コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第10回 
ハーブを生ける

数か月のステイホームの日々、植物は不安な気持ちに寄り添ってくれました。植物とともに暮らすコツをヘンティネン・クミさんが紹介。今回から、娘であり、弟子でもあるフローリストのリノさんと一緒にお伝えします。

ハーブは香りのインテリア

クミ:今日は、フローリストで娘のリノと一緒に、ハーブを使ったアレンジメントを紹介しましょう。
リノ:よろしくお願いします。フィンランドでは、庭でハーブや野菜、果物を育てている人が多かったですね。
クミ:ハーブはとても身近で、キノコや魚と合わせて料理に使ったり、フレッシュハーブティにして飲んだり。オレガノ、5~6種類のミントは日本に帰ってきてからもずっと育てています。
リノ:あと、バジルも。香りもいいし、花もかわいいから好きです。摘んできてコップに入れて置くだけでも爽やかな香りがして夏にぴったりですよね。でも、飾って楽しむときは、摘み方と下処理にコツがあります。
クミ:今日はそのあたりをじっくりお伝えしますね。
第10回 ハーブを生ける/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花材・道具:ミント2種/アフリカンブルーバジル/モナルダ/ワイルドストロベリー/アルケミラモリス/シモツケ/吸水性フローラルフォーム/ブリキ缶

ハーブのカットの仕方

クミ:フィンランドでは、ハーブは根付きか鉢植えで売っていることが多いけれど、日本は少ないわね。
リノ:たしかに、日本のスーパーではすでにカットされてパック入りで販売されていますね。
クミ:食べるのではなく、今日はフラワーアレンジメントの材料にするので、できれば育てているものを使いたいですね。
リノ:植わっているものを切るときの注意点ってありますか?
クミ:バジルやミントは、地面から約二節目の少し上をカットすること。こうすると、切り口からまた新芽が育つので、長い期間成長を楽しむことができます。
リノ:あと、よく切れるはさみを使うことですね。
クミ:そう、茎をつぶさないことが大事。
第10回 ハーブを生ける/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
「植物は茎が斜めになるようにカットすることで、断面が広がりよく水を吸い上げるようになります」とヘンティネン・クミさん(左)。植物とともに育ったリノさん(右)の手さばきに信頼を置く。

ハーブは「湯揚げ」が原則

リノ:摘んだハーブは水につけておくだけでは、すぐにしおれてしまいます。
クミ:植物は、茎の中にある導管を通して水を吸い上げますが、切ると導管に空気が入ってしまい水を十分吸い上げるスペースがなくなってしまうんです。だから、まずは導管に入り込んだ空気を逃がしてあげることが大切。
リノ:それが「湯揚げ」ですね。
クミ:そう。切り口部分1~2cmほどを約60度のお湯に20~30秒入れて、導管の空気を出すわけね。
リノ:ぷくぷくと泡が出てきました。入り込んだ空気が出て行く様子がよくわかります。
クミ:その後、たっぷりのお水につけて30分ほどおくと、しゃっきりします。
リノ:ハーブだけでなく摘んできた植物も、ぜひ湯揚げしてみてください。買ってきたお花がしおれてしまったときも、同じようにすると元気を取り戻してくれますね。
クミ:茎の太さによって、お湯の温度や入れる時間を変えてくださいね。バジルの茎はミントの茎よりも柔らかいので、少しぬるめのお湯か、つける時間を短かめにするとよいですね。
第10回 ハーブを生ける/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
湯揚げをする前に、新聞紙やセロハンで植物を巻いてしっかり立たせてあげると葉がしっかりする。また、お湯につかる部分は葉を取っておく。

香りを楽しみながら作る

クミ:花材がしゃっきりとしたら、アレンジメントを作っていきましょう。
リノ:今日は、水をたっぷり吸わせた吸水性フローラルフォームに花材を挿していきます。
クミ:まずはアフリカンブルーバジルで形を作りましょう。好きなように挿していいのですが、ポイントは、どこから見てもフローラルフォームが見えないようにすること。
リノ:裏方ですものね。深く挿すのがポイントですね。
クミ:フローラルフォームは上からどんどん乾燥していくので、茎は深めにしっかり挿して、植物がが十分に吸水できるようにしてあげてください。
リノ:いい香りですね。作りながらも癒されます。
クミ:ある程度形が整ったら、ミント、ワイルドストロベリーの葉などを入れて行きます。ミントなどの茎が柔らかい植物は、先にフローラルフォームに穴をあけてゆっくり挿すといいですね。
第10回 ハーブを生ける/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
アフリカンブルーバジルで基本の形を整えた、途中の段階。花付きのものは少し高さが出るように挿して、濃い紫色が目立つようにする。

フィンランドの夏の森をイメージ

クミ:鮮やかな赤色のモナルダやシモツケ、ワイルドストロベリーの実はポイントになるようにアレンジしましょう。
リノ:フィンランドの夏の森をイメージして、アルケミラモリスの淡いグリーンもアクセントに。
クミ:見た目も涼やかになりました。
リノ:ふだんのアレンジメントにも、クミ先生はよくハーブを使っていますよね?
クミ:ちょっと触れると香りも楽しめるところがいいの。
リノ:アレンジメントはどの角度から見てもきれいに作るのがフィンランド流。覗き込みたくなります。
クミ:覗き込んでも、フローラルフォームが見えないでしょう(笑)。低いところにも、植物を挿しているから、奥行きも出るんです。
リノ:今日も勉強になりました。次回は、ツタを使ったアレンジメント。楽しみにしています。
第10回 ハーブを生ける/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
北欧フラワーデザインにおいては「自然が先生」と話すクミさん。フィンランドの森を何度も歩くことで培った感性をアレンジメントに活かす。
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナーとして活躍するヘンティネン・クミさんとフィンランドでフラワーデザインを学んだ娘のリノさんが、植物ともっと仲良くなる方法を教えてくれます。
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」を拠点に北欧フラワーデザインの普及に尽力している。著書に『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)がある。
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