計画と準備で埋まってしまうという人がいる。その結果、1年中幸せな気持ちが続くと証言するのだ。心を込めて行こうとするほど、幸せの時間が増えていく、旅とはそういうものなのではないだろうか。

そして、旅先でも1日1日を丁寧に心を込めて過ごすことはもちろんだけれど、そこで起こること、アクシデントも含めて全てに意味があると、一つ一つ心に留めおくことも大切。
例えば連日雨になってしまったとしても、予定変更して出かけた博物館が本当に素晴らしかったりすること、きっとあるはずで、この雨はそれを知るための雨なのだと思うこと。また来ればいい、旅に終わりはなく、人生が続く限り延々と続いていくのだと思うこと。そうやって、一つ一つの行動を全て良い思い出と、ポジティブシンキングに変えていくのが、旅の重要なコツなのだ。

どこに行くにも、心を込めて行く……このフレーズを唱えながら、旅の計画を始めよう。

美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫

女性誌編集者を経て独立。美容ジャーナリスト、エッセイスト。女性誌において多数の連載エッセイをもつほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。近著『だから“躾のある人”は美しい』(集英社文庫)、『“一生美人”力 セカンドステージ 63の気づき』(朝日新聞出版)ほか、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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