コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第7回 
陽気なお祭りと母の日の花

5月のフィンランド。雪はすっかり溶け、森には花々が咲き、日は長くなっていきます。お祭りとお祝いが人々の心をさらに明るくするようです。

大人がはしゃぐ春のお祭り

5月1日はメーデー「ヴァップ(Vappu)」。日本では労働者が集いますが、フィンランドでは学生が主役のお祭りが行われます。気温は15℃前後ですが、春の訪れを祝うという意味もあり、老若男女が公園や広場に集まり、みんなでピクニックをします。初めてヴァップを迎えた時は衝撃的でした。大きくてカラフルなヘリウムバルーンの売り子さんが街角に立ち、公園では家族や友だち同士でサンドイッチやお菓子を食べ、昼間からアルコールを飲み、街中がお祭りムード一色に。大学生は前日30日からオーバーオールを着て、徹夜でお祭り騒ぎ。ふだん静かなヘルシンキの街がまるで渋谷のカウントダウンのような、上野公園の花見のような、フィンランド人もこんなにわらわらと街にくりだすんだ~とビックリしたものです(笑)。
第7回 陽気なお祭りと母の日の花/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】第7回 陽気なお祭りと母の日の花/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ヴァップの日は、高校の卒業式で授与される黒いつば付きの白い帽子をかぶるのがお決まり。大人は楽しく酔っぱらいます。

奇妙なカタチのお菓子

ヴァップに欠かせないのは、「シマ(Sima)」という飲み物と「ティッパレイパ(Tippaleipä)」という奇妙な形をした揚げ菓子。シマはハチミツと水を混ぜて発酵させたハチミツ酒で、アルコール入りとノンアルコールがあるのでだれでも楽しめます。ティッパレイパは、まるで麺をぐるぐると巻いたような形をしている、硬い食感の揚げ菓子。粉砂糖がふりかけられて、ほんのりと甘い。5月の風物詩、これを食べなきゃヴァップじゃない!
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ヴァップの伝統料理ティッパレイパ。イースターの後(3月~4月頃)から、店頭に並び始めます。

目覚ましは家族の歌声

母の日の早朝。夫と子どもたちの「パリヨン オンネア バーン(Paljon Onnea Vaan)♪」の歌声とともに、ベッドルームにコーヒーとケーキ(または朝食)とプレゼントが運ばれてきます。家族からのお祝いです。私は花屋を営んでいたので、母の日は大忙し。本当は早く起きて仕事に行きたいのだけれど、キッチンで朝からゴソゴソと音がしていて「あっ、私のために準備してくれているんだな」とわかっているので、ベッドから出られません。寝ているフリをしていると、来ました来ました!歌声とともに、私の好きな紅茶とキャンドルが灯されたケーキのセットが。プレゼントと花束も一緒に。顔も洗っていないパジャマ姿のままで、急いでお祝い。あわただしい朝でしたが、それもまた楽しい思い出です。
第7回 陽気なお祭りと母の日の花/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
母の日「アイティエンパイバー(Äitienpäivää)」に贈るブーケ。さまざまなピンク色のガーベラをハート型にアレンジ。

子どもからのキュートな贈り物

母の日の花と呼ばれる「ヴァルコヴオッコ(valkovuokko)」。白い可憐なお花で、学名はアネモネ・ネモローザ。日本では「ヤブイチゲ」とか「イチリンソウ」などと呼ばれる春の野の花です。長い冬が終わると同時にいっせいに花が咲く宿根草は「スプリング・エフェメラル」と呼ばれ、なんともいえない素晴らしい光景を見せてくれます。子どもたちは、庭や森からこのお花を摘んでお母さんにプレゼントします。子どものころから自然と触れ合うって本当に素敵ですね。
第7回 陽気なお祭りと母の日の花/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
母の日のフラワーショップには真紅のスプレーバラの鉢植えが並びますが、子どもが野で摘んできた花の愛らしさは格別です。
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
フィンランドでフローリストとして活躍してきたヘンティネン・クミさんに、フィンランドのお祭りやお祝いの話を聞きました。
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」を拠点に北欧フラワーデザインの普及に尽力している。著書に『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)がある。
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