齋藤薫のエクエルダイアリー

Vol.12なぜ手帳を持たないの?
心が整う、
“手帳がある暮らし”のススメ

多くの人が手帳を持たなくなった。言うまでもなく、スケジュール管理等がスマホで済んでしまうから。
ところが最近になってまた手帳の価値が見直されている。年末に、また年の初めに“今年の手帳”を買う人が増えていると言われるのだ。それ、なんとなくわかる。スマホはスマホ、手帳はやっぱり手帳でしか味わえない心の整理ができるからなのだ。

ある人は、スケジュールというよりも、いつまでに何をするか、これからしたいことは何か、という具合に、自分が思う“すべきこと”のゆったりとした未来スケジュールを手帳に書き留めているという。
逆に、1日を終えた後、スケジュールの欄に今日はどんな日だった、今日は何があった、という過ぎたことの記録を“ひとこと日記”のように記しているという人もいる。

こうした過去と未来のスケジュール帳は、思いがけないことに気づかせてくれるはず。そもそも私たちの脳には1日6万個もの思考が、出ては消え、出ては消えしていると言う。ある時ハッと思いついて、あの人に手紙を書かなければと思っても、翌日にはすっかり忘れてしまっていることがあったりして、今日気づいたことを書き留めておくのは生活をまとめる上でとても大切。
そしてもっとエモーショナルに、「来週はもっとオシャレをして出かけよう」的なことを書き留めておくと、正直そんなゆとりがなくても、何か心の中で温かいものがポッと灯るような気がして、心が切り替わるはず。
だいたいが未来に向けての予定表はネガティブになりようがない。全てポジティブな内容になるはずで、それを後で読むと本当に心が前向きになる。前へ前へと気持ちが進むような生き方ができるはずなのだ。

一方、過ぎたことの記録は、逆に怒りや悲しみを書いても良い。腹が立つことがあっても、そこに1行、想いを書いただけで気持ちが整理されて、すっきりリセットされるはず。辛いことがあった日も、辛かった思いや逆に自分を励ますような言葉を書けば、はっきりと心が前を向くもの。だから喜怒哀楽をそのままに表現してみるのだ。

もともと、怒りは“紙に書くこと”によって鎮められると言われる。書く行為は自分を客観的に見つめる作業につながり、普通ならば収まらない怒りも、書くことによって瞬時に冷静になれ、不思議に収まってしまうのだ。それを毎日の小さな怒りにまで行うことで、きっと無駄なストレスも軽減していくのだろう。
なんだかモヤモヤ、気持ちがすっきりしない、イライラが収まらないような日があっても、そのモヤモヤやイライラを、そのまま言葉にすれば、ふっと気持ちが整うように感じるのも、書くことによる心の整理の効用である。

おそらくは文字にすること、文章にすることで、誰かにそれを聞いてもらった時のように気が済んでしまうからなのだ。あるいはまた、わからなかった事柄が書くことによってストンと腑に落ちるような瞬間があるかもしれない。書く行為がいかに大切かを、日々思い知らされるはずなのだ。
そしてまた、今日あった善い出来事、今日出会った善い人、自分自身の善い行い、などを“一日一善”的に記していけば、1年間で素晴らしい“善行記”が出来上がる。

ともかく放っておけば、すごい勢いでどんどん過ぎ去っていってしまう日々の気持ちを、そこに一言書き留めるだけで、自分の人生がいかに充実しているかを改めて確認することができるのだ。
実際にペンと紙で書く行為が極端に少なくなってしまった現代だからこそ、あえて手帳を持ちたいという意味がわかったはず。今年こそ復活させよう。手帳のある生活。1年が過ぎるのが早すぎるという人はなおさら、手帳のある1年を始めてほしいのだ。

美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫

女性誌編集者を経て独立。美容ジャーナリスト、エッセイスト。女性誌において多数の連載エッセイをもつほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。近著『だから“躾のある人”は美しい』(集英社文庫)、『“一生美人”力 セカンドステージ 63の気づき』(朝日新聞出版)ほか、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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