大塚製薬株式会社
H. ルンドベックA/S

医療関連事業
2023年5月11日

抗精神病薬「ブレクスピプラゾール」
アルツハイマー型認知症に伴う行動障害について
米国FDAより効能追加承認を取得

 大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 井上眞、以下「大塚製薬」)とH.ルンドベックA/S(本社:デンマーク、コペンハーゲン、社長兼CEO:デボラ・ダンサイア、以下「ルンドベック」)は、5月10日(米国時間)、抗精神病薬「レキサルティ®(一般名:ブレクスピプラゾール)」のアルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)の治療における効能追加の承認を米国FDAより取得しましたのでお知らせします。なお、本剤については処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)による優先審査が認められていました。

 このたびの承認により、本剤は米国において本適応を有する初めての抗精神病薬となりました。アルツハイマー型認知症の患者さんの約半数で、介護者に対する暴言、暴力、錯乱などの行動障害が認められています*1,2。行動障害を含む認知症に関連する症状は、介護者の負担を重くし、患者さん自身や家族、介護者の生活の質を低下させるとともに、患者さんが家族と同居できず介護施設へ入居せざるを得ない要因となっています。

 FDAの承認は、良好な結果が得られた2本のフェーズ3試験のデータを基にしています。331-12-283試験では、主要評価項目であるCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)総スコアのベースラインから12週目までの平均変化量において、ブレクスピプラゾール2mg/日投与群はプラセボ投与群に対して統計学的に有意な改善を示しました(p<0.05)。また331-14-213試験では、ブレクスピプラゾール2mg/日および3mg/日投与群は、主要評価項目であるCMAI総スコアのベースラインから12週目までの平均変化量において、プラセボ投与群と比較して統計学的に有意な改善を示しました(p<0.05)。本剤の忍容性は全般的に良好であり、投与中止の発生率は低く、他の適応症でみられた既知の安全性プロファイルと同様でした。

 大塚製薬 代表取締役社長 井上眞は、「このたびのFDAによるブレクスピプラゾールの効能追加は、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション症状で苦しむ患者さんと介護者の双方にとって重要な転換点となると感じています。大塚製薬は、患者さんとそのご家族・介護者に寄り添い、今後も選択肢を提供する努力を続けてまいります」と述べています。

 ルンドベック 社長兼CEO デボラ・ダンサイアは、「今回の承認は、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション症状を軽減するという私たちのコミットメントと、患者さんやその介護者への揺るぎないサポートの証しです。この重要な臨床試験に参加された皆様に感謝するとともに、FDAが承認した初めての治療選択肢を提供できることを心待ちにしています」と述べています。

ブレクスピプラゾールについて

新規抗精神病薬「レキサルティ®(一般名:ブレクスピプラゾール)」は、大塚製薬が創製した独自の薬理作用を有する化合物で、ルンドベック社と共同開発・共同販売しています。2015年に米国で「成人の大うつ病補助療法」および「成人の統合失調症」の2つの効能で承認され、現在、統合失調症治療薬として約60の国・地域で展開しています。

<参考文献>

  1. *1Halpern R et al. Using electronic health records to estimate the prevalence of agitation in Alzheimer disease/dementia. Int J Geriatr Psychiatry 2019; 34: 420-431
  2. *2Fillit H et al. Impact of agitation in long-term care residents with dementia in the United States. Int J Geriatr Psychiatry 2021; 36: 1959-1969