第36回
ムスカリの寄せ植えリース
今、大人気の球根植物。丈夫で扱いやすく、ぐんぐん伸びていく姿がかわいいムスカリを使った寄せ植えを紹介します。
家の中に春を呼び込む
フィンランドはすっかり雪が解けて、春真っ盛り。庭や森ではムスカリが自生する姿が見られます。ウサギやリス、ハリネズミなどの動物たちも現れ、子どもたちは大喜び。そんなフィンランドの春を感じさせるムスカリの寄せ植えを紹介します。
花材・道具:ムスカリ(ポット苗)/ミズゴケ/ハイゴケ/バフウモミジの実/ハリネズミのオーナメント/リース型の鉢/鉢底ネット/ピンセット/手袋など
球根植物は楽しい
ムスカリは、紫や白の花を咲かせる球根植物。3月頃からホームセンターやフラワーショップで売り出され、5月には遅咲きの苗が手に入るでしょう。同じ球根植物のミニチューリップやヒヤシンスもいいですね。球根にたっぷりの栄養と水分が含まれているので、丈夫で長持ちするのが魅力。ムスカリは、土の中でどんどん分球して増えていくのがおもしろいところ。ポットから出して、土をほぐしてみると、小さな赤ちゃん球根の姿が見られます。
一つのポットの中に複数の球根が入っているので、ほぐす。ポットから土ごと取り出し、芽が出ている大玉の球根を持って、左右に割るようにすると、簡単にほぐせる。
鉢の底穴に、鉢底ネットをのせて、土ごと植えていく。水やりのタイミングは、土が乾いていたら。目安としては3日に1回くらいで、底から水が流れ出るくらいたっぷりとあげる。穴が開いていない鉢を使用する場合は、ミズゴケが湿っていたら霧吹きで表面を湿らせる程度でOK。
球根の土を軽くはらって、リース型の鉢に入れる。すき間ができないように詰めつつ、深く植えすぎないのがポイント。球根の頭が鉢からちょっと出ているくらいがかわいい。
コケは便利な植え込みアイテム
2種類のコケを使います。まず、土の代わりに使うのが、茶色のミズゴケ。球根のすき間に、押し込み、球根を固定します。ミズゴケは水持ちがいい上に、通気性も高く、柔らかいので扱いやすい植え込み材料です。グリーンのハイゴケは、デコレーションに使います。土やミズゴケを隠すように表面に乗せます。フィンランドでは、湖などに自生しているコケを採ってくるのですが、日本では難しいですね。乾燥させたものがホームセンターなどで売っていますので、水や湯などでふやかして使いましょう。
ピンセットを使ってミズゴケを球根のすき間にぎゅうぎゅう入れていく。表面近くまで入ったら、指を使って押し込む。
土やミズゴケを隠すように、ハイゴケをすき間に入れる。
木の実や小さな動物のオーナメントなどをあしらうと、フィンランドによくある庭のような雰囲気に。
ムスカリを長く楽しむ
インテリアとして楽しめる寄せ植えの完成です。コケのおかげで水持ちがいいので、水をあげるのは2日に1回くらいでいいでしょう。ムスカリの茎がぐんぐん伸びてきたら、途中でカットして花器に生けるのもいいですね。すべての花が終わったら、ぜひ、球根をプランターや庭に植えてみてください。丈夫なので、そのままほうっておいても、来年の春、かわいい新芽が顔を出してくれると思いますよ。
よく見ると、バフウモミジの実とハリネズミのオーナメントが。ハリネズミは、フィンランドでは身近な動物で、庭に親子で訪れるのだとか。フィンランド風にするなら、ムーミンの飾りもおすすめ。デザインのテクニックを知りたい人は、ヘンティネン・クミさんが主宰する北欧フラワーデザイン教室で丁寧に教えてもらえる。5,700円で受講できる体験レッスンもある。(https://www.linoka.jp/)
また、著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べる。(詳しくはこちら)
また、著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べる。(詳しくはこちら)
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営。13年間の欧州での花仕事の後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」で、北欧スタイルのフラワーデザインスクールを開校。ビギナー向け、プロ向けのコースがある。著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)。