齋藤薫のエクエルダイアリー

Vol.4「元気そう」が今や1番の褒め言葉。
そう言われるために必要な、
たった1つのこと!

キレイと言われるよりも、ステキと言われた方が嬉しい……今そういう価値観を持つ人が増えている。今やキレイになる手段は山ほどあって、キレイになるより、ステキになる方が難しいから、そうも言えるのだろう。トータルで洗練されていて、人目を惹き、いつまでもその存在が心に残るのが、ステキな人だから。
同じように、「若く見えるね」と言われるよりも「とっても元気そう、イキイキしてる」と言われた方が、嬉しかったりするもの。それも今、若く見せる手段などいくらでもあるうえに、年齢より若く見えることが以前ほどには評価を得られなくなったからなのだと思う。
そもそも「元気に見える」って、キレイであることも、若く見えることも、ちゃんと含んでいる。実はすごい褒め言葉なのだ。
まず、元気そうに見えるのは、生命感がキラキラしている証。もちろん、体の内側から元気が湧き出ていないと、当然のことながら発光するような輝きは生まれないわけで、まさに本当の意味でトータルな若々しさを評価する褒め言葉と言えるのだ。
じゃあ、「元気そう」と言われる時の決め手って何なのだろう。実はそれって難しい。自分は充分に元気でも「疲れているね」と言われたりすることもあったりして。狙っても、叶うものではないからである。もちろんそう見えればいいというものではないけれど、逆にそう見えるスイッチがどこかにあるのなら、ぜひ知りたい。

そこで私は、こう考えてみた。大人には、自分自身が現実に元気になる、高揚感をもたらす何らかの工夫が必要なのではないかと。ありきたりに思えるかもしれないけれど、すっぴんであっても、唇にほんのり薄く血色カラーを乗せて、紅潮した印象を装うこと。そんなことがじつは体の中から心身ともに元気になるスイッチになり得るのではないかと。
私自身、実は家にいる時も、すっぴんのままほんのり赤みが乗るグロスだけを薄く薄く唇に馴染ませている。もちろんノーメイクに見える程度。でもそういう自分を、例えば鏡に映した時、私、何だか元気そう、という自覚が脳にインプットされ、本当に元気そうな表情が生まれる。それが本物の元気につながってしまうから、に違いないのだ。まさに私の元気のスイッチはそれ。

ちなみに高齢の母も、外出しなければならない時に出かけたくないと面倒がるのに、
口紅をうっすらつけただけで、急に外出モードになる。直前まで着替えも嫌がっていたのに、じゃあ何を着ていくの? と、自ら積極的に身繕いに入っていく。化粧の力って実はものすごいのだと改めて思い知った。
うっすら血色唇を始めたのも、実はそういう母を見てのこと。基本、毎日化粧していると、化粧本来の力を忘れがちだけれど、結局は大きな意味があったのだと思い知り、今や日常的に最も小さな化粧の力を借りて生きている。

さらに、家でも元気が出る香りと言われるベルガモットやグレープフルーツなど、柑橘系の香りをほんのり纏う。すると、やすらぎを覚えながらもヤル気が出てきたりして、元気そうなイキイキした表情になってくる。
つまり元気そうな自分を、ごくごく簡単に装ってしまうのだ。そうすることで私は元気なのだという自覚が生まれ、すると本当に気分が上がってしまうという不思議。逆に言えば、そのためにこそ、化粧や香りってあるのだと改めて気づかされるのだ。
本当に元気がない時は、きちんとお化粧して出かけるのも面倒になるはずだけれど、最初に元気のスイッチをオンにしておくと、だんだんその気になってくる。唇にほんのり薄く血色だけ載せるこの習慣が、実は元気のカンフル剤になっていることは間違いないのだ。

だからコロナによる巣ごもり生活の中でもこのほんのり血色唇だけは続けていた。それだけでもまさに自分の中に血の気が通い、元気の小さな明かりが灯るように、活力が生まれてきたから。

元気そうと言われるために何をするか、その最も簡単な答えがこの、ほんのり血色唇のひとさしだなんて、当たり前すぎるのかもしれない。でもそういう仕組みが自分たち人間の体にあることは、ぜひ信じてみてほしいのだ。

美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫

女性誌編集者を経て独立。美容ジャーナリスト、エッセイスト。女性誌において多数の連載エッセイをもつほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。近著『だから“躾のある人”は美しい』(集英社文庫)、『“一生美人”力 セカンドステージ 63の気づき』(朝日新聞出版)ほか、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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