齋藤薫のエクエルダイアリー

Vol.11誘うのが苦手な人は、
そろそろ始めたい。
自分からどんどん
“人をご飯に誘う”生き方を。

誘う人と、誘われる人……そういう意味で、人は2種類いると思う。友人との食事など、いつも自分から誘っているタイプの人と、いつも人から誘われるタイプの人に、明らかに二分されるのだ。 どちらが良いという話ではない。中には、誘いたいけれど、断られたら嫌だからとか、誘って迷惑になったらいけないからと、なかなかその勇気が持てない人も少なくないはず。
その一方で、人付き合い自体が苦手で、できるだけ誘われないように生きている人もいるのかもしれないけれど、でももし、できるだけイキイキ生きたいと思うのならば、臆せずに人を明るく誘える人として生きていた方が人生楽しいはず、という話をしたいのだ。

自分自身、人を誘うのが苦手だった。まさしく誘ったら迷惑なのではないかといつも考えてしまい、誘わずにいて関係がフェイドアウトする友人も少なくなかった。
でも友人にいつもいつも誘ってくれる人がいて、彼女はいつも楽しそう。常に楽しいことを企画しては、いろんな人を誘って楽しさの中に巻き込んでいく人であり、みんな彼女のことが大好きだった。
彼女を見ていて気づいたのは、人生1度きり。家で誘いを待っているより、自ら楽しい時間を作って人を巻き込んでいく生き方の方が何倍も楽しいのではないかと。

しかも冷静になって考えれば、大人同士、楽しい時間を過ごせる相手はお互いなんとなくわかっている。こちらが楽しくなければ相手も楽しくないはずで、誰を誘えばいいのかは明らかなのだ。要するに、当然のように楽しいはずという会を、そのメンバーや雰囲気や内容まで想定して人を誘うのは、実はそう難しくないことに気づいたのだ。1対1で会って話が途切れるのが怖いのならば、もう1人誘えばいいだけの話。

韓国の知人が言っていた。韓国の人は誰かと会うときに、自分の友達も連れて行っていい?と聞いて、お互いどんどん友達を増やしていってしまうのと。そう言えば、欧米人にもそういう傾向がある。
海外のカフェなどでよく見かけるのは、その場で友達が友達を紹介して、みんないきなり楽しくご飯、というシーン。

シャイで人見知りの人には辛い場面なのかもしれないけれど、それも慣れなのではないだろうか。合わない人がいたら、もう会わなければいいだけ。誘わなければいいだけ。それだけなのだと思えば気も楽になる。

だから最近は、自分も自ら人を誘うようになった。学生時代の友達など、仕事を半分リタイヤした人も増えてきて、誘いやすくなったこともあるけれど、意識して積極的に。すると自分から誘うって、実はすごく楽しいことなんだと思い切り気づいたのだ。
確かに相手の負担にならないように誘うのは難しい。でもこちらがそれを意識すればするほど、関係は重たくなる。そうなってしまうことにも気づかされた。本当に気軽に、ご飯行こ! と軽やかに誘うほど、相手も軽やかに答えてくれる。そして楽しくなる。

何よりそれは、年齢を重ねていく過程で、非常に重要なことなのではないかと思えてきた。そういう経験が、人生後半を迎える上では絶対に必要なはずと。
何しろ、人はいつも同じ環境で同じことばかりしているから、老けていくのだという説がある。新しい体験をどんどん重ねていくこと、とりわけ初対面の人とどんどん話をすることが人を老けさせない、大切な大切な決め手であるとも言われるのだ。
だからそうやって友達の友達がやってきたら、ラッキーとばかりに心からフレンドリーに話をするよう心がけてみるべきなのだ。
少なくとも何か心のすれ違いを怖がって、人を誘わないでいたら、結局人はどんどん老けていくということ。

歳を重ねて、心が暇になるのも、忙しくなるのも、結局は自分次第なのだと改めて思う。だから人生後半、時間が許す限り積極的に人を誘っていこうと思う。それがイキイキと生きる1つのコツであるのは間違いないのだから。

美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫

女性誌編集者を経て独立。美容ジャーナリスト、エッセイスト。女性誌において多数の連載エッセイをもつほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。近著『だから“躾のある人”は美しい』(集英社文庫)、『“一生美人”力 セカンドステージ 63の気づき』(朝日新聞出版)ほか、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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