コラム 暮らしを彩るワンポイント心理カウンセラー・石原加受子さんの
自己肯定感のレッスン

第10回 
あるがままに生きたい

何かを始めると、つい無理をしてしまう。人と比べてしまう。どうしたら楽しく続けられるのでしょうか。ヒントは心の向き合い方にありました。

自信をつけるための努力

あるがままに生きる。ありのままの自分でいる。誰もが心に描く理想の姿であるかもしれません。そんな自分になるには、自己肯定感を高めることが必須です。つまり自分に自信を持つこと。言葉だけでは漠然としていてどうしたらいいかわかりませんね。でも、人から認められたり、注目を浴びたり、賞賛をされれば自信がつくと思っている人は多いでしょう。そのために努力して、ひたすら我慢する。ところが、人から認められんがために頑張れば頑張るほど、自信をなくしていってしまう人がいます。
第10回 あるがままに生きたい/心理カウンセラー・石原加受子さんの【自己肯定感のレッスン】
イラスト・三好 愛

苦痛の努力は続かない

そんな人たちのなかには、まるで修行のように「これを、毎日必ずやり続けるよう決めています」とつらくても苦しくても続けようとする人。だれかと張り合う気持ちで、「あの人は1日3時間。だから私も最低3時間以上はしなければならない」と自分にノルマを課す人がいます。しかし、そんな気持ちで頑張ったとしても、思ったような結果が得られるでしょうか。仮に、ようやく一度認められ、それが一時の自信になることはあったとしても、その自信がそのまま自己肯定感につながるとは限りません。なぜなら、次に認められなかった場合、その瞬間から自信をなくしてしまうからです。

自分の心に沿う

そもそも、競っている相手の3時間と、自分にとっての3時間は、まったく意味が違うかもしれません。自分にとっては苦痛の3時間。ところが、ライバルにとっては「楽しくて楽しくてしかたがない」から熱中してしまい、気が付いたら3時間経っていたということなのかもしれません。そんな人は、時間の使い方も言わば「あるがまま」です。とにかく夢中になっていると、食事も摂らずに10時間、15時間とやり続けることがあります。気分が乗らない日は、無理をせずすぐにやめてしまう。不調のときには、思い切って休む。でも、ためらいなく休むことができるので、しっかりと休息できます。こんなふうに、自分の気持ちを大事にして、自分の心に沿った選択しています。だからこそ、ポジティブな実感をしながら集中できるのです。

あるがままを楽しむ

まさにこの、夢中でやっているときの実感こそが、自己肯定感だと言えます。
●自分の心に沿って行動をする
●心に迷いや矛盾がないから集中できる
●それを心地よいと感じる
人から認められることにとらわれず、「あるがまま」の自分を認めて集中し、その時間を楽しむ。その蓄積が、本当の自己肯定感になっていくのです。言うまでもなく、そんな自己肯定感の高い集中力があれば、物事が成功する確率も、結果として非常に高いでしょう。
石原加受子
石原加受子(いしはら・かずこ)さん
心理カウンセラーの石原加受子さんが、大人世代の絡まった心をほぐします。
心理カウンセラー。心理相談研究所「オールイズワン」代表。「自分を愛し、自分を開放し、もっと楽に生きる」ことを目指す「自分中心心理学」を提唱。仕事や家族、人間関係に悩む人に向けたセミナーやカウンセリングなどを30年続けている。「誰にも言えない『さみしさ』がすっきり消える本」(SBクリエイティブ)「やっかいな人から賢く自分を守る技術」(三笠書房)など著書多数。文庫化された本や翻訳本も含めると200冊以上を出版している。日本カウンセリング学会会員。日本学校メンタルヘルス学会会員。厚生労働省認定「健康いきがいづくり」アドバイザー。
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