ランニングサポーター久保のランニングスクール

ギャップに戸惑ったら
己を受け入れた自己分析を

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2022.08.09 掲載
久保健二さん

ランニングサポーター 久保健二さん

  • ランニングが大好きで毎日のように走る傍ら、クラブチームのコーチも務め、
    数多くの一般ランナーの指導をおこなっている
  • ラン歴21年
  • 実業団陸上部に11年間在籍

こんにちは、ランニングサポーターの久保です。

練習を繰り返していて、パフォーマンスが安定しないことってありませんか?
例えば「この前行った練習では難なく走れたのに、再び同じ内容の練習をしてみたら上手く走ることができず、前回と今回のギャップに苦しむ」といったようなことです。

私の周りにもそんなランナーがいました。Aさんは、前回400m ×10のインターバル走 (400m、1分40秒、4分08秒/㎞)で調子よく走れたのですが、1週間後に同じ内容の練習をしたところ、ペースがうまく安定せず失速してしまって7本でリタイア。そのギャップに苦しんでいました。

そこで私はAさんに対してこんなアドバイスをしてみました。
『自分のことをもう少し深く分析してみてはどうか』

自分の状態を正しく把握するのは簡単なようで難しく、自分のことがわかっているようでも実はわかっていないときがあります。
前回「調子よく走れた」と感じたということは、その時の体の状態以上に出力を上げ過ぎていた可能性があります。この夏の暑さでその時の疲れが抜けにくくなっていて、自分の頭では引き続き調子がいいと思っていても疲れを感じる感覚が鈍くなっているため、実際とイメージとのギャップが生まれたのかもしれません。

前回と同じ設定の練習は、今の体調に対しては少し強度が高かったのではないかと思い、ひとつの提案をしてみました。
『次回ぺース走をするときは、少し設定ペースを落としてやってみてはどうだろうか』

ある程度力のあるランナーは、ペースを落として練習することに抵抗を感じるときがあります。徐々にスピードを上げて練習をすることこそが力をつけることだと思っているからです。しかし、今の自分をしっかりと受け入れ、長いスパンで練習をどう組み立てるかを考えて実行することが大事です。

Aさんは「上手く練習ができなかったら同じことの繰り返しなので」と、ペースを落とした練習をすることを選択してくれました。すると前回とは別人のような走りを実現でき、最後は調子がよかったときの走りを上回るペースで走り切ることができました。本人も晴れ晴れとしたご様子。
ペースやタイムに捉われることなく今の自分をしっかりと分析した上で練習すれば、練習のムラもなくなり状態も安定し上向いてくるといった良い例です。

ペースやタイムを落とすことは何も悪いことではありません。むしろ自分をよく知った上で的確な判断ができれば、練習の意図がハッキリしてきます。目の前のことに一喜一憂せず、練習に対する自分の軸がしっかりできてくることでしょう。

Aさんにとっていい練習ができてよかったと、私の心も嬉しくなりました。
ふと目をやると、ベランダに咲いたたくさんの朝顔がやさしく微笑んでくれています。

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