コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第19回 
ヒマワリが咲くムーミンマグカップ

ヘンティネンさんと娘でフラワーデザイナーのリノさんが、フィンランドの国民的キャラクター、ムーミンのマグカップを使った夏らしいアレンジメントを紹介します。
第19回 ヒマワリが咲くムーミンマグカップ/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】

愛されるムーミン

リノ:ムーミンのマグカップ、かわいいですよね。
クミ:ムーミンはフィンランドの国民的キャラクターですが、日本では大人にも人気がありますよね。このマグカップが家にあるという人もいるのではないでしょうか?
リノ:今日は、これに花を活けるんですか?
クミ:はい。フィンランドの人は家にあるもので工夫するのが大得意。花瓶がなくても、花を楽しむことはできるんです。
リノ:用意するのは好きな花でいいのですよね?
クミ:もちろん。今日は、夏らしく、ヒマワリをメインにしましょう。それから、ミントなどのハーブをぜひ用意してください。
リノ:香りも楽しめますね。
第19回 ヒマワリが咲くムーミンマグカップ/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花材・道具:ヒマワリ/ブプレリュウム/ブバリア/グラスペディア/カンパニュラ/オクラレルカ/ミント/シラカバの小枝/吸水性ゼリー/マグカップ/スプーン/はさみ

吸水性ゼリーを使う

クミ:第14回でも使用した「吸水性ゼリー」をマグカップに入れましょう。
リノ:あらかじめ、水でふやかしておくのですね。
クミ:ゼリーをマグカップの半分くらいまで入れます。マグカップのように背が低い容器に花を挿すときは、このゼリーがおすすめ。茎が固定されて活けやすいのです。
リノ:なるほど。
クミ:このとき、切り花栄養剤を数滴入れておくと花が長持ちします。
リノ:活けてからも、水を変えなくていいから、忙しい人にもおすすめですね。
クミ:数日に1回、少し水を足すだけでいいですからね。
第19回 ヒマワリが咲くムーミンマグカップ/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
吸水性ゼリーは、ティースプーン1杯に対し200ccの水をそそぎ、数時間置いておくとコップ1杯分までふくらむ。

すき間に挿していく

クミ:まずは、グリーンの葉を挿していきましょう。今回はオクラレルカ(グリーンの長い葉)をあらかじめ切っておきました。マグカップより数センチ長いくらいがちょうどいいでしょう。
リノ:何の葉でもいいのですか?
クミ:太くて硬い葉のほうがいいですね。最初に挿す葉と小枝が、あとから挿す植物の支えになるのです。
リノ:ニューサイランの葉もよさそうですね。
クミ:そうですね。10本ほど挿したら、シラカバの小枝を挿していきましょう。
リノ:長さも挿す間隔も、フィーリングでいいですか?
クミ:そうですね。葉と小枝を挿し終えたら、用意した植物をどんどん挿していきましょう。メインとなるヒマワリは最後がいいですね。
第19回 ヒマワリが咲くムーミンマグカップ/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
オクラレルカの葉の間にシラカバの小枝を挿していく。シラカバの小枝が手に入らなければ、何の小枝でもOK。自然をイメージして、長さはそろえない。
第19回 ヒマワリが咲くムーミンマグカップ/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
水に浸かってしまう葉はきれいに取ってから、挿す。すべて挿し終えたら、水を足す。

テーブルコーディネートにも

リノ:用意した8種類の植物をすべて挿し終えました。
クミ:何種類もの花を使うと、森のイメージに近くなりますね。夏のフィンランドの森は、足元だけでも何十種類ものの植物が生えていますから。
リノ:最後にヒマワリを入れると、華やかになりますね。
クミ:ヒマワリは、フィンランド語でauringonkukka(アウリンゴンクッカ)。森に自生はしていないのですが、国産の花農家さんからだけではなく、オランダからも輸入されていて、とても人気があります。
リノ:このアレンジメント、ひとつでもかわいいですが、たくさん並べてもいいですね。
クミ:食卓の中央に一列に並べたら、華やか。大きなアレンジメントを作るのは大変ですが、小さなアレンジメントをいくつも並べることで、空間のイメージを大きく変えることができます。
リノ:テーブルコーディネートにいいですね。早く、おうちパーティーがしたいです~!
第19回 ヒマワリが咲くムーミンマグカップ/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
水の代わりにゼリー、支えの代わりに枝や葉を使うことで、植物がすっと立ち、美しいアレンジメントに仕上がる。
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」を拠点に北欧フラワーデザインの普及に尽力している。著書に『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)がある。
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