コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第17回 
スズランとクロッカスの寄せ植え

ヘンティネンさんと娘でフラワーデザイナーのリノさんが、初夏のフィンランドの森をイメージしたスズランとクロッカスの寄せ植えを紹介します。
第17回 スズランとクロッカスの寄せ植え/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】

初夏の森を彩る国花

リノ:フィンランドもすっかり雪が解けて、森にスズランが咲き誇る季節になりました。
クミ:スズランはフィンランドの国花。森や庭に自生するスズランは、「ドイツスズラン」という品種で、日本のスズランよりも花が大きく、香りも強いんですよね。
リノ:スズランは地下茎を横に伸ばして森の中で群生して増えていく植物なので、群生場所にでくわすとその一帯がさわやかなスズランの香りでいっぱいでした。
クミ:下を向いて咲く姿がかわいいですよね。今日は、クロッカスと組み合わせた寄せ植えを紹介しましょう。
第17回 スズランとクロッカスの寄せ植え/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
スズランはフィンランド語では「Kielo(キエロ)」。初夏、湿った森、庭、公園などいたるところに咲く。
第17回 スズランとクロッカスの寄せ植え/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
材料:スズランの苗/クロッカスの球根/苔/土/軽石/マツボックリ/小枝(シラカバ)/ラフィア/ガーデンオブジェ(リス)/鉢
第17回 スズランとクロッカスの寄せ植え/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
あらかじめ、小枝は数本を束ねてワイヤーでくくっておく。ラフィアはリボン結びにして、U字にしたワイヤー(Uピンでも可)をつけておく。

土の香りに癒される

クミ:まずは、鉢の底に軽石を敷き詰めましょう。
リノ:これは水はけをよくするためですね。厚みは2cmくらいでよいでしょうか?
クミ:そうですね。土が鉢の穴から漏れないためにも必須。では、スズランの苗をポットから引き出して、軽石の上に乗せてみてください。
リノ:鉢のふちよりも少し低い位置に、スズランの根元がくる感じですね。
クミ:ちょうどいい高さです。鉢のふちよりも高い位置にスズランの根元がある場合は、根っこのほうの土を手でやさしくほぐして背を低くしてあげてください。
リノ:なんだか、久しぶりに土を触っている気がします。いい香り~。
クミ:童心に戻るというか、なつかしい気持ちになりますね。
第17回 スズランとクロッカスの寄せ植え/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
①軽石の上にスズランの苗を並べたら、土を入れる。背の高いスズランが、正面から見て後ろのほうになるように並べ、クロッカスを入れられるように手前にすき間を開けておく。
第17回 スズランとクロッカスの寄せ植え/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
②スズランの苗間のスキマを埋めるように土を入れる。スズランが動かないように指先で土をぎゅっと押し固める。根っこが完全に隠れ、スズランを軽く引っ張っても抜けなければOK。

無心になる

クミ:植えたスズランの手前の空いているところに、クロッカスの球根を入れてください。
リノ:クロッカスはスズランより少し高さが低いので、先に土を入れておくといいですね。
クミ:そうですね。お花がきれいに見えるように、向きや位置を調整してください。
リノ:くねっと曲がっているのも野性味があっていいですね。
クミ:土を足して、親指の腹でぐっと土を押し固めます。
リノ:……。つい集中しすぎて、無言になってしまいます(笑)。
クミ:無心になるって、とてもいいことみたいですよ。
リノ:雑念が取り払われるってことですかね。スズランとクロッカスのことしか考えないって、とても貴重な時間!
第17回 スズランとクロッカスの寄せ植え/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
③クロッカスを植える。根と根の間にしっかり土が入っていくように、たっぷりの土を指で押し固めるのが大事。
第17回 スズランとクロッカスの寄せ植え/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
④スズランとクロッカスを植えたら、土の上に苔を乗せる。苔は、鉢に乗せやすいサイズにちぎりながら入れ、指で軽く押さえる。

我が家の小さな森

リノ:苔を入れると、より自然の姿に近づきますね。
クミ:そうですね。苔には、土の乾燥を防ぐ役割もあるんです。
リノ:そうなんですね。束ねたシラカバの小枝を苔の上に散らしたり、マツボックリを置いたりすると、さらに「森感」がアップしますね。
クミ:フィンランドの森にはエゾリスもたくさんいますから、リスのオーナメントも添えましょう。
リノ:リス、かわいいけどちょっと凶暴なんですよね。フィンランドでは要注意動物!
クミ:そうでしたね。さあ、最後にリボンの形に結んだラフィアを入れて完成。鉢植えの下から流れ出るくらい、たっぷり水をあげましょう。
リノ: 家の中、玄関先、どこに飾ってもいいですね。家の中に小さな森があるみたいでうれしいです。
第17回 スズランとクロッカスの寄せ植え/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花が咲いている間中楽しめる。スズランは地下茎で増えていくので、花が終わったら庭に植え替えても。
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナーとして活躍するヘンティネン・クミさんとフィンランドでフラワーデザインを学んだ娘のリノさんが、植物と仲良くなる方法を紹介します。
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」を拠点に北欧フラワーデザインの普及に尽力している。著書に『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)がある。
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