コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第43回 
ヒヤシンスの寄せ植え風アレンジメント

例年、年末から2月頃まで、園芸店にたくさんの球根つきヒヤシンスが並びます。少しアレンジを加えて、フィンランドの春の森を再現してみましょう。
第43回 ヒヤシンスの寄せ植え風アレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】

春の訪れを予感させる花

寒さの中にも、花芽がふくらみ始めています。フィンランドでは3月下旬頃まですっぽりと雪に覆われ、人々は春の到来を心待ちにしています。ヒヤシンスは、フィンランドのクリスマスに欠かせない花ですが、ほんのり甘く、フレッシュな香りと鮮やかな花の色が、春の訪れを予感させます。日本でも、ヒヤシンスやムスカリ、ミニスイセンなど球根植物をプランターに植えて楽しむ人が増えています。花が咲き始めたばかりの花芽球根つきヒヤシンスを使った寄せ植えで、室内に春を呼び込んでみませんか。
第43回 ヒヤシンスの寄せ植え風アレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花材・道具:花芽球根つきヒヤシンス/ヒムロスギ/ネコヤナギ/ラフィア/軽石(発泡スチロールでもOK)/園芸用の土/ミズゴケ/フィンランディアモス(プリザーブド)/ラフィア/マツボックリ/シラカバの樹皮/鳥などのアニマル素材(飾り)/ワイヤー/はさみなど

根っこまで大切に

ヒヤシンスを鉢から取り出し、用意したバスケットに植え替えます。鉢の中で、複数のヒヤシンスの根が絡み合っているので、根っこを切らないようにほぐしながら、一球ずつに分けます。球根植物は、球根にたっぷりの養分が含まれているので、根が少なくても花は咲きますが、根からの吸水が十分でないと小さな花で終わってしまいます。やさしく丁寧にほぐしましょう。
第43回 ヒヤシンスの寄せ植え風アレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
両手に球根を持って、机にとんとんと押しつけるようにしながら、左右にゆっくり引っ張るときれいにはずれる。土が少し濡れているほうが扱いやすい。土もできるだけ落とさないようにする。
第43回 ヒヤシンスの寄せ植え風アレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
底上げのため、バスケットの高さ半分くらいまで軽石を敷き詰めておく。ヒヤシンスはバスケットのフチから球根の頭が少し見えるくらい高さで並べる。正面から見て、先に花を咲かせそうな球根を後ろに配置する。
第43回 ヒヤシンスの寄せ植え風アレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
根が長くて収まりづらい場合は、スパゲッティをフォークに巻き付けるイメージで球根をくるくる回して収める。
第43回 ヒヤシンスの寄せ植え風アレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
園芸用の土にミズゴケを混ぜたものを球根の間に敷き詰めていく。球根を触っても動かないくらいまでぎっしり押し詰める。ミズゴケを入れると土の乾燥が防げるが、ない場合は園芸用の土だけでOK。

香りを楽しみながら作る

土にかぶせるようにヒムロスギをあしらっていきます。ヒヤシンスからは甘い香りが、針葉樹からは森の中にいるかのような爽やかな香りがします。香りを楽しみながら、無心に手を動かしていると、雑念が取り払われ、癒されるような気がします。
第43回 ヒヤシンスの寄せ植え風アレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
バスケットのフチに沿うようにヒムロスギを置き、Uの字にしたワイヤーで留める。
第43回 ヒヤシンスの寄せ植え風アレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
土がすべて見えなくなるまでヒムロスギを留める。コニファーやヒバなど、ほかの針葉樹でもよいが、ヒムロスギはドライになっても葉が落ちないのでおすすめ。
第43回 ヒヤシンスの寄せ植え風アレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ヒヤシンスの間に、マツボックリやラフィア、シラカバの樹皮、フィンランディアモスなどを、ワイヤーで留めていく。飾りは、好みのもので。落ち葉やドングリなど手に入りやすい素材を。
第43回 ヒヤシンスの寄せ植え風アレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ヒヤシンスは、飾っているうちに少しずつ背を伸ばしていくので、高さのある飾りとしてネコヤナギやヒムロスギなどを長めにカットして挿す。こうすることで、花と根元の飾りが調和して、まとまった空間になる。

育っていく姿を愛でる

フィンランドの春をイメージした寄せ植えの完成です。ヒヤシンスは土に植えましたが、水やりはほとんど不要です。霧吹きをするくらいで大丈夫です。球根に蓄えた養分を使ってぐんぐん育ちます。光合成ができるように、カーテン越しに日光があたるようなところに置いてあげると、発色のよい花が咲くでしょう。寄せ植えの中で少しずつ育っていくヒヤシンスを愛でていると、春の訪れが待ち遠しくなります。
第43回 ヒヤシンスの寄せ植え風アレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
巣の中の2羽の小鳥を森の植物が見守っているよう。ネコヤナギは、雪解けとともに芽吹くため、フィンランドでは春を代表する植物。アクセントにもなるので、ぜひ使って。デザインのテクニックを知りたい人は、ヘンティネン・クミさんが主宰する北欧フラワーデザイン教室で丁寧に教えてもらえる。6,500円(花資材・講師料・税込み)で受講できる体験レッスンもある。(https://www.linoka.jp/
また、著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べる。(詳しくはこちら
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営。13年間の欧州での花仕事の後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」で、北欧スタイルのフラワーデザインスクールを開校。ビギナー向け、プロ向けのコースがある。著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)。
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