第46回
夏至祭の花束風アレンジメント
フィンランドに古くから伝わる夏至の日のならわしをイメージした、花束風アレンジメントを紹介します。
7種類の野の花
フィンランドでは、6月下旬頃に「夏至祭(juhannus:ユハンヌス)」が行われます。家族や友だちとサマーコテージに集まり、サウナに入ったり、ごちそうを食べたり。かがり火を焚き、精霊たちをまつりながら、日の沈まない白夜を過ごします。この日、森で7種類の野の花を摘んできて、枕の下に入れて眠ると、将来の伴侶の夢を見るという言い伝えがあり、結婚前の乙女たちはドキドキ、わくわく。今回は、そんなロマンチックな言い伝えをイメージした花束風アレンジメントを紹介しましょう。
花材・道具:ニゲラ/マトリカリア(白・黄色)/ヤグルマソウ/アルケミラモリス/ルピナス/ワスレナグサ/ミント/ワイヤー/ハサミ、またはナイフ/吸水性フローラルフォーム/リボン状に束ねたラフィア/麻の布/バスケット/ワイヤーなど
ハーブを入れる
バスケットの中に花束をポンと置いたようなイメージのアレンジメントを作ります。用意する7種類の花材は好みのものでOKですが、ぜひ一つ、ハーブを入れてみてください。今回は、鉢植えで大きく育ったミントを用いますが、ラベンダーやローズマリーなど初夏から生き生きと葉を伸ばすハーブを入れると、香りもよく、清々しい初夏にピッタリのアレンジメントになります。
1 バスケットの中に麻の布を敷き、その上に器を置き、水をたっぷり吸わせた吸水性フローラルフォーム(第16回 食べて飲んで見て楽しいフラワーギフト「フローラルフォームの秘密」を参照)を乗せる。リボン状に束ねたラフィアにワイヤーをつけ、フローラルフォームの側面に挿す。
2 吸水性フローラルフォームにミントを挿していく。ラフィアを挿した反対側の面は、花束の上部(先端)になるので、バスケットから飛び出すように長めにカットしたミントを挿す。
3 最初に挿したミントを基準に、左右の側面の下部に長めにカットしたほかの花材を挿していく。
4 側面の上部には、下部に挿した花材よりも短くカットした花材を挿す。
5 吸水性フローラルフォームの上面には、側面に挿した花材よりもさらに短くカットした花材を垂直に挿していく。
6 上に行くにしたがって、こんもりと盛り上がるように、アーモンドのような形を意識してアレンジする。7種類の花材をまんべんなく、すき間のないように、放射状に挿すのがポイント。
7 最初にラフィアを挿した吸水性フローラルフォームの側面に、花材の残った茎を挿す。花束の持つところをイメージして放射状になるように挿すとよい。最後に、吸水性フローラルフォームを隠すように、麻の布を持ち上げ、U字にしたワイヤーで留めたら完成。
「プレゼントにもおすすめです」とヘンティネン・クミさん。
夏の森を想う
7種類の花束風アレンジメントの完成です。夏のフィンランドの森の中には、あちらこちらから可愛らしい野の花が顔を出しています。「こんなところに?」「あんなところにも!」とワクワクしながら、野の花をバスケットいっぱいに摘んできたことを思い出します。涼しいところに置き、吸水性フローラルフォームに2日に1回くらい、アレンジの中央から少し水を足してあげれば、長く楽しめます。
真上から眺めると、バスケットの中に大きな花束が置いてあるように見える。どの角度から見ても楽しめる。デザインのテクニックを知りたい人は、ヘンティネン・クミさんが主宰する北欧フラワーデザイン教室で丁寧に教えてもらえる。6,500円(花資材・講師料・税込み)で受講できる体験レッスンもある。(https://www.linoka.jp/)
また、著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べる。(詳しくはこちら)
また、著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べる。(詳しくはこちら)
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営。13年間の欧州での花仕事の後、2007年に帰国。東京・新御徒町駅上の「LINOKA Kukka」で、北欧スタイルのフラワーデザインスクールを開校。趣味のコースのほか、お花を仕事にしたい方への短期集中ディプロマ取得コースがある。著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)。