コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第40回 
秋の花のマツボックリバスケット

フィンランドの収穫の時期も終わりを迎えています。マツボックリでアレンジしたバスケットに、オレンジや淡いピンク色の花をあしらって、作物の恵みへの感謝を表しました。
第40回 秋の花のマツボックリバスケット/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】

道の駅はアレンジメント素材の宝庫!

フィンランドでは、フラワーデザイナーだけでなく、一般の人も、森に入り込んで草花やベリーを摘んだり、木の実を拾ったりして、アレンジメントを作ります。人と自然とが共存している国ならではの習慣です。日本で同じようなことをするのは難しいですが、イキイキとしたナチュラルな素材を見つけたいなら、「道の駅」がおすすめです。その土地でしか育たない植物や、見たことがないような実などが売っていたりして、見ているだけで楽しいもの。面白い素材を見つけたら、次々とアイデアがわいてきます。今回用意した、おもちゃカボチャとおもちゃメロンも道の駅で仕入れたもの。秋の花とともにアレンジメントしていきましょう。
第40回 秋の花のマツボックリバスケット/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花材・道具:マツボックリ/ガーベラ(ポップカラー)/リシマキア(ファイヤークラッカー)/カリフォルニアライラックの実(マリーサイモン)/ペニセタム(ハーメルン)/ミント/ドライ麦/ヒバ/おもちゃカボチャ/おもちゃメロン(ククミス)/フィンランディアモス/竹串/ワイヤー/フローラルフォーム/バスケット

マツボックリバスケット

木材やつるなどの自然素材で編まれたバスケットは、ナチュラルなアレンジメントにピッタリですが、そのまま使うのはちょっとつまらないので、フチにマツボックリをつけてみましょう。ワイヤーで留めていくだけなので作業自体はとても簡単ですが、見たことがないようなバスケットに仕上がります。ちょっとしたアイデアが、アレンジメントの質をぐんと上げてくれるんです。
第40回 秋の花のマツボックリバスケット/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
マツボックリのお尻にワイヤーを通して、2、3回ねじる。
第40回 秋の花のマツボックリバスケット/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
バスケットのフチに、マツボックリのワイヤーを通してペンチで留める。ワイヤーを手でねじるだけだとグラグラと安定しないので、きつく留めるのがポイント。
第40回 秋の花のマツボックリバスケット/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
バスケットのフチをぐるっと囲むようにマツボックリをあしらったら、バスケットの中にビニールやラップなどを敷く。しっかり水を吸わせたフローラルフォームをセットして、土台は完成。フローラルフォームの吸水方法は、以前の記事(第16回 食べて飲んで見て楽しいフラワーギフト「フローラルフォームの秘密」)を参照。

ぎっしり詰めて奥行きを出す

ここからは好きなように花材や実をフローラルフォームに挿していきます。ヒバなどのグリーンの素材はフローラルフォームやビニールなどの人工的な素材を隠すのに便利です。おもちゃカボチャやガーベラ、ドライ麦などの目立つ材料は先に挿しておくと、全体のイメージがつかみやすいでしょう。とにかく、たくさんの種類の花材をぎっしり挿していくことで収穫の雰囲気が演出できます。パッと見ても見えないところにも挿すと奥行きが出て、色の深みも増していき、もっと中を覗いてみたくなるようなアレンジになります。身近にある素材を使うと面白いですね。おもちゃカボチャがなければ、ジャガイモでもニンジンでも。カリフォルニアライラックの実がなければ、サンキライやヘクソカズラでも。庭やベランダで育てている植物にも目を向けてみてくださいね。
第40回 秋の花のマツボックリバスケット/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
フローラルフォームの側面にヒバやリシマキアなどのグリーン素材を挿す。
第40回 秋の花のマツボックリバスケット/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
おもちゃカボチャには竹串を2本挿しておく。1本だと、フローラルフォームに挿したときにくるくると回ってしまい位置が安定しない。全体のイメージを想像しながら、おもちゃカボチャの位置を決める。
第40回 秋の花のマツボックリバスケット/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
中央にワイヤーで束ねたドライ麦を挿す。ワイヤー部分を隠すように周りに花材を挿す。
第40回 秋の花のマツボックリバスケット/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
全体のバランスを見ながら、好きな素材をどんどん挿していく。花材の切り口はななめにカットしておくと水を吸い上げやすい。時々、バスケットを持ち上げたり、回したりしながら、どこから見てもすき間がなくなるように、たっぷり花材を挿すのがポイント。

秋を楽しもう

秋の花のマツボックリバスケットの完成です。バスケットからこぼれ落ちそうなほどたっぷり作物を収穫したイメージのアレンジメントになりました。昨今、暑い時期が長く、その分秋が短くなっているような気がしますが、気候もよく過ごしやすい秋を思う存分満喫したいものです。少し遠くまでドライブに行くときは、ぜひ道の駅に立ち寄ってみてください。「あ、これで、何か作ってみようかしら」と思えたら、秋をもっと楽しめるはずです。
第40回 秋の花のマツボックリバスケット/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
おもちゃカボチャとガーベラのすき間から顔を出している緑色のとげとげは、おもちゃメロン。食べられないが、しっかりメロンの香りがする。デザインのテクニックを知りたい人は、ヘンティネン・クミさんが主宰する北欧フラワーデザイン教室で丁寧に教えてもらえる。5,700円で受講できる体験レッスンもある。(https://www.linoka.jp/
また、著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べる。(詳しくはこちら
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営。13年間の欧州での花仕事の後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」で、北欧スタイルのフラワーデザインスクールを開校。ビギナー向け、プロ向けのコースがある。著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)。
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