コラム 暮らしを彩るワンポイント菓子研究家・福田里香さんの
台所はいつもセレンディピティ

第7回 
小粒いちご

4月になると、スーパーに小粒いちごが並びます。さあ、今年はどんな料理に展開しましょう。福田さんのいちごの楽しみ方、のぞいてみましょう。

名残りの季節のいちごジャム

年々いちごの季節が前倒しになってきた。国産いちごを真夏でも見かけるようになり、毎年のように新品種も出回っています。人気者のいちごですが、ジャムを作るなら、安価な小粒いちごが出回る4月あたりがおすすめ。毎年シンプルな方法で作っています。ヘタを外したいちご1パック(約300g弱)に半量(約150g弱)の砂糖とレモン果汁1/4個分を加え混ぜます。半日置いて水分があがったら、中火にかけて木べらで混ぜながら10~15分煮るだけ。白っぽくなったいちごに赤みが戻り、透明感が出たら、できあがり。
第7回 小粒いちご/菓子研究家・福田里香さんの【台所はいつもセレンディピティ】
カリッとトーストした自家製パンに、カルピスバターといちごジャム。

いちごのアクは御馳走

いちごに限らず、ほとんどの果物のアクは、苦くもエグくもない。ジャムを少量作る場合、アクは取らずにそのままジャムに混ぜ込んでしまうこともよくあります。アクを取る場合は、茶こしを用意してください。茶こしを鍋の上に構え、レードルで浮いたアクをすくったら、どんどん茶こしに入れていきます。茶こしから滴ったいちご液は鍋の中に落ちるので、少し正味量が増すのもうれしい。茶こしに残ったいちごのアクは天然のムース。こんなに繊細な泡は、他では食べたことがありません。いちごのアクは、手作りしたひとだけの特権です。
第7回 小粒いちご/菓子研究家・福田里香さんの【台所はいつもセレンディピティ】
いちごジャムを作ったときに茶こしに貯めたアク。プレーンヨーグルトに添えて。

余ったら、いちごビネガー

少しだけいちごが余ったら、いちごビネガーを作ってみませんか?分量は適当で大丈夫。清潔なびんに小粒いちごを数個、お好みの酢 100~120ml、はちみつ 小さじ2~3を入れて、きっちりフタをします。これを一週間ほど常温に置くだけ。長く漬けておくとふやけて溶けるので、いちごの色が抜けたら取り出します。持て余すことなく使い切れるのは、少量で作るから。軽やかな甘味と酸味は、春の葉野菜サラダやフルーツサラダのドレッシングにぴったりです。
第7回 小粒いちご/菓子研究家・福田里香さんの【台所はいつもセレンディピティ】
いちごビネガー。透明の酢がいちご色に染まったら、いちごを取り出してできあがり。冷蔵庫で保存。

旅行先のいちご

旅行したら、まずその土地の市場へ。そこにしかない珍しい果物を味わう楽しみとは別に、いろんな国で見かける果物を「あ、またあった!」と見つける楽しみもあります。その代表がいちごです。いちごは少量パックで販売していることが多いし、そのままパクリと食べられて、ホテルにも持ち込める。市場で見かけたら、必ず買うようにしています。フランスの5月に出盛るブルターニュ特産のいちご、Gariguetteも忘れられないおいしさ。国内旅行でもいちごをチェック。いろんな品種を食べ比べるのが密かな趣味です。
第7回 小粒いちご/菓子研究家・福田里香さんの【台所はいつもセレンディピティ】
(左)「輸入じゃないよ、国産でおいしいよ」と売っていた、スウェーデンの首都ストックホルムの朝市のいちご。(右)奈良の道の駅で箱買いしたいちご。
福田 里香
福田 里香(ふくだ・りか)さん
今日も福田里香さんの家の台所では、「セレンディピティ(=幸運な偶然)」なレシピが生まれています。早速教えてもらいましょう。
菓子研究家。武蔵野美術大学出身。フルーツの専門店で勤めたのち、独立。果物を使ったオリジナリティあふれるスイーツや料理で注目を集める。雑誌でフードコラムを担当しながら、『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局)『新しいサラダ』(KADOKAWA)『R先生のおやつ』(文芸春秋)など料理本を多数出版。漫画への造詣も深く、作品に登場する食べ物の表現への考察は漫画ファンのみならず、漫画家からの評価も高い。美しい料理を次々とアップするInstagram(@riccafukuda)にはおいしいもの好きが集う。
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