第47回
夏の花、ポピーはガラスの器で
フィンランド人が愛するポピーを透明なゼリーに生けるだけの、簡単なアレンジメントです。ガラスの器から透けて見える茎が涼しげです。
夏の花「Unikko(ウニッコ)」
フィンランドのテキスタイルブランド「marimekko(マリメッコ)」定番の花柄といえば「Unikko(ウニッコ)」。ウニッコは、フィンランド語でポピーのことで、日本でも大人気のデザインです。夏、ヘルシンキ郊外を車で走ると、ライ麦畑の合間にカラフルなポピーが広がる光景が見られます。今回は、フィンランド人にとってなじみ深いポピーをメインとしたアレンジメントを紹介しましょう。
花材・道具:ポピー/ラベンダー/ワイルドストロベリー/シレネ(グリーンベル)/バイモユリ/ジャスミン/給水ポリマービーズ(ゼリー)/切り花栄養剤/ガラスの器(2種)
夏におすすめの透明ゼリー
ガラスの器から透けて見える透明なゼリーは、「給水ポリマービーズ」というものです。以前も紹介しましたが、透明な小石のような形状のものを水でふやかすとゼリー状になります(第14回 空き瓶に花を活けるを参照)。ガラスの器に入れると見た目が涼しげなので、夏のアレンジメントにはぴったり。背の低い器と、その中に入れる背の高い器のそれぞれにたっぷりゼリーを入れてください。このとき、切り花栄養剤があれば数滴たらしておくと、植物が長持ちします。
1 背が低いガラスの器の中央に背が高いガラスの器をセットし、それぞれ6~8分目くらいまでゼリー(吸水ポリマービーズをふやかしたもの)を入れる。給水ポリマービーズはティースプーン1杯に対し、水200ccでコップ1杯ほどのゼリーになるので、作りすぎに注意。
2 ワイルドストロベリーの葉を背が低い器の周囲に挿す。ゼリーの中には茎だけが浸かるようにする。葉が入ると腐敗の原因になるので注意。
3 バイモユリを背が低い器の周囲に挿す。花瓶から飛び出るように生けるとフレッシュな印象に。
4 グリーンベル、ラベンダー、ジャスミンなどを挿していく。
5 背が低い器のふちや、中央に入れた背が高い器の側面が見えないくらい、たっぷり植物を挿す。
6 ポピーは中央に配置した背が高い器に生ける。今回は白いポピーを用いたが、カラフルなポピーを使うと元気なアレンジメントに。
7 ポピーは茎が細く、器の形状によっては、そのまま生けると斜めに大きく倒れてしまうので、器の口にセロテープを井桁状に貼り、そのすき間に生けるとまっすぐ立つ。
草花をながめて涼を取る
あちこちに顔を向けるウニッコ(ポピー)もかわいいですね。ポピーは、花開くと2、3日で散ってしまいますので、つぼみの状態のものを手に入れてください。少しずつ開いていく姿を愛でることができます。今年の夏も暑くなるようですから、家の中に涼やかなフラワーアレンジメントを置いて、涼を取ってもらえたらいいなと思います。
葉の先がくるっと丸まっているバイモユリや、風船のような形状のグリーンベルも愛らしい。デザインのテクニックを知りたい人は、ヘンティネン・クミさんが主宰する北欧フラワーデザイン教室で丁寧に教えてもらえる。6,500円(花資材・講師料・税込み)で受講できる体験レッスンもある。(https://www.linoka.jp/)
また、著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べる。(詳しくはこちら)
また、著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べる。(詳しくはこちら)
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営。13年間の欧州での花仕事の後、2007年に帰国。東京・新御徒町駅上の「LINOKA Kukka」で、北欧スタイルのフラワーデザインスクールを開校。趣味のコースのほか、お花を仕事にしたい方への短期集中ディプロマ取得コースがある。著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)。