第53回
チョコレートサラミの贈り物
調理は刻んで、溶かして、混ぜるだけ。簡単なのに専門店に負けない本格的なおいしさです。

切り口はサラミそっくり。なのに上等な味わい。ラッピングするとさらに映えるから、プレゼントにぴったり。
手作りするならチョコサラミ
冬はチョコレートを一番おいしく味わえる季節です。空気が冷たくてチョコレートが溶けないって素晴らしい。8月だったら大変、チョコレートを贈るバレンタインデーが2月で本当によかった。手作りするなら、サラミの形をしたイタリアの定番チョコレートがおすすめ。ちょっとした集まりの手土産に持ち運びやすいし、見栄えも◎。コーヒーやホットミルクにはもちろん、ワインにもピッタリ。ナッツやドライフルーツはお好きなものに変えてください。
手順は溶かして固めるだけ
自宅で食べるなら全ての材料を1/2にして作ってもいいです。あるいは分量はそのままで、プレゼントする人数に合わせて、サラミの長さを短く、本数を増やしてもいい。自由に成形できるのもチョコサラミのいいところ。味付けなしの素焼きタイプのナッツミックスを使うと便利です。ドライフルーツに甘味があるので、カカオ60%のチョコレートを使いました。カカオ70%で作るとさらに甘さ控えめな仕上がりに。お好みのチョコレートで作ってください。

材料(長さ15cm×直径4cmの棒状 2本分)
*Aダークチョコレート 180g
(画像は製菓用チョコレートタブレット/カカオ60%。お好みの市販の板チョコでもよい)
無塩バター 55g
生クリーム 30g
*B
素焼きタイプのナッツ 合計65g(画像はヘーゼルナッツ、くるみ、アーモンドのミックス)
ドライフルーツ 合計90g(画像はマンゴー、いちじく、クランベリーのミックス)
粉糖 適量
40cm×30cmのクッキングシート 2枚
*ラッピング
30cm×30cmのクッキングシート 2枚
細めのリボンまたは紐 35cm 2本
カード 2枚

1 Bのナッツを包丁で粗く刻む。ドライフルーツは1~2cm角に刻む。

2 板チョコの場合は細かく刻んでおく。画像のようなタブレットはそのままでOK。Aを70℃程度の湯煎にかけてなめらかになるまで溶かす。

3 固まりがなく完全に溶けた状態。湯煎から外す。

4 3に1のナッツとドライフルーツを加えて混ぜる。

5 具材が混ざったところ。この状態では柔らかすぎるので、ときどき混ぜながら粗熱を取る。

6 クッキングシートに置いたとき、画像のようにチョコレートがダレて広がる場合は柔らかすぎです。うまくシートを巻けないので注意。
サラミ形に成形するコツ
サラミ形に成形するコツは2つ。まずチョコレートが柔らかすぎないこと。それからチョコレートに対してクッキングシートの縦横の広さを大きめに取ることです。クルクル巻くので幅が短いとチョコレートがはみ出てしまう危険があります。巻いたあとは両端をねじって留めるので、ねじった先が短いときつくねじれません。特に初心者はゆとりのある大きさにカットしたクッキングシートを使うと上手に成形できます。

7 2枚の40cm×30cmのクッキングシートを横長に置き、それぞれの手前側に一直線上に生地を長さ15cmに置いて均等な高さにこんもり盛る。

8 手前のシートを持ってクルクル巻いていく。端まで巻き終わったら、紙の両端をギュッとひねり、ほどけないようにねじる。
9 両端をギュッとねじり終わったところ。両端から圧をかけるようにねじることで均等な太さになり、きれいな筒状に成形できる。冷蔵庫で2~3時間冷やし固める。
仕上げとラッピング
プレゼントにしない場合は、成形に使ったクッキングシートで巻き直して、冷蔵庫や涼しい場所で保存。召し上がるときにシートの上で切り分け、残りはまた包み直してください。プレゼントにするなら新しいクッキングシートで包み直しましょう。サラミはすでにきれいに成形されていますから、30cm×30cm程度の寸法のクッキングシートだとかわいく包めます。1本のリボンで両端を結ぶとよりサラミっぽい仕上がりになります。

10 クッキングシートを開き、粉糖をふるって、まんべんなくまぶす。

11 粉糖をまぶし終わったところ。サラミに見えますね。
*プレゼントにしない場合は、そのまま下に敷いているクッキングシートで巻き直して、冷蔵庫か涼しい場所で保存する。
*プレゼントにしない場合は、そのまま下に敷いているクッキングシートで巻き直して、冷蔵庫か涼しい場所で保存する。

12 プレゼントにする場合は包み直す。30cm×30cmのクッキングシートの手前側にチョコサラミを置き、手前のシートを持ってクルクル巻いていく。

13 紙の両端をギュッとねじって留める。

14 両端のねじった部分にリボンを結ぶ。メッセージカードを付ける場合は、リボンにカードを通してから結ぶ。

15 クッキングシートの上でお好みの厚さに切り分ける。

16 器に盛り付けたところ。

福田 里香(ふくだ・りか)さん
菓子研究家。武蔵野美術大学出身。フルーツの専門店で勤めたのち、独立。果物を使ったオリジナリティあふれるスイーツや料理で注目を集める。雑誌でフードコラムを担当しながら、『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局)『新しいサラダ』(KADOKAWA)『R先生のおやつ』(文芸春秋)など料理本を多数出版。漫画への造詣も深く、作品に登場する食べ物の表現への考察は漫画ファンのみならず、漫画家からの評価も高い。美しい料理を次々とアップするInstagramにはおいしいもの好きが集う。2024年1月、文春文庫から『物語をおいしく読み解く フード理論とステレオタイプ50』が発売。