齋藤薫のエクエルダイアリー

Vol.04元気になりたいときこそ、
カタチから脳をだます

「脳を騙す」と言うと、ネガティブに聞こえるのだろう。
でも今この、脳を騙すことが、むしろ逆に思いきりポジティブな「幸せになるテクニック」として注目を浴びているのだ。

言われてみれば思い当たることがないではない。子供の頃、はあ~っと長いため息をつくと、そのたびに母親に「そうやって、ため息をつくから幸せが一緒に逃げてしまうのよ」と小言を言われていた。いや、かなり大人になるまで言われていた気がする。

ため息そのものは、ストレス軽減に効果的とも言われる。時には、ため息で元気になれる場面もきっとあるはず。でもできるなら、ため息ばかりじゃなく、ため息の後、さあ、とばかりに顎を上げて、ポジティブな自分を作ってあげるような切りかえも必要なのかもしれない。

このコラムで以前「笑顔の大切さ」について書いた時も、心からの笑顔でなくても、ただ口角を上げるだけで、免疫力が高まったりするような笑顔の効用がそのまま得られるという説を取り上げた。結局のところそれもまた、脳を騙していることに他ならない。

元気になりたい時こそ口角を上げると、何か内側から立ち上がる力が生まれてきたりするのではないか。体はくたくたなのに、意識して優しい目をしてにこやかにしていると、心だけでも晴れ晴れとしてきて、次第に体力も回復してくる、そういうことが起きても少しも不思議ではないのである。

それに気づいてから、日常の中でも時々あえて脳を騙すような工夫をしている。例えばだけれど朝起きたとき、家族に向かって必要以上にハイトーンで「おはよう~」とクリアな声で言うようにしてみたら、とてもスムーズに爽快な一日を始められる。時々今日はどうしてこんなに心が弾むのだろうと思ったりするほどに。全く以て自分の脳は「元気な挨拶」に騙されているのである。

最初、家族は怪訝な顔をしたけれど、今はそれが日常になっていて、朝の挨拶が暗いと心配されるようにもなっている。ともかく「おはよう」を元気に言うだけの“小さな心がけ”を始めて以来、毎日毎日の心持ちは以前とあきらかに変わった。

そもそも元気なふりだけで本当に元気になるなど、そんな事は起こり得ないと思っていたのも、頭で考えてありえないと思うだけで、実際試してみなかったからではないか。
一度試してわかった。脳は見事に騙されるのである。

ちなみに、毎日の当たり前の挨拶は、元気なふりをしやすいから「おはよう」だけでなく「行ってきます」「こんにちは」「お疲れ様」「さようなら」それらを心して元気に言うだけで、人生は間違いなく変わってくるはずだ。

ただ「幸せであること」については、もちろんそう簡単に自分を騙すことはできない。ましてや人に幸せなふりを見せても、何の意味もない。やはり毎日コツコツ、元気の心がけを積み重ねていった先に、ふんわりとした幸せが生まれるわけで、ここは丁寧に自分を高めて行くしかないのである。毎日コツコツ植木に水をやって、青々とした葉を実らせるように。

美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『大人の女よ!清潔感を纏いなさい』(集英社)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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