コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第49回 
秋の花のナチュラルモダン

野趣のある秋の草花をスタイリッシュな花瓶に生けましょう。ナチュラルモダンな雰囲気に仕上げるヒントは、植物をまっすぐ立たせること。簡単に生けられる方法を教えてもらいました。
第49回 秋の花のナチュラルモダン/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】

イッタラのフラワーベース

つかの間の夏が過ぎ、9月のフィンランドは秋の装い。11月頃からは雪が降りはじめ、12月から4月にかけて雪に覆われます。家の中で過ごす時間が長いフィンランド人は、インテリアにおいては機能性とデザイン性が優れたプロダクトデザインを好みます。中でも、「iittala(イッタラ)」のガラスや陶磁器、ステンレスの器はどこの家庭にもあるといわれるほど人気。今回、使用するフラワーベースもイッタラのものです。背が高く、口が広いため、茎が柔らかかったり、背が低かったりする植物は生けにくいのですが、ちょっとの工夫で器のフォルムを活かした生け方ができます。
第49回 秋の花のナチュラルモダン/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花材・道具:ニューサイラン/ディアボロ/スカビオサ/ケイトウ/アストランチア/チョコレートグラス/ジニア/ヒペリカム/フラワーベース/ワイヤー/ハサミなど

ニューサイランを花留めに

硬くて丈夫なニューサイランをフラワーベースの中で固定して、花留めの代わりにします。今回は、秋の花に合わせて赤紫色のニューサイランを選びましたが、緑色でしたら爽やかな雰囲気になるでしょう。また、ニューサイランのような丈夫な葉は、オクラレルカや、ハラン、ベアーグラスなどもあります。以下の記事を参考にしてみてください。
第49回 秋の花のナチュラルモダン/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
1 ニューサイランをフラワーベースよりも長めにカットする。
第49回 秋の花のナチュラルモダン/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
2 カットしたニューサイランを10枚ほど、水の入ったフラワーベースに入れる。長さはだいたいそろっていればよい。
第49回 秋の花のナチュラルモダン/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
3 先を斜めにカットしたワイヤーをニューサイランに挿し、5本程度のワイヤーで格子を作る。ワイヤーを挿す位置などはランダムでOK。
第49回 秋の花のナチュラルモダン/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
4 さらに1/3ほどの長さにカットしたニューサイランをおおよそ20枚入れて、フラワーベースの中がニューサイランで密な状態にする。
第49回 秋の花のナチュラルモダン/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
5 ニューサイランの長さをだいたいそろえ、飛び出ているワイヤーも短くカットする。
第49回 秋の花のナチュラルモダン/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
6 ワイヤーの先にヒペリカムの実を挿してアクセントに。ほかに、バラの実など、ドライになる実がおすすめ。
第49回 秋の花のナチュラルモダン/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
7 用意した花をワイヤーの中にバランスよく生けていく。茎がワイヤーやニューサイランのすき間に留まるので、短い花やスカビオサのように茎がやわらかい植物もまっすぐ立つ。
第49回 秋の花のナチュラルモダン/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
たっぷりの花を生けてゴージャスに。「ボルドーカラーの花でそろえると、秋らしくなりますね」とヘンティネンさん。

工夫は楽しい

フラワーショップで購入した花や、庭やベランダの花を生けるとき、ただ花瓶に挿していくのではなく、花瓶のフォルムや色と合わせたら「どんな生け方ができるだろう」と考えてみてください。花と花瓶の形状が合わなくても、今回のようにちょっと工夫をすると、思い通りに生けることができます。フィンランド人も家での暮らしがより豊かになるよう、さまざまな工夫を凝らして生活しています。工夫、ぜひ楽しんでください。
第49回 秋の花のナチュラルモダン/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ニューサイランとヒペリカムは丈夫なので、そのままフラワーベースとセットで使い続けることができる。デザインのテクニックを知りたい人は、ヘンティネン・クミさんが主宰する北欧フラワーデザイン教室で丁寧に教えてもらえます。6,500円(花資材・講師料・税込み)で受講できる体験レッスンもあります。(https://www.linoka.jp/
また、著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べます。(詳しくはこちら
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営。13年間の欧州での花仕事の後、2007年に帰国。東京・新御徒町駅上の「LINOKA Kukka」で、北欧スタイルのフラワーデザインスクールを開校。趣味のコースのほか、お花を仕事にしたい方への短期集中ディプロマ取得コースがある。著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)。
Share
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る
美しく生きるヒントがきっとある

コラム記事

取り扱い先

取り扱い先を調べる

公式通販サイト

ご購入はこちら