食物繊維を摂ろう!

食物繊維の歴史と定義

古代ギリシャの人々も、食物繊維が便秘の予防に良いと知っていたのです。
その後、色々な健康に関わる研究者が研究を進めていくうちに、食物繊維への関心が高まっていきました。

食物繊維の歴史

食物繊維の歴史は古代ギリシャにさかのぼります。そのころから小麦ふすま※1は便秘予防にいいことは知られていたのですが、食物繊維は、「エネルギーにならない」「必要な栄養素まで消化・吸収されにくくしてしまう」食べ物のカスだと考えられていました。
また、食物繊維が多く含まれていると食感が損なわれるので、人々の嗜好に合わせてやわらかくて食感のよい食品がつくられてきました。
1930年代になってケロッグ※2は小麦ふすまに関心を持ち、便秘患者・大腸炎患者への影響を確認しました。英国人医師のヒップスレーは「ダイエタリーファイバー(食物繊維)」という言葉をはじめて使用したことで歴史に残る人物となりました。

  1. ※1小麦ふすまは、小麦粒の表皮部分。食物繊維が豊富に含まれている。
  2. ※2アメリカ合衆国の医学博士。ミシガン州バトルクリークの保養所の所長としてコーンフレークを開発。
1930年代
  • アメリカ 穀類製造業ケロッグ
    小麦ふすまに関心 便秘患者・大腸炎患者への影響を確認
  • イギリス マッカリソン博士
    全小麦パン・豆・果物を多く食べているフンザ人は健康長寿である
  • イギリス ウォーカー博士
    アフリカ原住民と白人についての疫学的研究を行う
    心臓疾患・動脈硬化症の発症率が低いのは低脂肪食や高繊維食を摂ることが重要である
1953年
  • イギリス ヒップスレー医師
    「ダイエタリーファイバー」という言葉を最初に使用
1971年
  • イギリス バーキット博士 「食物繊維仮説」を発表
    食物繊維の摂取量が少ないと大腸ガン発生のリスクが高くなる

以後急速に食物繊維への関心が高まる

それ以降、食物繊維はからだに不可欠な栄養素、第六番目の栄養素であると位置づけられました。

食物繊維の定義

食物繊維の定義は、現時点ではすべての研究者の合意に基づいたものではありません。
1940年代からアフリカで医療活動を行っていたイギリスの医者バーキットやトロウェルは、先進諸国に多く見られる大腸憩室症、糖尿病、胆石、動脈硬化症、虚血性心疾患などがアフリカの住民に少ないのは、食物繊維の摂取量が多いことによるものではないかという見解を発表しました。
はじめトロウェル博士は「ダイエタリーファイバー(食物繊維)」を「ヒトの消化酵素で分解されない植物細胞壁成分」と定義しました。
しかし、研究が進むにつれて、それ以外にも同様な生理作用をもつ物質があることが分かってきました。現在、世界共通の定義は議論されているところですが、日本では「(植物性食品だけでなく、動物性食品起源も含めて)人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」という考え方が一般的に受け入れられています。
これによれば、植物に含まれるセルロース、リグニン、ペクチンや、カニ・エビなどの甲殻類に含まれるキチン、キトサン、デンプンの一部が非消化性のレジスタントスターチなども食物繊維に含まれます。

食物繊維は身体への様々な効果が期待され、現在も研究が続けられています。