コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第27回 
夏至祭の花でウォール(壁)デコレーション

精霊たちをまつるフィンランドの夏至祭。森の草花にまつわるロマンチックな言い伝えをイメージしたフラワーアレンジメントを紹介します。
第27回 夏至祭の花でウォール(壁)デコレーション/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】

白夜の言い伝え

リノ:フィンランドはまもなく夏至祭(juhannus:ユハンヌス)ですね。
クミ:ユハンヌスにはさまざまな言い伝えがあるんですよね。
リノ:枕の下に7種類の草花を入れて眠ると、将来の伴侶の夢を見る……というのが有名ですね。
クミ:近くの森に咲いているものを摘んでくるのですよね。
リノ:草花に思いを託して、ドキドキしながら眠るなんて甘酸っぱい風習です。
クミ:今日は、そんな言い伝えをイメージしたミニブーケを5つ作って、壁飾り(ウォールデコレーション)を作りましょう。
第27回 夏至祭の花でウォール(壁)デコレーション/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花材・道具:ヤグルマギク(ブルー・パープル)/ワスレナグサ/シレネ/ガレギフォリア/マーガレット/ソリダコ/アカシア/麻ひも、ワイヤー、ラフィアなど
第27回 夏至祭の花でウォール(壁)デコレーション/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ヘンティネン・クミさん(右)と娘でフラワーデザイナーのリノさん。初夏のフィンランドの森をイメージして、ブルーや白の花を用意した。

丁寧な下処理が大事

クミ:まずは下処理と準備です。
リノ:用意した植物の茎を切ってサイズを合わせるのですね。
クミ:それから、下のほうの葉は取って、束ねやすくしておきましょう。
リノ:地味な作業ですが、ここが大事ですよね。
クミ:そう。丁寧に行うことで仕上がりが大きく変わります。下処理が終わったら、どのブーケのボリュームも同じになるように、植物を5グループに分けておきましょう。
第27回 夏至祭の花でウォール(壁)デコレーション/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
1つのブーケに使用する花。このグループを5つ作っておくと、各ブーケのボリューム感を合わせやすい。

1本ずつ重ねてミニブーケを作る

クミ:準備が完了したら、ブーケをどんどん束ねていきましょう。
リノ:好きなように束ねて良いのですか?
クミ:はい。植物を1本ずつ重ねていくのですが、前に持った植物よりも花の部分が左側になるように斜めに重ねていくようにすると崩れにくく、美しいフォルムになります。詳しくは第24回で紹介したチューリップのブーケを参考にしてください。(第24回 バレンタインは友人にチューリップのブーケを
リノ:壁に吊るしたときに、ヤグルマギクやマーガレット、ガレギフォリアなどの花が正面に見えるようにするとよさそうですね。
第27回 夏至祭の花でウォール(壁)デコレーション/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
最初に手に持つのはアカシアなどのグリーン系。グリーン→花→グリーン→花というように交互に重ねていくと仕上がりが美しい。
第27回 夏至祭の花でウォール(壁)デコレーション/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
マーガレットやヤグルマギクなどの目立つ花は、正面に来るように最後に束ねる。
第27回 夏至祭の花でウォール(壁)デコレーション/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
輪ゴムでくくった部分を隠すようにラフィアをリボン結びにしてブーケの完成。壁にワイヤーやひもを張り、逆さにしたブーケを5つくくりつける。

ドライへの変化を楽しむ

クミ:初夏にぴったりのさわやかなウォールデコレーションが完成しました。
リノ:同じ植物を使っていますが、ブーケごとに表情が違うのがいいですね。
クミ:このまま吊るしておけばドライフラワーになります。
リノ:ドライへとうつろいゆく様も楽しめますね。
クミ:もちろん、夏至祭に合わせて作って、枕の下に忍ばせてもいいですよ(笑)。
リノ:友だちにも教えてあげよう。甘い夢が見られそうです。
第27回 夏至祭の花でウォール(壁)デコレーション/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
作ったときにはまだつぼみだったマーガレットは、2週間吊るしておいたら花が開いた。長い時間楽しめるアレンジメントだ。ヘンティネン・クミさんが主宰する北欧フラワーデザイン教室はこちら。5,700円で受講できる体験レッスンもある。(https://www.linoka.jp/
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営。13年間の欧州での花仕事の後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」で、北欧スタイルのフラワーデザインスクールを開校。ビギナー向け、プロ向けのコースがあるほか、フィンランド料理と民族楽器の演奏を楽しむワークショップも開催している。著書に『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)がある。
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