第52回
枝に春を盛る
部屋に春を呼び込むアレンジメントです。ポイントは枝とワイヤーの合わせ使い。簡単に花を生けることができます。
枯れ枝が大活躍
あけましておめでとうございます。今年もたくさんの花と一緒に過ごしていきたいですね。さて、今回はワイヤーと枝を使ったアレンジメントを紹介します。まずは、枝分かれしている長めの小枝を用意してください。葉がついていない枯れ枝でよいので、庭などで拾ってもいいですね。これを、白くペイントして、フィンランドのシンボルツリーとも言われるシラカバ風にしておきましょう。次に、ホームセンターやネットショップなどで購入できるデザインカラーワイヤー(商品名:「自遊自在」)を用意してください。この商品は、柔らかくて自由に曲げたり、折ったり、巻いたりできるもので、今回のアレンジメントにおすすめのワイヤーです。
花材・道具:木の枝(白くペイント)/ネリネ(ダイヤモンドリリー)/ラナンキュラス/リューココリーネ/グロリオーサリリー/アルケミラロブスター/ワックスフラワー/ヒカゲノカズラ/ミモザ(葉)/デザインカラーワイヤー「自遊自在」/アクリルストーン/浅めの花器/カッター、ハサミなど
枝で花を支える
カラーワイヤーをグニャグニャとランダムに曲げたり巻いたりして、器の中に収めます。枝は横にして、器の上に乗せましょう。これで土台は完成。ワイヤーと枝のすき間に花を挿していきます。茎が短い花を浅い花器にまっすぐに立たせられます。春が待ち遠しい季節ですので、フラワーショップで明るい色の春の花を何本か買ってきてもいいですね。お正月に飾った花をバラしてアレンジし直すのもおすすめです。
1 花器の中にくねくねと曲げたカラーワイヤーを入れ、白くペイントした枝を乗せます。枝を固定するようにワイヤーを絡め、すき間からアクリルストーン(ビー玉や小石でも代用可)を入れて重しとします。水を入れたら土台の完成。
2 枝とワイヤーのすき間に、ヒカゲノカズラやミモザを挿していきます。まっすぐ立たせたり、横に広がるように斜めから挿したりして、花器をグリーンで覆うようなイメージで。これが、あとから挿す花の支えとなります。切り口は水に浸かるようにしてください。
3 好きな花をどんどん挿していきましょう。下の写真を見るとわかるように、枝、ワイヤー、アクリルストーンがそれぞれ花留めになってくれますので、花の角度は自由自在。感性の赴くまま生けていきましょう。
4 「茎を長くし過ぎるとバランスがとりにくいので、短めにカットしながら挿していくとよいですね」とヘンティネン・クミさん。
一足先に春を楽しむ
雪が積もる枯れ枝の上で春の花が咲いているようなアレンジメントになりました。まだまだ外は寒いですが、一足先に春が楽しめますね。この季節は花も長持ちしますから、ときどき水を足してあげるだけでOK。枝をセットした花器を残しておけば、春夏秋冬、好きな花を楽しく生けることができます。枝の花留めがあるだけで、普通の花瓶に生けるよりもずっと簡単です。ぜひ試してみてくださいね。
春らしい色合いの黄色やピンクの花を使うと華やかな印象に。グリーンだけで作ってもスタイリッシュでカッコよくなります。デザインのテクニックを知りたい人は、ヘンティネン・クミさんが主宰する北欧フラワーデザイン教室で丁寧に教えてもらえます。趣味のコースでは、6,500円(花資材・講師料・税込み)で受講できる体験レッスンもあります。また、お花をもっと知りたい、お花を教えるようになりたい方のためのマンツーマンプライベートレッスンも始まりました。(https://www.linoka.jp/)
著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べます。(詳しくはこちら)
著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べます。(詳しくはこちら)
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営。13年間の欧州での花仕事の後、2007年に帰国。東京・新御徒町駅上の「LINOKA Kukka」で、北欧スタイルのフラワーデザインスクールを開校。趣味のコースのほか、お花を仕事にしたい方への短期集中ディプロマ取得コースがある。著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)。