コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第11回 
ツタを使ったアレンジメント

フィンランドの秋の森をイメージしたアレンジメントを紹介します。ツタ植物で彩った小さなバスケットに赤や黄色の花々をたっぷり。拾ってきたマツボックリをアクセントにしましょう。

アレンジに使えるツタ植物

クミ:ようやく暑さも和らいできましたね。
リノ:夏の間に庭の植物がぐんぐん成長しました。少しほおっておいたら、ツタ植物がジャングルのように・・・(笑)。
クミ:ヘデラやジャスミンなどのツタ植物は、観葉植物としてもエクステリアとしても人気ですが、こまめに剪定しないと増えすぎてしまいますね。今日は、そんなヘデラを使ったアレンジメントを紹介しましょう。
リノ:手のひらサイズのバスケットを使うんですね。
クミ:フィンランドの秋の森から木の実や草花を摘んできたイメージ。早速作っていきましょう。
第11回 ツタを使ったアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花材・道具:ヘデラ/ジニア/グラスペディア/アルケミラモリス/ペリカム/アスチルベ/ヒペリカム/マツボックリ/吸水性フローラルフォーム/バスケット

バスケットをグリーンで彩る

クミ:まずはバスケットにヘデラを巻き付けましょう。バスケットのサイズに合わせて吸水性フローラルフォームをカットして、たっぷり水を含ませてください。
リノ:そこに、ヘデラの茎を挿すわけですね。
クミ:目安は約3cm。フローラルフォームは表面からどんどん乾いていってしまうので奥までしっかり挿しこむことが大切です。
リノ:バスケットにヘデラを巻き付けていくのですが、1周目はUピンを使って茎をフローラルフォームに固定します。
クミ:バスケットのふちやフローラルフォームがグリーンで隠れるように巻き付けると、ナチュラルな雰囲気に仕上がります。
リノ:1周目がしっかり固定されていれば、その枝や葉にからめるように残りのヘデラを巻き付けていけばいいので、2周目からは簡単です。
第11回 ツタを使ったアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ワイヤーを5㎝ほどの長さにカットし、指でU字に曲げるだけでUピンが作れる。茎や葉をフローラルフォームに固定するときに便利。

花の個性を活かす

リノ:さて、ここからお花を挿していくのですが、はじめてアレンジメントに挑戦する方は「なにから挿したらいいかわからない」とおっしゃいますよね。
クミ:そうですよね。アレンジメントの全体像を思い浮かべて、まずは一番高い位置に見せたい植物や、一番目立たせたい花を挿してみてください。
リノ:では、白い花でベースを作りたいのでアスチルベから挿していきたいと思います。
クミ:今回は、グラスペディアやアルケミラモリス、ペリカムなど黄色い花が多いですが、同じ種類の花が重ならないように挿しましょう。
リノ:それぞれの花の個性が活きますね。
第11回 ツタを使ったアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
アレンジメントはどこから見ても美しく見えるように作るとよい。制作中は、上からだけでなく、バスケットを回しながら、正面、横、後ろからも確認する。

自然のぬくもりをプラス

クミ:森の中をイメージして今回はマツボックリを使いましょう。
リノ:クミ先生は、果物や野菜もアレンジに使うことが多いですよね。
クミ:フィンランドにいたときは、森の中にあるコケや小枝、木の実などを集めてアレンジの中に取り入れることが多かったですね。フィンランド人は自然のぬくもりを感じさせるアレンジが大好きですから。
リノ:マツボックリなら日本でも手に入れやすいですね。
クミ:マツボックリは、そのままでは低い位置にしか使えませんから、ワイヤーで茎を作ります。
リノ:マツボックリにひっかけるようにワイヤーを巻き付けてねじって固定。ワイヤーを隠すために、ほかの花材の茎をカットして、茎の中にワイヤーを通します。
クミ:マツボックリに茎が生えているなんて、なんだか不思議な見た目ですが、アレンジメントではよく使われるテクニック。フローラルフォームにしっかりと挿して固定することができます。
第11回 ツタを使ったアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ワイヤーに茎を通すことで、強度が増しフローラルフォームに挿しやすくなる。

ドラマを感じさせるアレンジメント

クミ:マツボックリや赤みのあるジニア、まん丸のフォルムがかわいいグラスペディアなどの目立つ花は、アクセントとして使います。
リノ:ここでは赤と黄色の花ですね。
クミ:個性の強い花の扱いに悩んだときは、少し低い位置に入れたり、ほかの植物に隠れるような位置に入れたりするとよいでしょう。
リノ:ひとつの花だけ目立ちすぎてしまうのを避けられますね。
クミ:そう。すべての花が主役であってほしいし、目立たない花にも目を向けてほしい。「葉と葉の間からウサギが出てきそう」なんて思ってもらえたらうれしいです。
リノ:今回も、フィンランドの秋の森を感じさせるアレンジメントに仕上がりました。
クミ:ぜひみなさんも身近な植物で楽しい世界を作ってみてください。
第11回 ツタを使ったアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
マツボックリはあえて隙間からのぞくように配置。「さりげなく顔をのぞかせているのがかわいいでしょう」とクミさん。
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナーとして活躍するヘンティネン・クミさんとフィンランドでフラワーデザインを学んだ娘のリノさんが、植物と親しくなる方法を教えてくれます。
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」を拠点に北欧フラワーデザインの普及に尽力している。著書に『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)がある。
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