月は、人にとってある年齢から、急に自然が好きになった。
休日ともなると、必ず自然の中へ出かけていくようになっている。しばらく行けない週末が続くと、なんだか少し息苦しくなるような、軽い圧迫感に襲われるほど。
それを単純にストレスと考えることもできるけれども、その息苦しさを、私はもっとドラマチックに捉えるようにしてみたのだ。
実際、年齢を重ねるほどに、1つの必然として都会よりも自然が好きになると言う説がさまざまあって、私が気に入っているのはこんな説………。若い頃、自然は"眺めに行くもの"だったが、年齢とともに、"自分自身も自然の一部である"というふうに感じるようになるからと。
そう、自分自身も自然の一部、だから、自然界に身を委ねることで、自分自身に戻るような感覚があるのかもしれない。もともと人間は自然の中で生きていた。そういう人類の成り立ちに戻って、いろんな健康を捉えるという考え方が最近1つの主流になりつつあって、例えば人間はそれこそ大昔、狩猟生活だった時は定期的に1日3食なんて食べることができなかったから、飢餓状態の方が体に良いとか、お腹が空いてから食べた方が健康に良いのだと言うふうに。
だから私がリゾートへの旅が大好きなのも、自分を自然に戻すため。ともかく窓に囲まれた四角い空ではない、何にも仕切られない空を見ること、それだけでも自然と寄り添い、自然を体で感じることができると気づいたからなのだ。
特に、私自身が自然と一体化できるのは、月夜の空。リゾート地の月はとても明るく、月が発光していることがよくわかる。しかも月明かりは太陽光の 50 万分の 1 程度で、それが人にとってとりわけ心地よい光の量だとも言われる。まさにそんな穏やかな光を体中で浴びるのが「月光浴」なわけで、これは悠久の昔から人類がずっと続けてきたこと。そう考えると何か果てしない時間を感じて心がとても落ち着き、そして豊かになる。
そこで私は特に夏の夜、何も仕切るものがない大きな夜空の下で、月光浴をしながら、自己流の月瞑想をしている。瞑想は目を閉じて行うのが普通だけれど、ここは月を見ながらゆっくりと深呼吸。7 秒で吸って 7 秒で吐くような。すると本当に、自然と一体化できるのだ。
なぜなら月は常に動いていて、一瞬たりとも止まっていない。まるで呼吸をしているように。生きているように。だから自分の自然の一部となって生き続けていることを、月を見ながら感じることができるのだ。
というわけで、私にとっての最大の癒しの道具は月。いや、単なる癒しだけではなく何かエネルギーをもらえるのは気のせいではないと思う。太陽と月と地球その力関係が、月を月たらしめていて、新月から満月までを素晴らしいグラデーションを私たちに見せてくれる。だから、かぐや姫でもあるまいしと思うけれど、私は本当に月が好き。
最近の夏は、酷暑酷暑で、過酷でしかないけれど、夏のこの季節でしか体感できない素晴らしい時間もあることを知って欲しい。月光浴と月瞑想。夏の癒しとして、最大のオススメである。
女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュースエキスパート』でコラムを執筆中。『大人の女よ!清潔感を纏いなさい』(集英社文庫)他、『年齢革命 閉経からが人生だ!』(文藝春秋刊)など著書多数。