コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第59回 
アンティークカラーのパラレルアレンジ

アンティークカラーの花は秋にぴったり。ボート型の花器にまっすぐ生けていきましょう。
第59回 アンティークカラーのパラレルアレンジ/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】

ルスカを楽しむ

フィンランドの紅葉は、9月下旬から10月に見ごろを迎えます。紅葉のことをフィンランド語で「ルスカ(Ruska)」といい、森だけでなく、都市部でも街路樹や住宅の庭などのルスカを楽しむことができます。今回は、ルスカにちなんで、ボルドーやイエロー、オレンジなどの紅葉色の植物を使ってアレンジメントを作ります。組み合わせるのは、アンティークカラーの花々。ボート型の器にまっすぐ挿して、パラレルアレンジメントを作りましょう。

アンティークカラー

アンティークカラーとは、時とともに変化したような、くすみのあるシックな色合いのこと。かつてはビビッドな色が定番だったバラやラナンキュラス、カーネーション、アジサイなども、品種改良でさまざまなアンティークカラーが出回るようになりました。ブーケなどに入れると、大人っぽい雰囲気になるので、フィンランドでも日本でも大人気。今回のアンティークカラーは、スプレーバラとスプレーカーネーション。趣のある色合いを楽しみましょう。
第59回 アンティークカラーのパラレルアレンジ/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花材・道具:ヒメガマ/コレオプシス/パープルファウンテングラス/ヒマワリ/ワレモコウ/ルテウス/スプレーバラ/スプレーカーネーション/アルケミラモリス/ヤマゴケ/フローラルフォーム/Uピン/はさみ/ナイフなど

パラレルアレンジメント

パラレルアレンジメントとは、植物を平行に並べたデザインのことで、まっすぐ伸びる美しい茎を見せたいときに用いる手法のひとつです。用意した花は、フローラルフォームにできるだけ垂直に、まっすぐ挿し、互いに交わらないようにします。時々、器の向きを変えて、全体のバランスを確認すると、偏りのないデザインに仕上がります。前からも後ろからも、横からも、どこから見ても美しいアレンジメントを目指しましょう。
第59回 アンティークカラーのパラレルアレンジ/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
1 フローラルフォームをボート型に合わせてカットし、水を吸わせてからセットします。
第59回 アンティークカラーのパラレルアレンジ/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
2 ヒメガマとパープルファウンテングラスを挿します。1/3~半分ほどにカットし、根元も葉先もそれぞれ、左右に分けてまっすぐ挿します。
第59回 アンティークカラーのパラレルアレンジ/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
3 パラレルアレンジメントは、植物の茎が平行になるように生けるのがポイントです。
第59回 アンティークカラーのパラレルアレンジ/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
4 用意した植物をどんどん、まっすぐ挿していきます。ヒマワリの花が下を向いているときは、ワイヤーでまっすぐ上を向くように立たせます。アンティークカラーのバラやカーネーションは、あえて短く切って、下の方に生けることでボリュームを出します。
第59回 アンティークカラーのパラレルアレンジ/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
5 秋の代表的な花のひとつ、ワレモコウを全体に散らすことで、秋の雰囲気が増します。
第59回 アンティークカラーのパラレルアレンジ/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
6 最後に、フローラルフォームを隠すようにヤマゴケを入れます。入れにくい場合は、写真のようにピンセットを使っても。しっかり、埋め込むように置き、浮いてくる場合はUピンで押さえます。

花器と花色を合わせる

今回用意したボート型の器は、ワレモコウやパープルファウンテングラス、コレオプシスのボルドーに合わせて、スプレーで色づけしたもの。花と器の色を合わせると統一感が出て、デザイン性が高まります。ボルドーとアンティークカラーとの相性は抜群で、まさに秋にぴったりのアレンジメントになりました。
第59回 アンティークカラーのパラレルアレンジ/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
アンティークカラーは、それだけだと寂しく、暗い雰囲気になりがちですが、ボルドーやイエローなどのはっきりとした色と合わせることで、シックながらも明るい雰囲気になります。
デザインのテクニックを知りたい人は、ヘンティネン・クミさんが主宰する北欧フラワーデザイン教室で丁寧に教えてもらえます。趣味のコースでは、6,500円(花資材・講師料・税込み)で受講できる体験レッスンもあります。また、お花をもっと知りたい、お花を教えるようになりたい方のためのマンツーマンプライベートレッスンも始まりました。(https://www.linoka.jp/)
著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べます。(詳しくはこちら
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営。13年間の欧州での花仕事の後、2007年に帰国。東京・新御徒町駅上の「LINOKA Kukka」で、北欧スタイルのフラワーデザインスクールを開校。趣味のコースのほか、お花を仕事にしたい方や、基本からしっかりお花を学びたい方への完全プライベートレッスンのディプロマ取得コースがある。著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)。
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