コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第26回 
春の森のパラレルアレンジメント

シラカバや背の高い草花がパラレル(平行)に生い茂るフィンランドの春の森をイメージしたアレンジメントを紹介します。
第26回 春の森のパラレルアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】

春の木立をイメージする

リノ:フィンランドは雪解けの季節です。
クミ:まもなく春ですね。今日は、フィンランドの春の森をイメージしたパラレルアレンジメントを紹介します。パラレルアレンジメントとは、植物が立ち並ぶ様をイメージして、平行に生けるものです。
リノ:終わりなく、どこまでも続くかのようなフィンランドの森を小さな箱の中で表現するのですね。
クミ:足元の小さな花々も、かわいらしくアレンジしていきましょうね。
第26回 春の森のパラレルアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花材・道具:キバデマリ/スズラン/ビオラ(花火)/シレネ・ブルガリス/ソリダコ/リューココリーネ/マトリカリア/ベアーグラス/苔/30×10cm程度の箱/フローラルフォーム

枝を垂直に挿す

クミ:園芸用の箱を用意しましたが、紙製の箱にビニールなどを敷いてもいいですね。エコの国フィンランドにならって、家にあるものを活用してください。
リノ:かわいいお菓子の箱などが使えそうですね。
クミ:さて、まずは、シラカバの木立をイメージして、フローラルフォームにキバデマリを垂直に挿しましょう。
リノ:どのくらいフローラルフォームに挿しこむのですか?
クミ:茎が箱の底に当たると、植物がくるくると回ってしまうので、数センチほど浮かすくらいがよいでしょう。
リノ:高さは揃えるのですか?
クミ:森を思い浮かべてください。同じ高さの木はないはず。多少の高低差があるほうがよいでしょう。
第26回 春の森のパラレルアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
フローラルフォームは箱のサイズに合わせてカットし、たっぷり吸水させて箱に収める。キバデマリの節がフローラルフォームに当たる場合は、ハサミやカッターで取る。
第26回 春の森のパラレルアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ヘンティネン・クミさん(右)と娘でフラワーデザイナーのリノさん。キバデマリは、手前、中央、奥と3列を目安にまっすぐ挿す。真ん中の列を最も高くすると、より自然な印象になる。

森の一角を表現する

クミ:キバデマリの木立が完成したら、花を挿しましょう。
リノ:なにから挿すのですか?
クミ:スズランやビオラなど、背の低い花から挿します。スズランやビオラの特徴をよく考えてみてください。
リノ:どちらも群生していますよね。
クミ:そう。群生をイメージして挿すようにしましょう。スズランは茎をカットすると葉がはがれてしまいますが、花の付いていない葉だけの部分も挿して生い茂る感じを出します。
リノ:スズランとビオラが挿し終わりました。
クミ:では、ほかの花を挿しましょう。シレネやソリダコ、マトリカリアなどの背の高い植物は、線のきれいなものを選んで垂直に挿します。
第26回 春の森のパラレルアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
スズランとビオラを挿した。スズランは、やや前に傾くように挿すとリアル。
第26回 春の森のパラレルアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花の顔が正面を向くように挿す。
第26回 春の森のパラレルアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ベアーグラスと苔以外のすべての植物を挿した。スズランの後ろにビオラを入れるなど奥行きを意識する。
第26回 春の森のパラレルアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
苔は水分を吸わせて柔らかくしてから、フローラルフォームを隠すように入れる。

“箱森”に癒される

クミ: 仕上げにベアーグラスを数本入れて、苔でフローラルフォームを隠して完成。
リノ:小さな森が目の前にあるみたい。遠くから見ても美しいですが、のぞき込むのも楽しいです。
クミ:箱庭ならぬ、箱森ですね。今日は9種の植物を用意しましたが、植物の数が多いほうがフィンランドの森のイメージに近づくと思います。
リノ:春の花をたくさん用意したいですね。
クミ:森に入ると、足元の草花だけでどこまで表現できるだろうといつもわくわくしたものです。
リノ:フィンランドの春の森を訪れる日が待ち遠しいです。
第26回 春の森のパラレルアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
フィンランドの春の森といえば、スズランとビオラ。ほかに、白や紫、青、黄色などの花が咲き誇る。ヘンティネン・クミさんが主宰する北欧フラワーデザイン教室はこちら。5,700円で受講できる体験レッスンもある。(https://www.linoka.jp/
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営。13年間の欧州での花仕事の後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」で、北欧スタイルのフラワーデザインスクールを開校。ビギナー向け、プロ向けのコースがあるほか、フィンランド料理と民族楽器の演奏を楽しむワークショップも開催している。著書に『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)がある。
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