コラム 暮らしを彩るワンポイント菓子研究家・福田里香さんの
台所はいつもセレンディピティ

第9回 
ザワークラウト

甘みたっぷり、柔らかい春キャベツで、おいしい作り置きを仕込みましょう。食欲のない暑い日でももりもり食べられる爽やかな味わいです。

初夏のキャベツで作るザワークラウト

冷えたビールのおつまみは、たっぷりのザワークラウトとソーセージ。最高においしい組み合わせな上に、食物繊維が無理なく取れます。材料はキャベツと塩だけ。少ない材料で作る、こんな作り置きはどうでしょう。
ザワークラウトは、ドイツ発祥のキャベツの漬け物で、意味は「酸っぱいキャベツ」。フランス語ではシュークルートと呼びます。ザワークラウトの酸味は乳酸醗酵で作られたもので、それが肉料理の付け合わせにぴったり。醗酵効果で、ビタミンCを豊富に含むのもうれしい。
第9回 ザワークラウト/菓子研究家・福田里香さんの【台所はいつもセレンディピティ】
ボイルしたウィンナーソーセージに自家製ザワークラウトを大盛りで。ワインと合わせてもおいしい。

材料はキャベツと塩だけ

巻きがゆるくて柔らかい初夏のキャベツは、水分を多く含むので作りやすいです。キャベツをスライサーで薄切りにしたら、ざっと洗って水を切り、重量を量ります。
キャベツの重さの2%の塩を手でよく混ぜて、少し置いてください。キャベツのかさが半分以下に減ったら、びっくりするほど水分が出ています。このまま浸けてもおいしいですが、スパイスでフレーバーをつけるのもおすすめです。わたしはベイリーフ3枚、クミンとコリアンダーを小さじ1ずつ混ぜ込みました。
第9回 ザワークラウト/菓子研究家・福田里香さんの【台所はいつもセレンディピティ】
(左)春先から初夏にかけて出回る春キャベツ。(右)塩を混ぜ込み、15分ほど置き、水分が出ました。

容器はジッパー付き袋がおすすめ

ジッパー付き袋を利用するとより簡単に作れます。キャベツを水分ごと袋に入れたら、手のひらで空気を押し出して、ジッパーを閉め、常温に置きます。気温が高い季節なので醗酵し過ぎないよう、涼しめの直射日光の当たらない場所がいいですね。うまく醗酵させるコツは、キャベツを空気に触れさせないこと。醗酵途中で気泡が出たら、空気を抜いてください。3~4日後、醗酵の泡が消えたらできあがり。保存は袋のまま冷蔵庫に入れるだけ。賞味期限は半年が目安ですが、すぐ食べちゃうと思いますよ。
第9回 ザワークラウト/菓子研究家・福田里香さんの【台所はいつもセレンディピティ】
(上)袋がピッタリ張り付くくらい空気を押し出して。漏れ防止にバットを敷くと安心。(下)3日後のキャベツ。色がくすんで醗酵が止まったらできあがり。

紫キャベツで作るザワークラウト

紫キャベツでザワークラウトを作ると過程も美しい。紫色だったのが鮮やかなフューシャーピンクに変化しますから、毎日変化を見るのが愉しみ。また紫キャベツの色はアントシアニンで、強力な抗酸化活性があるので体にもいいんです。熱湯消毒したびんにギュッと押し入れたら、キャベツを浮き上がらせないように2個のグラスを重ねて重石にしています。キャベツの表面にラップを貼って、空気を遮断してもいい。キャベツが出汁に浸からない場合は塩分2%の塩水を足して、空気に触れないようにしてください。
第9回 ザワークラウト/菓子研究家・福田里香さんの【台所はいつもセレンディピティ】
(左)成功のコツはキャベツがきちんと2%の塩水に浸かっていること。(右)紫キャベツのザワークラウト。フランクフルトにサボイキャベツのくたくた煮と粒マスタードを添えて。
福田 里香
福田 里香(ふくだ・りか)さん
福田里香さんが、セレンディピティ=幸福な偶然で発見したレシピを紹介します。
菓子研究家。武蔵野美術大学出身。フルーツの専門店で勤めたのち、独立。果物を使ったオリジナリティあふれるスイーツや料理で注目を集める。雑誌でフードコラムを担当しながら、『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局)『新しいサラダ』(KADOKAWA)『R先生のおやつ』(文芸春秋)など料理本を多数出版。漫画への造詣も深く、作品に登場する食べ物の表現への考察は漫画ファンのみならず、漫画家からの評価も高い。美しい料理を次々とアップするInstagram(@riccafukuda)にはおいしいもの好きが集う。
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