コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第15回 
イースターの花を束ねる

ヘンティネンさんと娘でフラワーデザイナーのリノさんが、簡単に束ねられる花束を紹介。イースターをイメージした色合いで春の訪れを祝福します。
第15回 イースターの花を束ねる/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】

イースターの花で春を祝う

リノ:Virvon, varvon(ビルボン バルボン)!
クミ:イースターに子どもたちが唱えるおまじないの言葉ですね。
リノ:羽やリボンで飾りつけしたネコヤナギの枝を魔女のステッキのように振って、大人たちの健康を祈ったものです。そのお返しのおやつやお小遣いが、それはもう、楽しみで(笑)。
クミ:イースターは毎年、3~4月ころ。フィンランドでは日が長くなり、雪解けが始まり、庭や森のあちらこちらに小さな花々が顔を出すころです。
リノ:おうちでは、ネコヤナギのほかに、春を象徴するスイセンやムスカリを飾るんですよね。
クミ:日本ではあまりなじみのないイースターですが、フィンランドの家庭で愛される春の花を束ねてみましょう。
第15回 イースターの花を束ねる/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花材:スチールグラス/ベアーグラス/アカメヤナギ/レースフラワーグリーンミスト/ビバーナム/ナルシス(スイセン)/ラナンキュラス
第15回 イースターの花を束ねる/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
道具:ラフィア/アカメヤナギの枝/輪ゴム/はさみ/水/花瓶

花材の茎をまっすぐ束ねる

クミ:アカメヤナギの枝を立て、輪ゴム2本でキュッと束ねます。
リノ:花の束ね方には、茎をまっすぐ重ねる「パラレル」と、茎がらせんを描くように束ねる「スパイラル」がありますが、今回はパラレルで束ねるということですね。
クミ:はい、そうです。スパイラルのように頭を悩ませる必要はありません。
リノ:輪ゴムのすき間にどんどん花材を挿していくだけですものね。
クミ:そう。難しいテクニックはいりません。さあ、どんどん挿していきますよ。
リノ:アカメヤナギやスチールグラスなど背の高い花材から順にということですが……。
クミ:手前が花束の正面になりますから、すべての花を見てもらえるように、手前に来るほどに短い花材を入れていきます。挿す位置はどこでもいいですが、同じ種類の花材がまとまるように「グルーピング」を意識してください。
第15回 イースターの花を束ねる/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花束が立つようにしっかりと左手で束を支える。支える人と花材を挿しこむ人と二人で作っても楽しい。
第15回 イースターの花を束ねる/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
輪ゴムと茎のすき間に新しい花材をどんどん挿していく。最も背の低いラナンキュラスが一番手前に来るようにする。

花瓶に挿してできあがり

クミ:ベアーグラスのように垂れる花材は、側面に挿しこんでくださいね。アクセントになります。
リノ:花材が増えるとどんどん太くなってきますから、手が大きい男性に手伝ってもらってもいいかもしれないですね。
クミ:植物と触れ合う時間は、ひとりでも、恋人とでも、家族とでも楽しいですね。
リノ:さあ、花材をすべて束ねました。一度倒してもいいですか?
クミ:はい。倒して、ラフィアでぎゅっとしばってしまいましょう。2ヵ所、しっかりしばればもう崩れる心配はありません。
リノ:最後に輪ゴムを切りますね。
クミ:花瓶に入れて水を注げば、できあがり。全体のバランスを見て、花の位置や向きを変えるなど、微調整はお好みでOKです。
第15回 イースターの花を束ねる/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ラフィアでしばったら輪ゴムははさみでカット。ヤシの葉を加工して作られたラフィアが花瓶の水の中でも映える。
第15回 イースターの花を束ねる/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花瓶の口径にピッタリ合うくらいの束にするときれいにおさまる。花材の背の高さは、花瓶の2.5倍くらいがバランスがよい。

おうち花見を楽しもう

リノ:ああ、とても楽しい時間でした。やはり植物に触れると心が元気になりますね。
クミ:これ、見てください。フィンランドの北部に住む友人が送ってくれた画像です。森で採ってきたネコヤナギに黄色い鳥の羽とイースターエッグをつけたシンプルなアレンジメントですが、こんな風にしてイースターをお祝いしているのです。素敵でしょう。
リノ:後ろには湖と雪景色~! 北部だと、3月でもまだまだ寒いですよね。6月ころでもまだ雪が降る年もありますから。
クミ:フィンランドの人が植物を愛するのは、暗くて寒くて長い冬を乗り越えるために必要なことなのかもしれませんね。
リノ:日本はお花見の季節ですが、今年はおうちで春の植物を愛でる時間を大切にしたいですね。
第15回 イースターの花を束ねる/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
イースターはフィンランド語で「パーシアイネン」。イエス・キリストの復活を祝うお祭りが各地で盛大に開催されます。黄色い鳥の羽はイースターの飾りの定番なのだとか。
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナーとして活躍するヘンティネン・クミさんとフィンランドでフラワーデザインを学んだ娘のリノさんが、新しい花の活け方を提案します。
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」を拠点に北欧フラワーデザインの普及に尽力している。著書に『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)がある。
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