本資料は大塚製薬の英国子会社アステックス・ファーマシューティカルズが2023年11月20日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

大塚製薬株式会社

医療関連事業
2023年11月22日

アステックス社 創薬共同研究による3つ目の新薬が承認
-アストラゼネカ社のがん治療薬「Truqap™」が米国販売承認を取得-

AstraZeneca PLC(本社:英国ケンブリッジ、以下「アストラゼネカ社」)の「Truqap™(一般名:capivasertib)」と 「Faslodex®(一般名:fulvestrant)」の併用療法が、1 つ以上の遺伝子変異(PIK3CAAKT1PTEN)を有するホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陰性の局所進行性または転移性乳がんの成人患者さんに対する治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)より製造販売承認を取得しました。

これを受けて、大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)の100%子会社であるアステックス・ファーマシューティカルズ(英国・ケンブリッジ、以下「アステックス社」)は、下記についてプレスリリースを実施しましたので、お知らせします。

  • アステックス社は、2005年に締結したアストラゼネカ社との共同研究・ライセンス契約に基づき、アストラゼネカ社からマイルストンおよび売上に応じたロイヤリティを受領する
  • クラス初のAKT阻害剤であるTruqapは、アステックス社とICR(The Institute of Cancer Research, London)との創薬共同研究、その後のアストラゼネカ社とアステックス社との創薬共同研究を受け、アストラゼネカ社により創製された
  • 「Truqap™」は、ノバルティス社の「Kisqali®」およびヤンセン社の「BALVERSA®」に続いて、アステックス社の先駆的なフラグメント創薬技術を活用した共同研究により承認された3つ目の医薬品となる

アステックス社は、がんおよび中枢神経系疾患に対する新規低分子治療薬の創薬・開発を行っており、1つ以上の遺伝子変異(PIK3CAAKT1またはPTEN)を有するHR陽性、HER2陰性の局所進行性または転移性乳がん成人患者さんに対する治療薬として、「Truqap™」と「Faslodex®」の併用療法が米国FDAより製造販売承認されたことを受け、アストラゼネカ社からマイルストンおよび今後の売上に応じたロイヤルティを受領する予定であることを発表しました。対象となる患者さんは、転移性乳がんにおいて少なくとも1つの内分泌療法に基づくレジメンで進行した患者さん、または術後補助療法投与中もしくは終了後12カ月以内に再発を経験した患者さんです。

この新薬は、アステックス社との創薬共同研究の下で発見され開発されたがん治療薬として、過去5年間で3つ目の承認取得となりました。 「Truqap™」に加え、アステックス社の他の提携プログラムには、ノバルティス社の「Kisqali®(ribociclib)」、ヤンセン社の「BALVERSA®(erdafitinib)」などがあり、研究を新しいがん治療薬に転換することで大きな成功を収めています。

「Truqap™」は、PKBとしても知られるがんを引き起こすタンパク質AKTを標的とするファースト・イン・クラスの経口阻害剤です。AKTはPI3K/AKT腫瘍細胞生存経路において重要な役割を果たす酵素であり、この経路の調節不全は多くの重要な抗がん剤に対する腫瘍耐性をもたらします。「Truqap™」は、2003年にアステックス社、ICRおよびCancer Research Technology(CRT:現Cancer Research Horizons)の間で締結された初期の創薬研究提携に続き、アストラゼネカ社によって創製されています。
アステックス社とICRは、その初期の基礎研究の一環としてAKTの3次元X線結晶構造を解析し、フラグメント創薬技術を用いてAKT活性の低分子モジュレーターを同定しました。アステックス社とICRによって発見された一連のプロトタイプ化合物は、マウスで増殖した様々なヒト腫瘍に対して非常に有望な活性があることが示され、2005年にアストラゼネカ社にライセンス供与されました。2010年、アストラゼネカ社は「Truqap™」の発見を公表し、様々ながん種の治療薬として開発を開始しました。

販売承認後、アステックス社はアストラゼネカ社から、米国での最初の商業販売に伴うマイルストンおよび今後の売上に応じたロイヤルティを受領する予定です。

アステックス社のCEO ハーレン・ジョティは、「当社の創薬パートナーシップがこのような成果をもたらしたことを大変誇りに思います。このファースト・イン・クラスの医薬品の創製と開発におけるアストラゼネカ社の粘り強さと卓越した取り組みに敬意を表します。初期研究は素晴らしい共同研究であり、ICRの同僚がAKTの3次元結晶構造を解析するなど、先駆的な研究を行ったことを評価したいと思います。これは、英国のバイオテック、アカデミア、製薬企業のコラボレーションの成功例であり、英国のライフサイエンス・エコシステムの強さを裏付けています」と述べています。