ページ内を移動するためのリンクです。

  1. ホーム
  2. 大塚製薬について
  3. ニュースリリース
  4. 2014年
  5. 大塚製薬、新規抗結核薬 「Deltyba」(デルティバ)多剤耐性結 ...

大塚製薬株式会社

2014年4月30日

医薬関連事業

大塚製薬、新規抗結核薬 「Deltyba」(デルティバ)
多剤耐性結核の適応症で欧州にて承認取得

  • 大塚製薬が独自に創製した新規抗結核薬「Deltyba」(デルティバ)が初めて承認され、多剤耐性結核の治療が欧州で可能となる
  • 今まで多剤耐性結核の薬物療法は既存薬の組み合わせで行われてきたが、WHOによると治療の成功率は50%以下であり、世界では年間17万人が亡くなっている。「Deltyba」は多剤耐性結核の新しい治療選択肢となる
  • 1971年大塚製薬初の治療薬研究所設立時、当時社長の大塚明彦(現大塚ホールディングス代表取締役会長)が掲げた最初の研究テーマのひとつが結核であった。大塚製薬は抗結核薬の開発に最も多くの投資をしている*1

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:岩本太郎、以下、「大塚製薬」)は、「Deltyba」(デルティバ、一般名:デラマニド)について、成人において耐性および忍容性のために効果的な治療法がない多剤耐性肺結核の患者さんに対する治療レジメとの併用薬として、欧州委員会より販売承認を取得しました。「Deltyba」は、結核菌の細胞壁を構成するミコール酸の生成を阻害することで効果を示す、新しい作用メカニズムを有する化合物です。結核治療の第一選択薬であるイソニアジドやリファンピシンに対して耐性を獲得してしまった結核菌種に対しても強い効果を示します*2

「Deltyba」は欧州で2008年に希少疾病用医薬品として指定されました。9カ国*3で実施された臨床試験では、多剤耐性結核の標準治療に上乗せして「Deltyba」を2カ月間服用することで、喀痰中結核菌の消失(sputum culture conversion:SCC)がプラセボ群と比較して、統計学的有意に向上していたことが確認されました(「Deltyba」群45.4%、プラセボ群29.6%)*4。SCCは結核の感染性がなくなったことを示す指標です。

大塚ホールディングス代表取締役会長兼大塚製薬取締役会長の大塚明彦は、「大塚製薬の新薬が、欧州の多剤耐性結核の患者さんへ新たな治療を取得できたことを大変嬉しく思います。現在、多剤耐性結核が欧州でも深刻な問題となっています。半世紀前に抗結核薬リファンピシンが生まれた時、世の中の結核問題は終わったようでした。しかし、私はあえて自社の研究テーマに結核を選びました。結核はアジアでも重大な公衆衛生の問題ですから誰かが研究しておかなくてはならないのです」と述べています。

抗結核薬の耐性は、治療薬の不適切な使用や、強い副作用のために医療従事者の指示通りに治療薬を服用しないことなどから生じます。多剤耐性結核の出現は世界的な脅威となっており、少なくとも20カ月におよぶ治療期間を強いることになるため、患者さんの負担は非常に大きなものになります。多剤耐性結核の薬物療法は既存薬の組み合わせで行われてきましたが、全世界での治療成功率は50%以下に留まり、緊急なアンメットメディカルニーズを作り出しています。

多剤耐性結核のエキスパートであるオランダのグローニンゲン大学医療センター、ワイル・デ・レンゲ先生は、「結核に携わる多くの人が、多剤耐性結核に新たな治療薬を待ち望んでいました。既存の治療薬に対する耐性が増加し、世界では多剤耐性結核の治療の成功率が半分にも満たないという現状のなか、『Deltyba』は新しい選択肢として歓迎されるものです」と述べています。

大塚製薬代表取締役社長の岩本太郎は、「研究所設立以来の夢であったファーストインクラスの抗結核薬として、この度『Deltyba』が欧州で承認を取得できたことを大変嬉しく思います。世界には未だに多くの多剤耐性結核で苦しむ多くの患者さんがいます。『Deltyba』が結核治療の向上に貢献できることを願っています」と述べています。

今後患者さんが「Deltyba」の恩恵を継続して確実に受けられるよう、大塚製薬は耐性菌を出現させないための最適な治療アクセス計画(Responsible Access Plan:RAP)の作成に投資してきました。RAPは厳格な薬剤流通管理、他の多剤耐性結核治療薬と「Deltyba」を併用する際の正しい投与方法についての専門医教育、「Deltyba」の安全性と有効性を調査するための患者登録制度を含みます。大塚製薬は、十分な治療を受けていない患者さんが「Deltyba」にアクセスできるよう、そして高蔓延国や臨床試験を実施した国々でも承認を取得できるよう努めてまいります。

FIGHTBACKとは、ヨーロッパ呼吸器学会と大塚製薬のコラボレーションにより立ち上げた結核についてのイノベーティブな啓発を目的としたフォトマガジンです。結核は世界中のどこにいても誰もがなり得る疾患であると同時に治癒可能な疾患であることの理解を広め、深めることを目標としています。また、世界の多剤耐性結核の現状を伝える上で、現在この疾患と闘っている人や関係者の励みとなるメッセージを添えています。

FIGHTBACKフォトマガジンは、大塚製薬ホームページでご覧いただけます。
http://www.otsuka.co.jp/pharmaceutical-business/about/tuberculosis/

実際のマガジンをご希望の際は、大塚製薬広報部へお問い合わせください。

参考資料

結核および多剤耐性結核について*5

結核は、エイズ、マラリアとならび世界3大感染症のひとつであり、世界の人口の3分の1に相当する約20億人が感染していると言われています。結核菌は、ウイルスや他の多くの細菌より分裂が遅く毒素も出さないため、初期には特別な症状を示さないことが感染の広がりにつながります。発症例の90%以上は結核菌が肺に巣食うことで肺に炎症を起こし、この状態の時期が長く続きます。画像診断などで病巣が発見されやすいのもこの段階です。症状として最も多いのは咳で、半数以上でみられます。また、痰のからむ咳が多く、約25%の患者さんでは長く続く発熱があり、約10%の患者さんでは喀血や血痰が見られます。

1882年3月24日にロベルト・コッホ博士により発見された結核菌に対する最初の有効な治療薬であるストレプトマイシンが登場したのは1943年でした。その後、1940年代から1960年代にかけて結核に有効な治療薬が次々と登場し、特に1960年代には当時の画期的な治療薬であるリファンピシンの合成により本格的な薬物療法の時代に入りました。しかし、結核は治癒する疾患と認識され、結核の治療薬を研究する施設や研究者が世界中で減っていくなかで、1980年代には治療薬に耐性を示す結核菌の急速な出現により、1993年にWHOが結核緊急事態宣言を発表する事態となりました。

WHOの最新のレポートによると、2012年には世界で約860万人が結核を発症し、約130万人が結核を原因として亡くなっています。結核対策については多大な努力が行われていますが、依然として公衆衛生上の大きな課題であり、過去20数年の間にはこれまでの第一選択薬が効果を示さない多剤耐性結核という新しい問題も生じています。薬剤の不足、品質、さらには薬物治療を途中で中断してしまうなどの治療上の問題が、これらの耐性菌の出現に大きな影響を及ぼしています。世界の27カ国で多剤耐性結核の90%が蔓延しています。多剤耐性結核は、毎年約45万人の患者さんが発症し、約17万人がこの疾患のために亡くなっていると推計されています。多剤耐性結核の治癒率は50%以下と言われ世界的な脅威となっていることから、限定的な地域での取り組みに留まらずグローバルな取り組みが必要不可欠です。

結核の詳しい情報は、大塚製薬ホームページの「健康と病気」結核 –古くて新しい病気– もご参照ください。
http://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/tuberculosis/ 

「Deltyba」について

大塚製薬が創製した「Deltyba」は、ニトロ-ジヒドロ-イミダゾオキサゾールに分類され、結核菌の細胞壁を構成するミコール酸の生成を阻害することで効果を示す、新しい作用メカニズムを有する化合物です。今回承認された欧州では、成人の多剤耐性結核に対して、既存の治療薬の組み合わせでは忍容性や薬剤耐性などの理由から有効な治療が望めない場合に併用し、24週間、100mgを1日2回服用することが推奨されています。

「Deltyba」(デラマニド)のフェーズ2試験は、世界9カ国*3・17施設において多剤耐性結核患者481名を対象として行われ、喀痰を培養し結核菌を検出することによる評価(SCC)を行っています。SCCは結核の感染性がなくなったことを示す指標です。治療開始から2カ月時点でのSCCは、結核患者さんの予後や死亡率に密接に関係することから、その結果は重要視されます。本試験では、WHOの多剤耐性結核治療ガイドラインによる標準治療でのみ治療された患者群では2カ月間治療を行った時点のSCC達成率が29.6%であったのに対して、標準治療に加え「Deltyba」100mgを1日2回併用した患者群でのSCC達成率は45.4%であったことから、標準治療に「Deltyba」を上乗せすることによって統計学上有意に53%の向上が認められました。「Deltyba」投与群では心電図QTの延長が若干多く(「Deltyba」投与群では9.9%、プラセボ群では3.8%)みられましたが、立ちくらみや不整脈は認められませんでした。本試験の結果は、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌に2012年6月に掲載されました。 「Deltyba」は欧州や日本で希少疾病用医薬品として指定されており、現在、国際フェーズ3試験および小児の多剤耐性結核でも臨床開発中です。日本では、2013年3月に製造販売承認の申請を行いました。今後、米国でも申請予定です。 

  • ※1 TAG – Tuberculosis Research and Development: 2013 Report on Tuberculosis Research Funding Trends, 2005-2012
  • ※2 The marketing authorization holder for Deltyba is Otsuka Novel Products GmbH. Medical information enquiries may be made to medical@otsuka.de
  • ※3 エジプト、ラトビア、エストニア、日本、フィリピン、中国、韓国、米国、ペルー
  • ※4 Gler MT, Skripconoka V, Sanchez-Garavito E, Xiao H, Cabrera-Rivero JL, Vargas-Vasquez DE, et al. Delamanid for multidrug-resistant pulmonary tuberculosis. N Engl J Med. 2012 Jun 7; 366(23): 2151-60
  • ※5 参考:医療者のための結核の知識 第4版(医学書院)

本ニュースリリースの掲載情報は、発表当時のものです。