第33回
スイセンで春待ちアレンジメント
春の訪れを知らせるスイセンが主役のスタイリッシュなアレンジメントを紹介します。
春を待ちわびる
あけましておめでとうございます。まだまだ寒い日が続きますが、日本の花市場は早くも春の花でいっぱい。フィンランドは最も雪深い時期ですが、12月の極夜を経て、少しずつ日が伸びてくる頃です。「早く春が来ないかなぁ」と思うのは、世界共通ですね。さて、今日は春の訪れを感じさせるスイセンを使ったアレンジメントを作りましょう。
花材・道具:スイセン/キキョウラン/ベアーグラス/マトリカリア/ブプレリウム/ブバリア(八重)/リューココリーネ/竹ぐし/吸水性フローラルフォーム/ガラスの四角い器/ハサミなど
ガラスの四角い器に合わせてフローラルフォームをカット。フローラルフォームにしっかり水を吸わせてから器にセットします(第16回 食べて飲んで見て楽しいフラワーギフト「フローラルフォームの秘密」参照)。
キキョウランをカットして、器とフローラルフォームの間に挿しこむ。ベアーグラスをランダムにまっすぐ挿す。
スイセンの茎は空洞になっていて、フローラルフォームに挿すには弱いので、茎の下から竹ぐしを挿入して補強する。
竹ぐしで補強したスイセンをフローラルフォームに挿す。縦のラインを生かすようにまっすぐ挿す。
つぼみのある花を選ぶ
キキョウラン、ベアーグラス、スイセンまで挿したものを3つ用意したら、ほかの植物をどんどん挿していきましょう。明るいグリーンのブプレリウム、カモミールに似た花をつけるマトリカリア、アクセントにピンク色のブバリア、パープルのリューココリーネ。今回のような春待ちアレンジメントには、つぼみがたくさんついているものを選ぶと、徐々に咲いていく様子も楽しめます。
キキョウラン、ベアーグラス、スイセンまで挿したものを3つ用意。
ブプレリウムをすき間に挿す。正面から見たときに、同じ花が重ならないようにランダムに挿すのがポイント。
器のすき間に挿したキキョウランは高さをそろえたが、ほかの植物はそろえずに、高低差を出すことで、春の野原の雰囲気が出る。
並べて楽しむ
3つの花器にバランスよく植物を挿し終えたら完成です。もちろん、用意する花器はひとつで構いませんが、並べる楽しさをぜひ味わってほしいなと思います。まっすぐ並べたり、斜めにずらしたり、器をくっつければ1つの作品に見えるでしょう。あるいは、部屋のあちこちに置くなんて楽しみ方もあるかもしれません。スイセンは、とてもいい香りがします。日本では1月~2月が旬ですから、ぜひこの時季に手に取って、アレンジメントを作ってみてくださいね。
雪が解けたフィンランドの森には、草が生え、花が芽生える。春の森の様子を想像しながら挿していくと楽しい。デザインのテクニックを知りたい人は、ヘンティネン・クミさんが主宰する北欧フラワーデザイン教室で丁寧に教えてもらえる。5,700円で受講できる体験レッスンもある。(https://www.linoka.jp/)
また、著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べる。(詳しくはこちら)
また、著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べる。(詳しくはこちら)
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営。13年間の欧州での花仕事の後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」で、北欧スタイルのフラワーデザインスクールを開校。ビギナー向け、プロ向けのコースがあるほか、フィンランド料理と民族楽器の演奏を楽しむワークショップも開催している。著書に『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)がある。