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大塚製薬株式会社

2014年9月8日

医薬関連事業

多剤耐性肺結核の治療変革が始まる
新規抗結核薬 「デルティバ®錠50mg」 9月26日 国内発売

  • 大塚製薬創製の「デルティバ」は日本において約40年ぶりの抗結核薬の新薬で、日本で唯一の多剤耐性肺結核の薬剤。「デルティバ」がWHO推奨の多剤耐性結核の標準治療と併用されることで、多剤耐性結核で問題となっている低い治療効果を早期に高め入院期間を短縮させ、死亡率を改善することが期待される
  • 日本の結核患者数は現在約2万人で先進諸国の中では最も高い水準である。患者さんは治療のために隔離され就業できないなど負担・苦痛を抱えている。殊に既存の薬に耐性ができてしまった多剤耐性結核の治療成績は向上しておらず、感染が長期化したり、死に至ることもあるため、新たなメカニズムを持つ治療薬の登場が望まれてきた
  • 結核菌は薬剤に耐性となりやすいため本剤についても耐性菌出現を防ぐ必要があり、大塚製薬は高精度な薬剤感受性試験が実施できる医療機関を登録することによる薬剤供給統制を含む最適な治療アクセス計画(Responsible Access Program : RAP)を開始する

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:岩本太郎、以下「大塚製薬」)は、新規抗結核薬「デルティバ錠50mg」(一般名:デラマニド)について、成人における多剤耐性肺結核に対する治療薬として9月26日に国内で販売を開始いたします。本剤は結核菌の細胞壁を構成するミコール酸の生成を阻害することにより殺菌効果を示す、新たなメカニズムを有する抗結核薬です。特に、結核治療の第一選択薬であり長期間使用されるイソニアジドおよびリファンピシンに対して耐性を獲得した結核菌種(多剤耐性結核)に対して強い効果を示します。本剤は希少疾病用医薬品として指定されています。

【日本の多剤耐性結核の現状】

日本の結核罹患率は戦後低下したものの、現在人口10万人あたり17人で先進諸国の中で最も高い水準です。患者さんは治療のために隔離され就業できないなど負担・苦痛を抱えています。抗結核薬の耐性は、副作用のために治療を完遂できない等、薬が適切に使用できない場合に生じます。多剤耐性結核の治療は、従来の抗結核薬を複数使用して行われていますが、効果が十分でなく、治療期間は少なくとも20カ月から長い場合は数年におよぶことから患者さんの負担は非常に大きなものになっています。新しい薬がないため治療成績は向上しておらず、治療成功率は40~70%です。多剤耐性結核の感染が長く持続することや死亡率が高いことも問題となっています(死亡率は3年で18%、5年で25%:図)。

【デルティバの臨床成績】

世界9カ国※117施設で実施された臨床試験において、多剤耐性結核の標準治療(OBR※2)に「デルティバ」100mgを1日2回併用した超多剤耐性結核を含む患者さんでは2カ月後の喀痰中の結核菌陰性化率は45.4%であり、同様の標準治療にプラセボを併用した患者さんでの陰性化率29.6%と比較し有意に上昇したことが示されました。また重要な結果として、多剤耐性結核の標準治療に「デルティバ」を6カ月以上併用した場合、多剤耐性結核、超多剤耐性結核の両方に対して死亡率を低下させ長期的な治療効果の改善を示しました。「デルティバ」群とプラセボ群の副作用は心電図でのQT延長※3以外では同程度でした。QT延長は、「デルティバ」100mgを1日2回投与した群では9.9%で、プラセボ群での3.8%と比べ若干多くみられましたが、立ちくらみや不整脈は認められませんでした。

  • 本剤を使用するにあたり、QT延長があらわれるおそれがあるので、投与開始前及び投与中は定期的に心電図検査等を行い、リスクとベネフィットを考慮して本剤の投与を慎重に判断する必要があります。

【デルティバの適正使用について】

「デルティバ」が将来にわたって多剤耐性結核の治療選択肢であり続けられるよう、薬剤耐性の出現を防ぐ必要があります。大塚製薬は高精度な薬剤感受性試験が実施できる医療機関を登録することによる薬剤供給統制を含む最適な治療アクセス計画(Responsible Access Program : RAP)を開始してまいります。RAPは多剤耐性結核の専門医療従事者に本剤の適正使用をすすめるものです。
RAPでは以下の4つを実行します。

  • 1) 適格性確認システムによる薬剤供給適否の判断(施設・医師の登録、適格性確認委員会の審査など)
  • 2) 全例調査による安全性情報収集
  • 3) 医療従事者及び患者への情報提供
  • 4) 添付文書での注意喚起

2014年7月に日本結核病学会治療委員会が学会としての本剤の使用に関する見解「デラマニドの使用について」※4や本剤による治療法を示した「結核の医療の基準の見直し-2014年」※5を学会誌に掲載しています。

大塚製薬の専務執行役員 抗結核グローバルプロジェクトリーダー 吉武益広は、「日本で『デルティバ』が発売され使用できるようになったことを大変嬉しく思います。世界で脅威となっている公衆衛生上の課題である多剤耐性結核に対して革新的な創薬を商業化するには、当社の多くの研究者やプロジェクトチームの創意工夫が必要でした。今後、様々な国で多剤耐性結核を撲滅したいという長期的な目標を実現化してまいります」と述べています。

本年4月に「デルティバ」は、成人の多剤耐性肺結核の適応で欧州委員会(EC)より販売承認を取得しました。大塚製薬は現在、欧州での使用を促進しており、高蔓延国や試験を実施した国々でも承認を取得できるよう努めてまいります。

  • ※1 エジプト、ラトビア、エストニア、日本、フィリピン、中国、韓国、米国、ペルー
  • ※2 optimized background regimen: 多剤耐性結核に対して効果のある薬剤を確認して行う薬物治療をいう
  • ※3 心電図でQ波開始からT波終了までの時間が延長されること。薬剤の心臓への影響をみる指標
  • ※4 結核 89巻 第7号:679-682, 2014
  • ※5 結核 89巻 第7号:683-690, 2014

デルティバ®錠50mgの概要

【参考資料】

結核および多剤耐性結核について

結核は、エイズ、マラリアとならびWHOが指定する世界3大感染症のひとつであり、世界の人口の3分の1に相当する約20億人が感染していると言われています。結核菌は分裂が遅く毒素も出さないため、初期には特別な症状を示さないことが感染の広がりにつながります。症状として最も多いのは咳で、半数以上でみられます。また、約25%の患者さんでは長く続く発熱があり、約10%の患者さんでは喀血や血痰が見られます。

結核菌に対する最初の有効な治療薬であるストレプトマイシンが登場したのは1943年でした。その後、1940年代から1960年代にかけて結核に有効な治療薬が次々と登場し、特に1960年代には当時の画期的な治療薬であるリファンピシンの合成により薬物療法の時代に入りました。しかし、結核は治癒する疾患と認識され、結核の治療薬を研究する施設や研究者が世界中で減っていくなかで、1980年代には治療薬に耐性を示す結核菌の急速な出現により、1993年にWHOが結核緊急事態宣言を発表する事態となりました。

WHOのレポートによると、2012年には世界で約860万人が結核を発症し、約130万人が結核を原因として亡くなっています。結核は依然として公衆衛生上の大きな課題であり、過去20数年の間にはこれまでの第一選択薬(イソニアジド、リファンピシン)が効果を示さない多剤耐性結核という新しい問題も生じています。薬剤の不足、品質、さらには薬物治療を中断してしまうなどの治療上の問題が、耐性菌の出現に大きな影響を及ぼしています。世界の27カ国で多剤耐性結核の90%が蔓延しています。多剤耐性結核は、年間約45万人の患者さんが発症し、約17万人が亡くなっていると推計されています。多剤耐性結核の治癒率は50%以下と言われ世界的な脅威となっていることから、限定的な地域での取り組みに留まらずグローバルな取り組みが必要不可欠です。

現在の日本の結核罹患率は戦後低下してきたものの、人口10万人あたり17人という現状は先進諸国の中で最も高い水準です(図)。現状では毎年結核新規患者数は2万人を超えて推移し、新規登録者のうち71.8%が60歳以上の高齢者となっています。全国エリア別では、首都圏、中京、近畿地域等での大都市で高い傾向が続いています(10万人対、大阪市39.4、名古屋市26.4、堺市26.4、神戸市24.0、東京都特別区22.5人、平成25年度)。また新規登録された多剤耐性結核患数は50~60人で推移しています。厚生労働省の平成25年度報告によると結核による死亡数は2,084人で前年と比べ26人減少し、死亡順位26位となっています。同報告では問題となる結核集団感染数は28件ありました。学校での発生が8件と未だ結核による集団感染が大小を問わず発生しています。 抗結核薬の耐性は、副作用のために治療を完遂できない等、薬が適切に使用できない場合に生じます。多剤耐性結核の出現は世界的な脅威となっており、少なくとも20カ月におよぶ治療期間を強いることになるため患者さんの負担は非常に大きなものになります。

日本においては、多剤耐性結核の治療成功率は40~70%で、その治療には旧来の抗結核薬を使用するしかなく40年以上も新薬がないため新しい治療法が望まれていました。治療の選択肢が限られていることから、5年以内の死亡率は21.6%、10年以内の死亡率は36.7%となっています。その主な原因として、日本では他のアジアの国と比較して多剤耐性結核の中の超多剤耐性結核※6の比率が高いことがあげられます。

2014年7月にデラマニド(商品名:デルティバ)が多剤耐性肺結核で承認されたことを受けて、厚生労働省健康局結核感染症課から結核医療の基準の改定が検討され、同月に日本結核病学会治療委員会が学会としての本剤の使用に関する見解「デラマニドの使用について」や本剤による治療法を示した「結核の医療の基準の見直し-2014年」を学会誌に掲載しています。結核医療の基準の改定の公示は9月中に予定しています。

結核の情報は、大塚製薬ホームページの「健康と病気」> 結核 –古くて新しい病気– もご参照ください。

  • ※6 イソニアジドとリファンピシンに加えてカナマイシン等の注射剤及びフルオロキノロン剤に対しても耐性を示す難治性結核

本ニュースリリースの掲載情報は、発表当時のものです。