コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第24回 
バレンタインは友人にチューリップのブーケを

ヘンティネン・クミさんと娘でフラワーデザイナーのリノさんに、チューリップの束ね方を教えてもらいます。
第24回 バレンタインは友人にチューリップのブーケを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】

バレンタインに贈る花

リノ:たくさんのチューリップ!春の訪れを感じますね。
クミ:とくに、チューリップは、フィンランドの人にとって特別な花なんですよね。
リノ:はい。チューリップと言えば、バレンタインデイ!
クミ:バレンタインデイは「Ystävänpäivä(ウスタヴァンパイヴァ)」と言って、友だちの日。友人同士でカードを送り合ったり、ご飯を食べに行って一緒の時間を過ごしたり。チューリップだけを束ねたブーケをプレゼントするのが定番です。
リノ:ステキな習慣ですよね。今年のバレンタインは、親友にチューリップのブーケを贈ろうかしら。
クミ:いいですね。日本でもぜひ取り入れてほしい文化です。ブーケと言うと、束ねるのが難しいイメージがあるかもしれませんが、ちょっとしたコツで誰でもきれいに仕上げられます。
第24回 バレンタインは友人にチューリップのブーケを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花材・道具:チューリップ/輪ゴム/ラフィア
第24回 バレンタインは友人にチューリップのブーケを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ブーケを束ねる位置を決め、それよりも下になる葉をはがす。「1本、手で握ってみるとわかりやすいですね」(クミさん)

葉の掃除は丁寧に

クミ:束ねる前に、まずは葉の処理をしましょう。
リノ:花瓶の中の水に浸かってしまいそうな、必要のない葉を取るのですね。
クミ:はい。ブーケにしたときに手で握る位置よりも、下にある葉ははがしてしまいましょう。
リノ:葉を上から下に引っ張ってむくかんじですね。
クミ:はがれたところが美しくないので、はさみなどできれいにカットしてあげてください。
リノ:泥が出てきたので、さっと洗っておきますね。お花は、こういった下処理が大事なんですよね。
クミ:そう。ここで、きれいにしておくと、束ねやすくなりますし、見栄えもぐんとあがります。
第24回 バレンタインは友人にチューリップのブーケを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
葉を上から下にむくようにはがす。葉を取りすぎると、ブーケのボリュームがなくなってしまう。
第24回 バレンタインは友人にチューリップのブーケを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
葉をはがした部分はギザギザしているので、はさみで整える。

スパイラルに束ねる

クミ:ブーケは、スパイラルに束ねるのが基本です。
リノ:スパイラルと言うのは、上から見たときに螺旋状に見える束ね方ですね。
クミ:ふわっと広がりが生まれ、崩れにくい束を作ることができます。ひとつのルールを守れば誰でもできます。
リノ:まずは、1本持って…。
クミ:その上に、もう1本を乗せるのですが、このときに、前に持った花よりも花が左側になるように斜めに置きます。そのときに、手で持っている花の茎は、必ず1点になるように同じ場所に重ねていくということ。コツはこれだけ。
リノ:束を何度もぐるぐる回したりしなくていいのですね。
クミ:そう、1本を置いたら、親指を閉じて握る。親指を開けて、左斜めに乗せる、握る……。これを繰り返すだけです。茎の重なりが多くなったら、ゆっくりと回転させる。花の頭の位置をそろえると、よりきれいなスパイラルの花束になります。
第24回 バレンタインは友人にチューリップのブーケを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花が左上になるように、斜めに束ねていく。
第24回 バレンタインは友人にチューリップのブーケを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
重くなってきたら、花の部分を机に乗せると束ねやすくなる。手が小さく、握るのが難しい場合は、途中、輪ゴムでくくってもよい。輪ゴムは、1本の茎に下から輪ゴムを入れ、ブーケを握っている親指の上まで通してから、ぐるっと茎をひと巻き~ふた巻き。最後に輪ゴムの端をいずれかの茎に引っ掛けて留める。
第24回 バレンタインは友人にチューリップのブーケを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
すべての花を束ね終えたら、輪ゴムでくくって、全体をゆすると、ブーケに広がりが生まれる。
第24回 バレンタインは友人にチューリップのブーケを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
最後に、茎をカット。このザックリとした切り方は、チューリップやカラーのような太くて柔らかい茎をカットするときに適している。はさみを使うと、茎の中の道管(水や栄養が通る管)がつぶれるので、包丁やナイフを使う。

花瓶の水は少量に

クミ:輪ゴムでくくった部分を隠すようにラフィアを巻いたら完成です。
リノ:抱えるほどのチューリップの花束!もらったらうれしいですね。
クミ:スパイラルに束ねると、花瓶にそのまま入れられます。
リノ:水の量は、こんなに少なくていいのですか?
クミ:チューリップやガーベラ、ヒヤシンス、アマリリスなどの球根系の花は、どんどん水を吸って、あっという間に伸びてしまいます。水は束ねた位置よりも下くらい。少なくしてくださいね。
リノ:今回はたくさん束ねましたが、数本を小さく束ねてもかわいいですね。
第24回 バレンタインは友人にチューリップのブーケを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
フィンランドのどこの家庭にもあるという、イッタラのフラワーベースに飾って。ヘンティネン・クミさんが主宰する北欧フラワーデザイン教室はこちら。5,700円で受講できる体験レッスンもある。(https://www.linoka.jp/
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営。13年間の欧州での花仕事の後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」で、北欧スタイルのフラワーデザインスクールを開校。ビギナー向け、プロ向けのコースがあるほか、フィンランド料理と民族楽器の演奏を楽しむワークショップも開催している。著書に『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)がある。
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