第37回
テラリウムライクな寄せ植え
テラリウムや盆栽に夢中になる人が増えています。自然をそのまま切り取ったかのような寄せ植えを部屋に置いてみませんか。
フィンランドの夏の森を作る
水槽やガラス瓶の中で植物を育てるテラリウムや、手のひらサイズのミニ盆栽が人気です。家にある鉢植えや器を使って、テラリウムライクなアレンジメントを作ってみましょう。イメージはフィンランドの夏の森。ぜひ、画像検索してみてください。景色の一部を切り取って、家に飾ってみたくなりますよ。
材料選びはホームセンターへ
ポイントは素材選び。青々としたコケ、枝もの、石があると、自然の風景を作りやすくなります。今回用意した材料のほとんどは、ホームセンターで選びました。植物の苗、コケ、軽石は園芸コーナーに、溶岩石はペットコーナーなどに置いてあることが多いでしょう。ぜひ入れていただきたいのは、香りも楽しめるハーブ。とくにシルバータイムなど、這うように育つものがおすすめです。一気に上に伸びるミント類は風情が崩れやすくなるので避けたほうがいいでしょう。
花材・道具:ピレア・グラウカ/シルバータイム/ペペロミア・デッピアナ/ソフォラ・リトルベビー(メルヘンの木)/ミズゴケ/ハイゴケ/溶岩石/軽石/鉢植え/ビニール手袋
すき間を作らない
鉢植えに植物をどんどん植えていきましょう。背の高い枝もののそばに溶岩石を置くなど、高低差を考えながら植えていくといいでしょう。ペペロニアのように垂れ下がる植物は、あえて鉢植えからはみ出すように植えると、自然な印象になります。植物のすき間にミズゴケをしっかり押し込み、仕上げにグリーンのハイゴケをあしらいます。
根腐れを防ぐために鉢底に軽石を敷き詰め、写真のシルバータイムのような背の低い植物の苗を植える。土を両手で持って割くようにして根っこを崩す。土の表面が鉢植えからはみ出ないようにする。
写真のソフォラのような枝ものはアクセントになるので、ほかの植物より先に、中央寄りに植える。根元に寄り添うように溶岩石を置く。
すき間なくほかの植物を植えていく。小さな森を作っているようなイメージで配置。
ミズゴケを植物のすき間にしっかりと詰めていく。
土やミズゴケを隠すように、ハイゴケを入れる。コケが主役ともいえるので、みっちりすき間なく丁寧に入れる。
石は好きなものを用意してもいいが、真っ黒な溶岩石を使うとモダンな印象になる。
育っていく様子を楽しむ
動物のオーナメントを添えて、ちょっとチャーミングな感じに仕上げるのもおすすめです。自分が小さくなって、この森の中で過ごしている姿をイメージすると、それだけで癒されますね。暑すぎず、寒すぎないところに置いておけば、植物がぐんぐん育っていく様子も見られるでしょう。育ちすぎているなと感じたら、短く剪定してあげてください。剪定したところから新芽が出てきて、それがまたかわいいんですよね。水を与えすぎると根腐れするので要注意。表面が乾いたら霧吹きをかける程度でよいでしょう。
リスとハリネズミをあしらって完成。たくさんの植物をみっちり寄せ植えするのではなく、コケを見せているところがポイント。デザインのテクニックを知りたい人は、ヘンティネン・クミさんが主宰する北欧フラワーデザイン教室で丁寧に教えてもらえる。5,700円で受講できる体験レッスンもある。(https://www.linoka.jp/)
また、著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べる。(詳しくはこちら)
また、著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べる。(詳しくはこちら)
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営。13年間の欧州での花仕事の後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」で、北欧スタイルのフラワーデザインスクールを開校。ビギナー向け、プロ向けのコースがある。著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)。