コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第9回 
短い夏、森と湖からパワーをもらう

フィンランドの夏は、まもなく終わりを迎えます。大自然に囲まれたさわやかな写真をご覧ください。日本の真夏にささやかな涼を。

“おいしい”森でココロとカラダに栄養を

サマーホリデーを過ごす穴場といえば、首都・ヘルシンキから車で約1時間で着く森「ヌークシオ国立公園」。パラレルに立ち並ぶシラカバの樹の下には、パステルカラーのルピナスや、フワフワした純白のシャクの花。風に揺れるシラカバの葉がサラサラと音を鳴らし、そこはまるで桃源郷のようです。景色も素晴らしいのですが、なによりの楽しみが、ベリー摘み。白夜の長い日の光に照らされたベリーは、栄養満点。両手にたっぷり摘んで一気に頬張ると、甘酸っぱさが口いっぱいに広がり幸福度は最高潮に! 紫色に染まった口を見て、家族や友だちと大笑いしながら散策を楽しみます。
第9回 短い夏、森と湖からパワーをもらう/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ひざ丈ほどのブルーベリーの樹を下からのぞくと、なんとも可愛い紫の丸い実が鈴なりに実っています。

深い森でムーミンと出会う

森の奥へどんどん歩いていくと、苔に覆われた空間にたどりつきます。そこは、まるで「もののけ姫」のこだまがいる世界。こだまは、日本の森における妖精のような存在ですが、フィンランドの森といえば、ムーミン(Moomin)。作者のトーベ・ヤンソンの原画には、ムーミンとともにかわいらしくデフォルメされた森の植物がたくさん登場します。実は、ムーミンが森の妖精だと聞いたときには、とてもおどろきました。ここだけの話、ずっと、冬眠する小さなカバだと思っていたのです(笑)。白夜の早朝の森を歩くと、まだぐっすりと眠っているムーミン一家に出会えそうな気分になります。
第9回 短い夏、森と湖からパワーをもらう/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
深緑色の世界に身をおくだけで、日ごろの疲れが吹き飛び、すっかり癒されてしまうのです。

ザリガニパーティーへようこそ!

7月の終わり。湖で獲れたザリガニをみんなで食べる「ラプユフラット(Rapujuhlat)=ザリガニパーティー」に誘われました。日本ではザリガニを食べる習慣がなかったので、「え!あのザリガニを食べるの?」と複雑な心境で出向き、友だちが捕ったという自慢のザリガニを見ても「やっぱりあのザリガニだ」と後ずさり。でも、真っ赤に茹で上がったザリガニが美しく盛り付けられている姿を見た瞬間、心が躍りました。食べてみると、カニを凝縮したような濃厚な味わいでとてもおいしかったのですが、必死で殻をむいたわりになんと身の少ないこと(笑)。茹でた新ジャガ、キノコサラダ、パイなどたくさんの料理が運ばれてきてやっとお腹いっぱいになりました。家族や友達と飲んだり歌ったりして、短い夏を名残り惜しむパーティーなのでした。
第9回 短い夏、森と湖からパワーをもらう/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ザリガニパーティーはフィンランドの夏の風物詩ともいえます。素敵なテーブルセッティングも楽しみのひとつ。

憧れの1日は、オリジナルブーケとともに

夏は結婚シーズン。ハーセレモニア(Hääseremonia)=結婚式にはブーケが欠かせません。私も、夏休みを返上してたくさんのブーケを作りました。ブーケのオーダーで多かったのは、「私のイメージで」「世界でひとつだけのブーケを」といったオンリーワンを望むもの。ドレスや、髪、瞳の色などを考えに入れて、好きな花、好きな色のブーケを注文するのです。フィンランドでは、教会で式を挙げた後、湖畔のパーティー会場へと移動するのが主流。パーティーでは、まず、新郎新婦がダンスを披露し、その後、親族同士、友達へとダンスがつながっていきます。太陽がなかなか沈まないこの季節、森と湖に囲まれた幸せな宴は、深夜……いえ、朝まで続くこともあるのです。
第9回 短い夏、森と湖からパワーをもらう/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ガーデンで新婦はブーケを持ったまま踊ることもあるので、しっかりしたブーケを作るのは、私たちデザイナーの腕の見せどころ。花が取れてしまったら大変ですからね(笑)。
撮影●Pirjo koppi
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
10年間フィンランドでフラワーデザイナーとして活躍したヘンティネン・クミさんに、北欧の暮らしについて聞きました。
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」を拠点に北欧フラワーデザインの普及に尽力している。著書に『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)がある。
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