齋藤薫のエクエルダイアリー

Vol.08「ありがとう」をたくさん言うと、
性格が良くなるって本当だろうか。

自分が幸せなのかどうかを問う時、社会的な立場や“裕福かどうか”、人より恵まれているのかどうか、そういうことから幸せ不幸せを考えてしまうと、きっと誰も幸せになれない。だからもっと単純にもっと軽やかに、心の状態をより良く保つだけで、人は必ず幸せな気持ちになれるのだと説く、新しい幸福学が提唱されている。

もちろん、「前向きになれば、幸せになります」と言われれば、そんなことはずっと前から充分わかっていて、それができないから悩ましいのだと思うはず。
まさにその、前向きになるにはどうしたら良いのか、具体的な方法がなかなか見つからないことが1番の問題だったのかもしれない。

そこで提案したいのが、家の中での「ありがとう」。なんだそんなこと?と言うかもしれないし、それって意外に難しい、と思うのかもしれない。自分は昔から「ありがとう」だけはちゃんと言っているけど?という人もいるのだろう。でも、それならば、もっともっと意識してたくさん、意識して明るくクリアに声に出すこと、具体的には今の10倍言うくらいのつもりで!……そんな提案なのである。

ただしこれは、「人にちゃんと感謝すれば、幸せは向こうからやってくる」的な、これまでもよく言われてきたような精神論では無いのだ。あくまでもウェルビーイングという、幸せを呼ぶ健康法と言ってもいいもの。
ウェルビーイングにおける「健康」は、心身の健やかさのみならず、人間関係がスムーズであったり、仕事もうまくいっていたりなど、全てが満たされている状態。そういう良好な状態に自分を保つことこそが、幸福感をもたらすという教えなのである。

実際、試してみて驚いたのは、意識して家族に「ありがとう」を言い始めたとたん、なんだか不思議な位に気持ちが良くなり、なんだか上機嫌になり、正直今まで感じたことのないような種類の幸福感が体の中に溢れること。なるほどこういうことだったのかと、深く深く納得した。

その幸福感は、自分自身の心がどんどん浄化されていく時に感じられるもの。錯覚なのかもしれないけれど、自分がどんどんいい人になっていく喜びがあって、それが幸福感につながっていることに気づかされるのだ。

「ありがとう」をきちんと言えば、当然のこととして相手が気持ちよくなり、関係も良くなるが、何よりの効果は、自分自身に訪れる。なるほど確かに効き目抜群。逆に言えばなぜこんな簡単なことに今まで気づかなかったんだろうと、ちょっと後悔するほど。

さらに言えば「ありがとう」生活に切り替えると、不思議にイライラしない、怒りっぽくならない、落ち込んだりもしない、不機嫌にならない。そういうネガティブな感情が生まれなくなること自体が、ウェルビーイングなのである。

かくして、「ありがとう」1つで心の状態が良くなると、いつも機嫌良く生きられて、なんだか性格が良くなったような気にもなれてしまう。いや本当に性格が良くなって、なんだか人生まで変わりそうな気がするほど。

これまで、性格が良くなる方法なんてよほどの心理学でなければ探し当てられなかったわけで、ここまで身近にそんな素晴らしい方法があるなんて、それを知っただけで嬉しくなる。事実、それが人生レベルの幸せにつながっていくと考えても良いはずなのだ。

なんだかいつも後ろ向き、感情の起伏が激しすぎる、自分の性格が嫌い……なんであれ自分の心にネガティブを見つけたら、日常の挨拶を見直したい。それだけで自分自身も、また人生まで変わってしまうほどの自分改革ができるのだから。

美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『大人の女よ!清潔感を纏いなさい』(集英社)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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