コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第34回 
幸せを運ぶネコヤナギのリース

フィンランドのイースターに欠かせないネコヤナギの小枝を使ったシンプルでシックなリースです。
第34回 幸せを運ぶネコヤナギのリース/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】

ネコヤナギは魔法のステッキ

フィンランドの春の行事といえば、イースター。毎年、3月か4月頃に行われる春のお祭りです。1週間前の日曜日になると、子どもたちは魔女の格好をして、近所の家を訪ね歩きます。カラフルな羽やリボンをつけたネコヤナギを手にして、「健康な1年をもたらす小枝をあげるから、ごほうびをちょうだい」とおまじないをかけてくれるのです。いわば、ネコヤナギは魔法のステッキ。そんなネコヤナギ、日本では12月頃からフラワーショップの店頭に並びます。それほど高価なものではないので、十数本買って、簡単なリースを作ってみませんか?
第34回 幸せを運ぶネコヤナギのリース/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花材・道具:ネコヤナギ(10~15本程度)/ラフィア/ワイヤー/はさみ/ペンチなど

枝を矯めて丸みをつける

花穂に茶色の皮がかぶっていたら、まだ芽吹いていませんので、数日、水につけて開くのを待ちましょう。白いふわふわとした花穂が顔を出したら、制作開始です。枝を力いっぱい曲げると折れてしまいますので、優しく手でにぎって丸みをつけましょう。華道では、この作業を「矯める」といいますね。丸みがついてきたら、根元と枝先を重ねてワイヤーで留めましょう。
第34回 幸せを運ぶネコヤナギのリース/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ネコヤナギの枝は弾力があるので、丸みをつけやすい。花穂についている皮は、指で挟んで引っ張ると取れるが、自然に外れるのを待ってもよい。
第34回 幸せを運ぶネコヤナギのリース/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
根元と枝先を重ねて、ワイヤーで留める。ペンチを使ってしっかり留めておくと外れない。

枝をからませる

丸めた枝に、ほかの枝を巻きつけていきます。多少、形がいびつでも気にせず、どんどん巻いていきましょう。枝先など、飛び出てしまう部分は、枝と枝のすき間に挿しこみます。これで、ワイヤーを使わなくてもほどけていくことはないでしょう。どうしてもうまく絡まなければワイヤーを使ってもOKです。リースの厚みが均等になるように、太い部分を重ねすぎないようにします。
第34回 幸せを運ぶネコヤナギのリース/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
円形にした枝と、1本の枝を重ねるように持ち、枝の先を円の中に挿しこむ。これを繰り返すと、きれいに巻きつく。
第34回 幸せを運ぶネコヤナギのリース/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
飛び出してしまう枝先などは、枝と枝のすき間に挿しこんで留める。
第34回 幸せを運ぶネコヤナギのリース/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ネコヤナギの枝を15本ほど巻きつけたらリースの完成。飾りにラフィアをあしらう。ラフィアは乾燥していて扱いにくいので、水につけておくと、ちぎれにくく、しばりやすくなる。

飾りながらドライにする

最後にラフィアをあしらったら完成です。ほかの花やグリーン、リボンなどをつけてもいいですね。もちろん、ネコヤナギのみのリースも、潔くてかっこいいでしょう。飾っておけば、自然とドライになり、長く楽しめます。イースターは、キリスト教のお祭りであると同時に、春の到来を祝う意味もあります。日本ではあまり習慣はありませんが、ネコヤナギのリースを部屋や玄関に飾って、春をお祝いしましょう。
第34回 幸せを運ぶネコヤナギのリース/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
今回は、銀白色の花穂がついたネコヤナギを使用したが、ピンクやゴールド、黒などさまざまな種類があるので、素材選びから楽しんでみて。デザインのテクニックを知りたい人は、ヘンティネン・クミさんが主宰する北欧フラワーデザイン教室で丁寧に教えてもらえる。5,700円で受講できる体験レッスンもある。(https://www.linoka.jp/
また、著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べる。(詳しくはこちら
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営。13年間の欧州での花仕事の後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」で、北欧スタイルのフラワーデザインスクールを開校。ビギナー向け、プロ向けのコースがある。著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)。
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