大塚製薬株式会社

医療関連事業
2021年3月22日

心不全における体液貯留を改善する水利尿薬
「OPC-61815」の国内における製造販売承認申請について

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)は、本日、ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留を予定適応としたV2 -受容体アンタゴニスト「OPC-61815(一般名:トルバプタンリン酸エステルナトリウム)」について、日本国内での製造販売承認申請を行いましたので、お知らせします。

心不全により心臓のポンプ機能が弱まると、十分な量の血液を全身に送れなくなり、血液の滞留(うっ血)が起こり、呼吸困難や倦怠感、むくみなどが生じ、悪化すると命にかかわります。心不全における体液貯留は心性浮腫またはうっ血性心不全ともいわれています。

OPC-61815はトルバプタンのプロドラッグ注射剤で、静脈内投与後に速やかにトルバプタンへと加水分解され効果を示すことが非臨床試験等から明らかになっています。臨床試験(フェーズ3)では、国内の体液貯留を有する心不全の患者さん294名を対象とし、本剤の有効性および安全性をトルバプタン錠15 mgと比較しました。その結果、主要評価項目である最終投与時の体重のベースラインからの変化量で非劣性を示しました。また、主な副次的評価項目についてもトルバプタン錠と違いはなく、安全性に関しても大きな問題はみられませんでした。

本剤は、静脈内投与可能な水利尿薬として、トルバプタンを経口で服用できない体液貯留を有する心不全の患者さんにも新しい治療の選択肢を届けることが期待されています。

  • トルバプタンについて

トルバプタンは、「水だけを出す利尿薬が欲しい」という医療現場の声を受けて、当社が創製した薬剤です。バソプレシン(抗利尿ホルモン)のV2受容体への結合を選択的に阻害することで、尿中から血中への水再吸収を抑制し、ナトリウムなどの電解質の排出に直接の影響を与えずに水分のみを体外へ排出するメカニズムを有します。トルバプタンの経口剤は、本邦では「サムスカ」の製品名で、2010年に他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留の治療薬として承認されました。またその後、他の利尿薬で効果不十分な肝硬変における体液貯留、常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)、低ナトリウム血症*の効能でも承認されています。現在「サムスカ/ジンアーク」の製品名でグローバルに使用されています。

  • *本邦の効能は抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)における低ナトリウム血症の改善です。