齋藤薫のエクエルダイアリー

Vol.10家にいるときの部屋着を着替えるだけの、
エイジングケアを始めたい

この数年間で、家での過ごし方がだいぶ変わった。過去に経験のない長い在宅生活で、家にいる時間をもっともっと大切にしたいと思う人が増えたはず。仮に今、生活自体は元の形に戻ってきたとしても、そうした家での生活スタイルはもう習慣になっているのかもしれない。

例えばだけれど、かつては家にいる時、そのまま寝てしまえる“部屋着”兼“寝間着”を着ていた人が、決して寝間着にはしない部屋着を着て過ごすようになった、そんな声をよく聞く。逆にそのまま近所に出かけていくこともできる、30%程度のきちんと感を持っている室内着を用意する人が増えたのだ。

言うまでもなくそれは、リモート会議対応。上半身だけならそれでも充分に会議に通用する室内着。リモート会議にあまりよそ行きを着て参加するのも何か違和感があるし、かといっていかにもの部屋着ではなんだかまずい。まさにその中間の、もう一つのカテゴリーがワードローブに加わったと言うことなのだ。

例えばデザインはカジュアルなジャケット、でも素材はジャージ、だから、人前に出ても恥ずかしくないし、でもそのままソファーでお昼寝もできてしまうと言うような、きちんと感とリラックス感がほどよく入り混じった服が実際に増えているのだ。

言うまでもなく、人間着るものによって意織が変わり、よそ行き感の分だけ背筋が伸びる。さらに不思議なことに、よそ行き感が30%でもある服の方が、家で過ごしていて疲れないことに、気づいている人がきっといるはずなのだ。まさに30%の分だけ身体に宿る緊張感が、自分を疲れさせないという仕組みがあるということなのではないか。

私たちは、ひたすらリラックスすることが体を休めることと考えがち。つまり寝溜めをするとか、1日ソファーでゴロゴロするとか、そういうことが真に体を休めることだと……。でもそれ本当だろうか。

まず寝溜めは基本的にできないと言われるように、長く寝過ぎた分だけ体調を崩しがちとも言われる。体内時計の乱れを引き起こすからだが、ちょうど時差ぼけしたような状況になるからで、週末寝溜めしたはずなのに、週明け逆に非常に体がだるいと言う状況になりがちなのだ。寝過ぎは睡眠不足と同じように、体に負担をかけると考えてもいいくらい。

また一日中ゴロゴロしているのも、寝過ぎと同じように体内リズムを壊してしまう原因となるが、1日ゴロゴロは要するに、1日ずっと座りっぱなしで何もしない状態だからこそ、体に悪い。

仮に本当に疲れているのならば、体が疲れているのか精神的に疲れているのかをきちんと見極めるべき。体が疲れているのなら、体を休めつつも本を読むなど静かにし過ごし、精神が疲れているのなら、逆に外出して良い音楽を聴いたり公園を散歩するなど、副交感神経を優位にするようなリラクゼーションを試みながらも、体を動かした方が効果的。つまり体も心も一緒にどっぷり休ませてしまうからこそ体調を崩すのだ。

いずれにせよ、そういう“1日ゴロゴロ”を具体的に防ぐためにも、ちょっとだけ“よそ行き”印象の服を着ていること。そして、うっすらとメイクをしておくこと。
そうすることによって家での生活が、いつの間にか充実している。誰も見ていなくても、どこかで見られていたとしても、恥ずかしくない自分でいること、どんな瞬間も美しい自分を自覚すること、それは知らず知らずアンチエイジングになっているはず。
室内着を着替えるだけのエイジングケア、始めてほしい。

美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『大人の女よ!清潔感を纏いなさい』(集英社)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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