製品開発ストーリー

ポカリスエット 製品ストーリー

水分と電解質(イオン)を補給する
「汗の飲料」は、市場を切り拓く

汗で失った水分・電解質(イオン)を速やかに補給できる飲料。
新しいコンセプト、見たこともない青い缶、当時としては薄い味―。
当初受け入れられなかったその飲料は、いまや日常の健康飲料としてアジアを中心に世界で浸透しています。

ヒントは点滴液

出張中のメキシコで激しい下痢に襲われ、脱水症状に陥った大塚製薬の研究員。現地医師から渡された炭酸飲料を前に“もっと人間の身体に合った吸収の良い飲み物はないだろうか”と思いました。また、手術後の医師が水分補給のために点滴液を飲むのを見た研究員は「飲む点滴液」というアイデアを提案。これをヒントに汗で失われる水分と電解質(イオン)をスムーズに補給できる「汗の飲料」というコンセプトが加わり、開発がスタートしました。

当時の日本は、経済成長とともに健康志向が高まり、スポーツやアウトドアなどで日ごろから汗をかくシーンも増加していました。より多くの人に飲んでもらえるようにあえてスポーツに限定せず、“日常生活のなかで飲む健康飲料”を目指して研究開発が進められ、1980年「ポカリスエット」は誕生しました。

伝え続けた「汗の飲料」の必要性

健康への関心が高まっていたとはいえ、それまでにない飲料だったため、最初はまったく受け入れられませんでした。そこで日常生活で身体から水分が失われるシーンを徹底的に洗い出し、製品コンセプトと、水分と電解質補給の重要性を伝えていきました。社員は、サウナや野球場など汗をかく場所を駆け回り、買い物途中の主婦にも声をかけ冷やした「ポカリスエット」を配布。機能とおいしさを訴え続けたところ、スポーツ施設の利用者などから反響を受け、「汗の飲料 ポカリスエット」は発汗シーンでこそ、その価値とおいしさを理解してもらえると確信したのです。

新しいコンセプトと健康へのベネフィットを頭で理解してもらい、飲んで体感してもらうために配布した本数は初年度だけで3,000万本。その活動の結果、発売から2年目の夏には大ヒットし、結果的に「イオン飲料」という新しい市場を築くことになりました。また、これは常識への挑戦でもありました。当時はスポーツ時の水分補給はタブーとされていた時代。「ポカリスエット」は水分・電解質補給の必要性を証明し、それは今やあたり前のこととなっています。医療分野で培われたノウハウと揺るぎないコンセプト、啓発活動などによって人々を潤す健康飲料「ポカリスエット」は、今も独自の価値を提供しています。

科学的根拠を、もっとひろめる

発売以降も水分と電解質補給の研究を続け、脱水時だけでなく、冬の乾燥時や入浴時、飛行機搭乗中に生じる深部静脈血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)など、さまざまなシーンでの有用性について科学的根拠を見出してきました。まだ熱中症という言葉も浸透していなかった1992年、スポーツ活動中の熱中症事故の防止を目的に、企業として初めて日本体育協会(現:日本スポーツ協会)へ協力を開始。それ以降、安全にスポーツを行うために熱中症という概念をひろめ、水分・電解質補給の大切さを伝える活動を行ってきました。今ではスポーツシーンだけでなく、職場での労働安全衛生、高齢者の水分補給などにもテーマを拡大し、情報提供を行っています。

2018年にはこれまでの熱中症研究で蓄積したノウハウをもとに、「ポカリスエット アイススラリー」を発売。従来、アイススラリーは製造や保存の観点から製品化は難しいとされていました。しかし常温保存が可能な液体を“凍らせてスラリー状にする”独自の技術を開発することで、再冷凍時にもスラリー状態の保持を実現。熱中症事故ゼロを目指し、これまでにない“飲める氷”という熱中症対策の新たな選択肢を提案しています。

  • 微細な氷の粒子と液体が混ざり合った流動性のある氷のこと。通常の氷に比べて結晶が小さく冷却効果が高いことから、効率的に深部体温を下げることが確認されています。

伝えるときは各国の特徴に合わせて

日本での発売から2年後には海外展開を開始した「ポカリスエット」は、現在アジアを中心に20以上の国と地域で販売しています。そのひとつインドネシアでは、「First Aid(最初の手当て)」をテーマにデング熱や発熱、下痢などの際の水分補給飲料として浸透。各地の風土・文化・習慣にあわせた価値訴求を行うことで、海外でもひろく親しまれています。

パッケージデザインのひみつ

「ポカリスエット」のデザインは、「水と電解質(イオン)を補給する」健康飲料という製品の本質を表現したものです。当時、食品のパッケージにはタブーとされていた寒色を使用。クールでシンプルなイメージを体現するカラーとして生命のルーツである海の青と波を表す白でデザイン。白い波形は、「ポカリスエット」と真水の吸収スピードを比較したグラフの曲線を象徴化したものです。「ポカリスエット」がこだわった、生命を維持するうえで不可欠な水分をすばやく吸収し、長時間体内に留める「イオン飲料」というコンセプトは、発売から40年近い年月が経った現在も、決して色あせることはありません。

ポカリスエット

「汗の飲料」をコンセプトに開発。発汗によって失われた水分と電解質(イオン)をスムーズに補給できる健康飲料。今では世界の20以上の国と地域で展開しています。

ポカリスエット イオンウォーター

発汗時だけでなく汗をかいていないシーンにも適したイオンバランスで、更にスッキリとした後味を実現しました。甘さひかえめで常温でもおいしく飲めます。日常の渇きを潤し、毎日のコンディションをサポートします。