コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第14回 
空き瓶に花を活ける

ヘンティネンさんと娘でフラワーデザイナーのリノさんが、空き瓶を使ったサステナブルで新しい花の活け方を提案します。
第14回 空き瓶に花を活ける/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】

フィンランドはエコの国

リノ:あけましておめでとうございます。
クミ:Hyvää uutta vuotta(フヴァー・ウウッタ・ヴゥオッタ)!
リノ:新年ということで、春を感じさせる花を用意しました。
クミ:日本人が大好きなラナンキュラスやチューリップ……この時期の花市場は春の花でいっぱいです。さて、今日は、エコの国と呼ばれるフィンランドにならって空き瓶をリユースした作品を作りましょう。
リノ:フィンランド人は、空き瓶をほとんど捨てないですよね。リンゴやベリーのジャムやキノコ料理を詰めてお友達にあげたり、花を活けたり、子どものおもちゃにしたり。「捨てずに活用する」が基本です。
クミ:そうでしたね。私も、アレンジメントに使えそうな瓶などをストックするようになりました。
第14回 空き瓶に花を活ける/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
「花を活けるのにちょうどいいお気に入りのドレッシングの瓶があるんです」とクミさん。「小さなジャムの瓶もかわいいですよね」とリノさん。

瓶と花のコラボレーション

クミ:今回は10cmほどの高さの細い瓶ばかりを用意しましたが、手元にある瓶を使ってどんな作品が作れるかな?と考えるところから楽しんでください。
リノ:小さな瓶に活けて、出窓に並べるのもいいですね。
クミ:花を活ける前に、まず、瓶の中に「吸水性ゼリー」を入れましょう。小石のような形状のものを水でふやかして使うのですが、これを瓶に入れておくと茎が固定されるので、活けやすくなります。
リノ:カラフルなものもありますよね。ティースプーン1杯に対し、水200ccでコップ一杯ほどのゼリーができますから、作りすぎ、注意です(笑)。
クミ:事前準備はこれで完了!さあ、花を活けていきましょう。
第14回 空き瓶に花を活ける/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花材・道具:ニゲラ/ラナンキュラス/リューココリーネ/ブプレリウム/チューリップ/マトリカリア/スイートピー/空き瓶/吸水性ゼリー/切り花栄養剤/水
第14回 空き瓶に花を活ける/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
空き瓶に吸水性ゼリーを半分ほど入れ、ゼリーの高さくらいまで水を注ぎ入れる。あらかじめ、切り花栄養剤を入れておくと花の持ちがよくなる。

切って挿すだけ

クミ:活ける……と言っても、今日の作品はとても簡単。切って挿すだけです。
リノ:最初はブプレリウムやマトリカリアなどのスプレータイプの華奢な花を挿すと、全体に広がりが出て、あとの作業がしやすくなりますね。
クミ:そうですね。存在感のあるラナンキュラスとチューリップは仕上げにバランスを見ながら挿すといいと思います。
リノ:茎を切るときは、よく切れるはさみで斜めにカットして、水を吸いやすくしてあげると長持ちします。あと、水につかる部分は葉を取るのも大事ですね。
クミ:どの位置から見てもバランスが良くなるように、お盆を回しながら、あるいは自分自身が回り込みながら作るといいと思います。
リノ: 切って挿すだけとはいえ、多少のポイントはありますが、一番大事なのは……。
クミ:もちろん、この時間を楽しむことです!
第14回 空き瓶に花を活ける/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
各瓶に3~4本の花材を挿した。手入れは簡単で、水が減ってきたら足すだけでOK。
第14回 空き瓶に花を活ける/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
お盆の上に瓶を並べておけば、お盆を回すことでさまざまな角度からの見え方を確認しながら花を活けることができる。

自然を守りながら暮らしをつむぐ

リノ:華やかな作品ができましたね。春の到来が待ち遠しくなります。
クミ:小さな瓶をたくさん使うと、不思議と大きな花瓶に活けているように見えるでしょう?ぜひ、瓶は捨てずに楽しく活用してくださいね。
リノ:それにしても、フィンランドは徹底したエコ大国だったなぁと思います。
クミ:空き瓶はもちろんですが、リサイクルショップで洋服や雑貨を買うのは普通のことだし、自転車移動も当たり前。10年前でもみんなエコバッグを持ち歩いていました。
リノ:フィンランドの人たちが一番守りたいものが、自然だからですよね。
クミ:そう。私たち日本人もフィンランドの人たちのサステナブルな暮らしを実践していきたいですね。
第14回 空き瓶に花を活ける/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
飾っているうちにチューリップの茎がどんどん伸びて、表情を変えていくのも楽しい。
第14回 空き瓶に花を活ける/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
1月のフィンランド。真っ白な雪に覆われていて地面はつるつるに凍っているというのに、自転車通勤する人もいるという。
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナーとして活躍するヘンティネン・クミさんとフィンランドでフラワーデザインを学んだ娘のリノさんが、新しい花の活け方を提案します。
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」を拠点に北欧フラワーデザインの普及に尽力している。著書に『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)がある。
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