習慣が人格を作る………習慣が人格を作る………大好きな言葉だ。いや大好きなのに、なかなかその恩恵が受けられないことが、悩みでもある。どういうことかと言えば、習慣が人格を変えることには強い確信があるのに、その習慣化を自分でコントロールできないから、そういう自分をひどくもどかしく思っているということ。習慣にすべきことを習慣にすることがいかに難しいか、いつも思い知らされているということなのだ。
そう、例えば、几帳面な性格になりたくてなりたくて、だったら例えば、起きてすぐにベッドを整えることをちゃんと習慣にできたら、きっとたちまち几帳面な自分になっているはず、ということは頭でわかっている。でもその、毎日のベッドメイキングがどうしても習慣にできない、そういう自分自身に問題があると言いたいのである。
別に毎日やればいい、たったそれだけのことなのに、それがなかなか難しいのが、日常的な行為の習慣化。ではどうするか?
以前このコラムでも、骨を強くするための"かかと落とし"を、例えば歯磨きのようにゆるぎない習慣にくっつけてみることで、見事に習慣化できたという話を書いたはず。絶対欠かせない習慣に、したいことをくっつける………実はこれ、すごく有名な科学的な習慣化の方法であることがわかり、逆に驚いたほどだったが、でもだったらベッドメイキングなど簡単なはずだが………。
つまり、毎日ベッドから出るのは、絶対の習慣というか必然なわけで、そこにメイキングをくっつければいいだけの話、なぜ習慣にならないのかと悩み、そこで思いついたのは美しいベッドカバーを買うことだった。
ベッドカバーはざっくりでも見た目ベッドの乱れを美しく隠せる訳で、このレベルなら続くかもと思ったところ、確かに習慣化した。何を言いたいかというなら、そこには、簡単だから続くということや、ベッドカバー自体が美しいということ、といった新たな動機が必要で、要は自分をその気にさせ、それを仕向けることが大切なのだと思い知ったわけだ。
そう仕向ける………それは例えば、掃除機をいつも組み立てた形で、視界にギリギリ入るところに置いておく………するとそれだけで、掃除する回数が多くなるようなこと。今すぐにでも掃除できますよということを自分自身にアピールして、掃除をしやすい環境を作ってあげる、それが仕向けるということなのだ。
だから私はさらに、使い続けたいトレーニング機器や美容機器は、奥にしまわずになんとなく目につくところに置いておく。それもすぐ使える形で。そうするといつの間にか使い続けるようになり、だから習慣になっていく。そんなふうに自分をその気にさせ、そちらに導いてあげる、習慣化には工夫が必要なのである。
さらに言えば、大掃除のようになかなか腰が上がらなかったりするようなものには、立ち上がるため、そして始めるための瞬発力のようなものが必要。これにも実はちょっとしたコツがある。
いやコツといっても難しい話では無い。ほんの触りだけやってみようと思うこと。嫌になったらやめればいい、だから20秒だけやってみようと思うこと。そういう癖をつけてみて欲しいのだ。
つまり、自分を甘やかすような譲歩が、実はとても効果的なのだ。なぜなら、ちょっと始めると、人間の行動には、ある種の惰性というものが働いて、気がつくと続けてしまっているから。自分を甘やかすつもりが、結構一生懸命続けてしまったりするものなのだ。
実はそれも、始めたら始めたで、今度は途中で辞めるのが難しくなるから。始めるのも集中力や瞬発力がいるけれど、やめるのにも、実は集中力や瞬発力が必要なのである。だから自分を騙し騙し、始めてしまうこと。
そうなることがわかっていても、最初に20秒と思うと、まぁやってみようかという気になったりもする。それがコツであり、工夫なのである。
そういうものを積み重ねていくうちに、何でもきちんと続ける癖がついて、そのうち本当に几帳面な人間が出来上がっている。それだけで人格は変わるのだ。
ましてや、良いことを習慣にするのは1つの向上心。そういう心を持つだけでも人格は変わっていくはず。良い人になろう、きちんとした人になろうという思いがある人は、結果的にそうなっていくはずなのである。
逆に言えば、大人になってからそんなふうに人間は変われないと諦めてしまうことが間違い。いくつになっても人は"なりたい人"になれるのだと知って欲しい。その最初の1歩が、小さなことを習慣にしようという気持ちなのである。
女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュースエキスパート』でコラムを執筆中。『大人の女よ!清潔感を纏いなさい』(集英社文庫)他、『年齢革命 閉経からが人生だ!』(文藝春秋刊)など著書多数。