コラム 暮らしを彩るワンポイント菓子研究家・福田里香さんの
台所はいつもセレンディピティ

第11回 
残暑にやさしい冷や汁

元気なカラダで秋冬を迎えるために、おいしいものを食べて夏の疲れを取りましょう。旬のきゅうりと豆腐をたっぷり使った福田さん流冷や汁を紹介します。

夏の疲れには冷や汁

冷や汁は、鹿児島県や宮崎県など南九州の郷土料理です。冷たい味噌汁にきゅうりや白ごま、豆腐などの具材と、地域によっては魚のほぐし身も入れていただく、夏の日常食。冷たい味噌汁って、夏バテした身体にもスルスル入ってありがたいんです。冷や汁に絶対入っているのは、スライスしたきゅうり。今や一年中見かけますが、本来きゅうりの旬は夏。お値段も安くなるし、暑い時期にたくさん食べたい野菜です。
第11回 残暑にやさしい冷や汁/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
濃いめに作った冷たい味噌汁に、きゅうりと豆腐をたっぷり。

生野菜をメインに

残暑が長引く昨今、9月は夏の疲れが出やすい時期です。きゅうりには、身体を冷やす働きがあると言われ、利尿作用のあるカリウムをたくさん含んでいるので、塩分を排出したり、むくみを取る効果が期待できます。冷や汁にはたっぷり使いましょう。薬味は、ねぎや生姜などなんでもいいんですが、みょうがと穂紫蘇にしてみました。どちらも花のつぼみを味わう薬味です。みょうがの品のいい辛味とシャキシャキした歯触り、穂紫蘇の弾けるつぶつぶ感は、夏の楽しみのひとつです。
第11回 残暑にやさしい冷や汁/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
(左上)みょうが。(右上)穂紫蘇。(下)きゅうり。

豆腐はたっぷり派です

あるとき冷や汁に水切りした木綿豆腐を加えたら、味も薄まらず、味噌汁の中でそぼろ状に散って、なかなかおいしかったんです。木綿豆腐をふきんに包んでギュッと絞るだけ。そしてたっぷり入れます。目安として1丁で2~4人分でしょうか。ひとりにつき半丁くらい入れれば、もうそれだけで主食になるくらいのボリュームが出ます。きゅうり1本で2~4人分。輪切りにする前に、縦に切り込みを入れると、ちょうど食べやすい大きさになります。
第11回 残暑にやさしい冷や汁/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
(左)木綿豆腐半丁を水切りしたところ。(右)皮ごと縦に切り込みを入れ、輪切りにする。わたしはスライサー派。

ちょい足しはごま油

出汁に濃いめの味噌を溶いたら、粗熱を取り、冷蔵庫で冷やせばベースのできあがり。椀に水切りした木綿豆腐を入れ、味噌汁を注ぎます。輪切りのきゅうりと刻んだ茗荷、穂紫蘇を加え、白ごまをたっぷり振りかけてください。よくかき混ぜながら、冷たいうちにかき込みましょう。じつはこれ、ご飯の上にかけてもおいしいんです。冷や汁を食べ進んだら、ごま油をかけると味が変化しておいしいですから試してみてください。オリーブ油、ラー油、ナンプラーも合いますよ。
第11回 残暑にやさしい冷や汁/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
(左)夏野菜たっぷりの冷や汁。(右)食べ進んだ冷や汁にごま油をかけて。 
福田 里香
福田 里香(ふくだ・りか)さん
旬の食材を使ったおいしくて健康的な料理を福田里香さんに教えてもらいます。
菓子研究家。武蔵野美術大学出身。フルーツの専門店で勤めたのち、独立。果物を使ったオリジナリティあふれるスイーツや料理で注目を集める。雑誌でフードコラムを担当しながら、『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局)『新しいサラダ』(KADOKAWA)『R先生のおやつ』(文芸春秋)など料理本を多数出版。漫画への造詣も深く、作品に登場する食べ物の表現への考察は漫画ファンのみならず、漫画家からの評価も高い。美しい料理を次々とアップするInstagram(@riccafukuda)にはおいしいもの好きが集う。
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