コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第23回 
花のおせちで年越しを

年末年始のおうち時間を、簡単なフラワーアレンジメントで彩りましょう。ヘンティネン・クミさんと娘でフラワーデザイナーのリノさんが紹介します。
第23回 花のおせちで年越しを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】

お重を使ったアレンジメント

クミ:フィンランドはクリスマスも終わって、のんびり過ごしている時期ですね。
リノ:年が明けて、家族みんなで1年を占う「錫占い」、好きでした。
クミ:馬蹄型の錫を熱で溶かして、水の中で冷やし固めて、その形や質感で運勢を占うものですね。
リノ: 日本でいうおみくじのようなものですけど、おばあちゃんやおじいちゃんが形を見て、占ってくれるのがうれしかったです。
クミ:フィンランドならではの過ごし方ですね。
リノ:今日は、日本のお正月には欠かせないおせちに使うお重が用意されていますが……。
クミ:そう。今日は、このお重を使ったお正月らしいアレンジメントを作っていきましょう。
第23回 花のおせちで年越しを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花材・道具:マツ/ヒカゲノカズラ/キク/ピラカンサス/バラ(2種)/フローラルフォーム/正月飾り/お重
第23回 花のおせちで年越しを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
「新年の間中飾っておけるようなアレンジメントを作ります」とクミさん。

針葉樹をベースに

クミ:まずはお重にしっかり吸水させたフローラルフォームを入れましょう。
リノ:フローラルフォームを吸水させるときは、上から水をかけるのはNGでしたね。(第16回 食べて飲んで見て楽しいフラワーギフト
クミ:そうそう。しっかり覚えていましたね。さて、まずは、ヒカゲノカズラとマツをフローラルフォームに挿していきましょう。
リノ:マツが入ると、日本のお正月の雰囲気が出ますね。ヒバやヒムロスギなどの針葉樹もよさそうです。
クミ:はい。好きな針葉樹を使ってください。お重のふちが見えなくなるように、お重の内側に沿って挿しましょう。
リノ:まっすぐ挿していいのですか?
クミ:はい。針葉樹はこのアレンジメントのベースとなるので、あまり高低差が出ないようにします。ふちが見えなくなったら、内側にも挿して、こんもりとさせましょう。
第23回 花のおせちで年越しを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
最初に、ヒカゲノカズラでお重をふちどるようにし、そのすき間にマツを挿す。
第23回 花のおせちで年越しを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
フローラルフォームが見えなくなるよう、ヒカゲノカズラとマツをたっぷり挿す。

好きな花を敷き詰める

クミ:ベースが完成したので、花を挿していきましょう。
リノ:きれいなキクがメインになりますね。
クミ:はい。キクは長持ちするので、お正月中、ずっと飾っておきたい人にはおすすめです。今回は、ピラカンサスやバラなど、洋物の実や花を入れてモダンな感じを演出しますが、好きな花を使ってくださいね。
リノ:まずは、お重の深さに合わせて、茎をカット……。
クミ:このとき、葉もオアシスに当たらないようにしっかり取ってほしいのですが、葉がついていた部分に節が残っていますよね。ここも、カッターなどで削ってください。
リノ:なぜですか。
クミ:節がフローラルフォームに入ってしまうと、穴が大きくなってしまい、挿した花がくるくると回ってしまうから。丁寧に下処理することが、きれいなアレンジメントに仕上げるコツです。
第23回 花のおせちで年越しを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
キクやバラ、ピラカンサスなどの華やかな色の花を順に挿していく。お正月飾りも好みで。
第23回 花のおせちで年越しを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
フローラルフォームに挿しにくい細い茎の植物や正月飾りのワイヤーなどは、写真のようにキクなどの太い茎を使うと挿しやすくなる。

ごちそうのように花を楽しむ

クミ:花をたっぷり挿し終わったら完成です。
リノ:わぁ~!豪華絢爛!
クミ:新年をお祝いするのにぴったりのアレンジメントでしょう。見るだけで華やかな気持ちになる。おせち料理に通じるものがありますね。
リノ:まさに、花のおせち!
クミ:年末の大掃除が終わったら家族で花を活けるというのも、いい時間の過ごし方かもしれません。
リノ:そうですね。まもなく、2021年もおしまい。あっという間の1年でしたね。
クミ:「 hyvää uutta vuotta(フヴァー ウウッタ ヴゥオッタ!)!」お花とともに、よいお年をお迎えください。
第23回 花のおせちで年越しを/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
フローラルフォームが乾いたら、花のすき間から水を差してあげれば長持ちする。ヘンティネン・クミさんが主宰する北欧フラワーデザイン教室はこちら。5,700円で受講できる体験レッスンもある。(https://www.linoka.jp/
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」で、北欧スタイルのフラワーデザインスクールを開校。ビギナー向け、プロ向けのコースがあるほか、フィンランド料理と民族楽器の演奏を楽しむワークショップも開催している。著書に『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)がある。
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