コラム 暮らしを彩るワンポイント心理カウンセラー・石原加受子さんの
自己肯定感のレッスン

第2回 
自分の人生は自分のもの

子育てや介護、仕事に人づきあい。「なんだか、自分のことはいつも後回し」と感じたことはありませんか。自分のために人生をはじめるコツは、他人との境界線を自覚することだと言います。

家族のために生きる人

家族に尽くしてばかりいる女性がいます。舅と姑を一生懸命介護して、姑を看取ったときのこと。最期に「お世話になってありがとう」と感謝されたので、「その言葉で、私の人生が報われる思いがした」のだそうです。彼女は、その一言で、姑との“なさぬ仲”だったことも氷解したと言うのでした。一件、美談のように思うかもしれません。けれども本当に、そうでしょうか。その女性に、「夫は、協力してくれましたか」と尋ねると、表情を曇らせ、「夫は一切、私に任せっきりで、何もしてくれませんでした」と険しい顔つきで答えました。

苦労を選択していませんか?

彼女の人生は彼女ものです。ですから、彼女がどんな人生を選択しようが、それは自由です。苦労する人生を選択しようが、快適で満足に満ちた人生を選択しようが、他人がとやかく言うべきことではありません。けれども、もし、苦労せずとも済む人生があるとしたら、どうして、わざわざ苦労する選択をする必要があるのでしょうか。
第2回 自分の人生は自分のもの/心理カウンセラー・石原加受子さんの【自己肯定感のレッスン】
イラスト・三好 愛

トラブルの原因

例えば、嫁と姑が争い合うとしたら、どうしてでしょうか。それは、お互いに自分の我を通そうとして、それを相手に押しつけようとするからでしょう。自分の思う通りに相手を従わせようとするところから、争いが生じます。こんなとき、もし、お互いに「相手の自由」を認め合えれば、争いは確実に減るでしょう。嫁姑の間の問題だけではありません。多くの場合、「私」と「相手」がいれば、自分の思うことを相手に押しつけたり、自分に従わせようとしたりするときに、トラブルが起こります。

自由を認め合う

「自分の人生は自分のもの」。同様に「相手の人生は相手のもの」。その境界をしっかり自覚して、「相手のため」よりも「自分のため」に生きたほうが、それぞれに、はるかに満足度の高い人生を送ることができるに違いありません。お互いに相手の自由を認め合えれば、問題が起きても、意見を押しつけずに話し合うことができます。「最期に感謝される」より、「日々、相手に感謝したくなる」関係を築きたいものです。
石原加受子
石原加受子(いしはら・かずこ)さん
日々の生活の些細な場面で、「私なんて」「私なんか」と自分を否定していませんか。心理カウンセラーの石原加受子さんに聞く自己肯定感を高めるヒント。「自分中心心理学」を通して、毎日を楽しく、元気に生きる方法を教えてもらいましょう。
心理カウンセラー。心理相談研究所「オールイズワン」代表。「自分を愛し、自分を開放し、もっと楽に生きる」ことを目指す「自分中心心理学」を提唱。仕事や家族、人間関係に悩む人に向けたセミナーやカウンセリングなどを30年続けている。「誰にも言えない『さみしさ』がすっきり消える本」(SBクリエイティブ)「やっかいな人から賢く自分を守る技術」(三笠書房)など著書多数。文庫化された本や翻訳本も含めると200冊以上を出版している。日本カウンセリング学会会員。日本学校メンタルヘルス学会会員。厚生労働省認定「健康いきがいづくり」アドバイザー。
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